江差町のいにしえ街道散策コースを歩く 約1.1kmの日本遺産の街並み

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北海道の江差町にある「いにしえ街道散策コース」は、北海道と北海道健康づくり財団が認定した「すこやかロード」の一つで、歴史的な商家や蔵を眺めながら歩けるウォーキングコースです。江差町では平成24年度に、このコースと「かもめの散歩道コース」の2つが認定されました。コースマップは、保健センター(江差町役場内)と海の駅開陽丸で受け取れます。

舞台になる江差いにしえ街道は、約1.1kmにわたって江戸から明治の建物が続く通りです。江差が北海道で最初の日本遺産に認定されたまちであることを、そのまま歩いて確かめられる場所でもあります。街道沿いには、国指定重要文化財の旧中村家住宅、姥神大神宮、開陽丸記念館が集まっています。

この記事では、コース認定の経緯、マップの入手先、街道の歴史、見学施設の料金と休館日、立ち寄れるカフェ、季節の行事を順に書きます。読み終えるころには、初めて江差を訪れる人でも、どこから歩き始めて何を見るかの見当がつきます。執筆基準日は2026年9月29日です。

目次

いにしえ街道散策コースは北海道認定のすこやかロード

このコースは、観光客向けの散歩道であると同時に、道が健康づくりのために認めた公式のウォーキングコースです。すこやかロードとは、北海道と北海道健康づくり財団が、道民の健康運動を進めるために、市町村が整備したウォーキングロードを認定する制度を指します。

平成24年度に江差町の2コースが認定された

江差町では平成24年度に、「いにしえ街道散策コース」と「かもめの散歩道コース」の2コースが認定されました。どちらも、健康づくりのウォーキングコースとして優れていて、景観も素晴らしいという評価を受けています。

歴史ある街並みを眺めながら歩けるので、運動が目的の人も、歴史散策が目的の人も、同じ道で楽しめます。運動と観光のどちらか一方に寄せた道ではないところが、このコースの持ち味です。

コースマップは保健センターと海の駅開陽丸で手に入る

コースマップは、コースのスタート地点にあたる2か所に置かれています。1か所目は保健センター(江差町役場内)、2か所目は海の駅開陽丸です。

歩く前に地図を手に入れておくと、街道のどこに見どころが集まっているかをつかめます。観光でまちを訪れるなら、開陽丸記念館の見学と組み合わせやすい海の駅開陽丸から始める形が、動きやすいでしょう。

距離と歩数はコースマップか健康推進課で確認する

江差町の公式ホームページは、距離や歩数といった詳しい数値をコースマップで確認するか、江差町役場の健康推進課に問い合わせる形にしています。この記事では、コース全体の距離、所要時間、歩数の数値を載せていません。

正確に確認できた数字は、街並みが約1.1km続くという点だけです。これはコースそのものの距離ではなく、歴史的な街並みが続く通りの長さです。二つを混同しないでください。時間に余裕をもって歩く計画を立てたい人は、マップを受け取ったときに数値を見ておくと安心です。

江差いにしえ街道は約1.1kmの歴史的な街並み

江差いにしえ街道は、江差町の中心部にある下町地区の中歌町と姥神町一帯の旧街道を整備した通りです。明治初期まで盛んだった檜材とニシンの取引に関わる、問屋、蔵、商家、町屋、社寺といった歴史的建造物や史跡、旧跡が数多く残っています。

約1.1kmの街並みには、商家、民家、土蔵が再生されて並びます。車で通り過ぎるより、ゆっくり徒歩で楽しむのが向いている通りです。江差は17世紀に北前船の寄港地として栄えた港町で、この通りは現在、江差いにしえ街道の名前で親しまれています。

平成元年に始まった歴史を生かすまちづくり事業

江戸から明治に建てられた商家や寺社が残るのは、津花、姥神、中歌町の旧国道沿いの地区です。この一帯では、平成元年(1989年)から「歴史を生かすまちづくり事業」が進められました。

建物を残すだけでなく、通りとして歩ける形に整える取り組みが30年以上前に始まっていたことになります。いま歩いて感じる街並みのまとまりは、この事業の積み重ねの上にあります。

平成16年11月に街路事業が完成し電線は地中化された

平成16年11月には街路事業が完成しました。景観に配慮した街なみづくりが進められ、建物の修景、案内板、電線の地中化、下水道、公園の整備などが、ほぼ終わっています。

電線が地中に移ったことで、姥神大神宮祭の山車の巡行がスムーズに進むようになり、景観も整いました。景観のための整備が、祭りの運営にも役立っています。街並みを整える事業と、山車を守る町内の祭りが、電線の地中化でつながったわけです。

江差は2017年4月28日に北海道初の日本遺産に認定された

江差町は、北海道で最初に「日本遺産」へ認定されたまちです。認定されたストーリーは「江差の五月は江戸にもない~ニシンの繁栄が息づく町~」で、認定日は2017年4月28日でした。北海道の日本遺産第1号にあたります。

江差の五月は江戸にもないという言葉が生まれた背景

江戸時代から明治時代にかけて、江差はニシン漁と、ニシンを加工した産物の交易で栄えました。その繁栄ぶりから、「江差の五月は江戸にもない」という言葉が生まれています。

江戸時代後期に江差を訪れた人の記録も残っています。町並みの端に至るまで貧しい家がなく、浜には蔵が並び、江戸を出てから、これほど建物も人も言葉も立派なまちはなかった、という趣旨の内容だそうです。江戸と比べても遜色ないと感じさせるほどの繁栄が、当時の江差にはありました。

家紋の看板と階段状に並ぶ蔵が街並みの目印

この街並みには、歩いて見分けやすい特徴がいくつかあります。台地の裾を通る通り沿いには、切妻屋根の建物が並んでいます。切妻屋根とは、屋根の一番高い部分から二方向に傾斜がつく形の屋根です。看板には家紋が掲げられています。海側の斜面には、蔵が階段のように並んでいます。

代表的な建物として、能登の商人が建てた横山家住宅と、近江の商人が建てた中村家住宅があります。能登と近江という遠い土地の商人が江差に店を構えていたことが、建物の来歴からわかります。江差いにしえ街道は、この日本遺産を象徴する通りです。

旧中村家住宅は昭和46年に重要文化財へ指定された

街道沿いで最初に入りたい見学施設は、旧中村家住宅です。ニシン漁で栄えた江差の情景を、いまに伝える商家で、国指定の重要文化財になっています。指定は昭和46年です。

主屋から文庫蔵、下ノ蔵、ハネダシまで斜面に4棟が並ぶ

旧中村家住宅は、江戸時代から明治20年代にかけて建てられた、当時の代表的な問屋建築です。地元のヒバ材を使った切妻造りの母屋から、裏手に向かって蔵が連なります。いちばん奥の浜側には、「ハネダシ」という船着き場があります。

建物の並びにも特徴があります。いにしえ街道の側から、ゆるやかに下る海側へ向かって、主屋、文庫蔵、下ノ蔵、ハネダシの4棟が、傾斜に合わせて一列に立ち並んでいます。通りから浜へ向かって歩くと、4棟が斜面に沿って順に並ぶ様子を、目で追えます。

仲買商とは、漁家から海産物を買い付けて、ほかの商人へ売る商売のことです。大橋宇兵衛は、この商いを日本海沿岸の漁家を相手に続けていました。江戸時代から続いた商いの拠点が、問屋建築として残っています。

大橋宇兵衛が建て、大正初期に中村米吉が受け継いだ

旧中村家住宅は、江戸時代から日本海沿岸の漁家を相手に、海産物の仲買商を営んでいた近江商人の大橋宇兵衛が建てました。大正初期になって、中村米吉が譲り受けています。建てた人と受け継いだ人が別々で、建物は代替わりを経て今日まで残りました。

館内では、当時の暮らしぶりが再現されています。北前船やニシン漁に関する資料も展示されています。街道歩きの途中で、外から眺める街並みの中身を確かめられる場所です。

旧横山家住宅、姥神大神宮、開陽丸記念館は街道沿いに集中している

いにしえ街道の見どころは、横山家、中村家、姥神大神宮といった観光施設が街道沿いに集中している点にあります。フットパスコースも整備されています。あちこち移動せず、歩いて見て回れるのは大きな利点です。

旧横山家住宅は能登出身の商人が建てた商家

旧横山家住宅は、能登出身の商人が江戸時代に建てた商家です。街道の代表的な見どころとして、中村家住宅と並んで紹介されています。料金と開館時間の詳しい情報は確認できていないため、訪問前に公式情報で調べてください。

姥神大神宮は江差の祭りの舞台になる神社

姥神大神宮は、街道沿いにある神社です。北海道遺産に認定された「姥神大神宮渡御祭」の舞台になっています。祭りの様子は、後の章で詳しく書きます。参拝に関する詳細な情報は、この記事では確認できていません。

開陽丸記念館では実物大の復元船に乗れる

開陽丸記念館では、幕府最後の軍艦である開陽丸の実物大復元船に入って、艦内を見学できます。海底から引き上げられた遺物の展示もあります。実物大の復元船は、幕府最後の軍艦の大きさを、艦内に立って体で確かめられる展示です。

コースマップが置かれている海の駅開陽丸は、すこやかロードのスタート地点のひとつです。歩き始める前後に、ここで艦内を見て回る流れにすると、無理のない1日になります。

街道沿いの施設を、建てた人や見どころ別に並べると次のようになります。

施設建てた人・由来見どころ
旧中村家住宅近江商人の大橋宇兵衛が建て、大正初期に中村米吉が譲り受けた国指定重要文化財。主屋、文庫蔵、下ノ蔵、ハネダシの4棟が斜面に並ぶ
旧横山家住宅能登出身の商人が江戸時代に建てた街道の代表的な商家
姥神大神宮渡御祭の舞台になる神社北海道遺産に認定された祭りの中心
開陽丸記念館幕府最後の軍艦を実物大で復元艦内の見学と、海底から引き上げられた遺物の展示

見学施設の料金は大人500円で休館日は季節によって変わる

見学施設の料金と開館情報は、次の表のとおりです。料金や休館日は変更されることがありますので、訪問前に各施設の公式情報で最新の内容を確認してください。

施設料金開館時間休館日
旧中村家住宅(共通券)大人500円、小中高150円公式情報で確認してください4月~10月は無休。11月~3月は月曜日と祝日の翌日。年末年始(12月31日~1月5日)も休み
開陽丸記念館大人500円、小中高生250円(15人以上の団体は1割引)9:00~17:00(券の販売は16:30まで)4月~10月は無休。11月~3月は月曜と祝日の翌日(祝日が月曜の場合は翌日と翌々日)。年末年始(12月31日~1月5日)も休み

共通券で3施設に入れるので1枚買って回るのが得

旧中村家住宅の共通券は、大人500円、小中高150円です。この1枚で、旧中村家住宅、旧檜山爾志郡役所(江差町郷土資料館)、旧関川家別荘の3施設に入れます。旧檜山爾志郡役所は、江差町郷土資料館の名前でも案内されています。街道歩きで複数の施設を見るつもりなら、共通券を使うのが手堅い選び方です。

11月から3月は月曜と祝日の翌日が休みになる

冬に訪れる人は、休館日に注意してください。旧中村家住宅も開陽丸記念館も、11月~3月は月曜と祝日の翌日が休みです。4月~10月は無休なので、日程を決めやすい季節です。年末年始の12月31日~1月5日は、どちらも休館になります。

なお、開陽丸記念館の券の販売は16:30で終わります。閉館の17:00の直前に着いても入れない場合があるので、余裕を持って向かってください。

街道沿いのカフェと食事処は3店を確認

街道歩きの休憩に使えるお店として、次の3店を確認しました。営業時間と定休日は、この記事では確認できていません。立ち寄る前に、お店の最新の情報を調べてください。

店名特徴
kamome coffeeスペシャルティコーヒーと自家製のスコーンが特徴のカフェ
蕎麦茶庭まるにし蕎麦パスタや蕎麦白玉パフェなど、蕎麦を使った料理が楽しめる喫茶店
Ichibankura蔵の中にあるカフェで、シフォンケーキが特徴

このほか、ラーメン店や寿司店といった食事処もあります。コーヒーを飲みたい人はkamome coffee、軽く甘いものを食べたい人は蕎麦茶庭まるにしかIchibankuraが向いています。蔵の中のカフェは、日本遺産の街並みを歩いた後の休憩場所として、雰囲気のうえで合っています。

姥神大神宮渡御祭は2026年8月9日から11日に開かれた

姥神大神宮渡御祭は、江差の夏を代表する祭りです。ニシン漁を終えた夏に、豊漁への感謝を込めて始まったのが起源で、380年余りの歴史があります。北海道遺産に認定されています。

13台の山車が神輿の後ろについて進む

神輿の後ろを、京都の祇園祭の流れをくむお囃子にのって、13台の山車(ヤマ)が供奉して進みます。山車は、それぞれの町内が個別に保存し、継承しています。13台がそろって巡行するのは、町内ごとの積み重ねがあってのことです。街道の電線が地中化されたことで、この山車の巡行はスムーズになりました。

2026年の日程はすでに終了した

2026年は、8月9日(日)から8月11日(火・祝)まで開かれました。8月9日には御霊代奉遷祭と先導山車定之儀が、8月10日(月)には本祭の下町巡行が、8月11日には本祭の上町巡行が行われています。

2026年の開催は終わっています。次に祭りを見たい人は、江差町の観光情報で来年の日程を確認してください。

江差追分全国大会は毎年9月中旬の3日間

江差追分は、北海道の無形民俗文化財に指定されています。姥神大神宮渡御祭と江差追分は、あわせて北海道遺産にも指定されています。

江差追分全国大会は、1963年から続く民謡の全国大会で、日本で最も歴史のある大会です。毎年9月中旬の3日間、全国から約370人の民謡歌手が集まり、日本一の歌い手を目指して競います。

江差追分会館では、歴代の優勝者らによる本格的な江差追分を聴けます。年間を通して、江差追分の歴史や技法を知ることもできます。大会の時期に合わせられなくても、会館なら1年中訪れられます。

かもめ島とかもめの散歩道コースは別の機会に歩く

すこやかロードに認定された江差町のもうひとつのコースが、「かもめの散歩道コース」です。かもめ島(鴎島)にちなんだ名前のコースですが、詳しいルートは、この記事では確認できていません。

かもめ島は、日本遺産に認定された江差の歴史を象徴する島です。日本の夕陽百選に選ばれた景勝地として紹介されています。いにしえ街道散策コースを歩いた日に、続けてかもめ島まで足を延ばすかどうかは、時間と体力を見て決めるのがよいでしょう。

歩く前によくある疑問への答え

ここまでの内容から、よくある疑問に答えます。

コースマップはどこでもらえるのかという疑問には、保健センター(江差町役場内)と海の駅開陽丸で受け取れる、と答えます。この2か所が、コースのスタート地点です。

コース全体の距離や所要時間は、この記事では扱っていません。コースマップで確認するか、江差町役場の健康推進課に問い合わせてください。街並みそのものが約1.1km続くことは確認できています。

冬でも歩けるのかという疑問については、見学施設の休館日を先に確認してください。旧中村家住宅も開陽丸記念館も、11月~3月は月曜と祝日の翌日が休みで、年末年始の12月31日~1月5日も休館です。

すべての施設を回るなら、どの券を買うかも決めておきたいところです。旧中村家住宅の共通券は、大人500円、小中高150円で、旧中村家住宅、旧檜山爾志郡役所(江差町郷土資料館)、旧関川家別荘の3施設に入れます。開陽丸記念館は別料金で、大人500円、小中高生250円です。

初めての江差は海の駅開陽丸からゆっくり歩くのが手堅い

いにしえ街道散策コースは、道が認定した健康づくりのコースであり、日本遺産のまちの中心を歩ける観光の道でもあります。北海道の江差町を訪れるなら、コースマップが手に入る海の駅開陽丸から始めて、旧中村家住宅の共通券を買い、街道沿いのカフェで休みながら歩くのが、いちばん無理のない回り方です。

街並みは約1.1km続き、旧中村家住宅や姥神大神宮などの見どころが街道沿いに集まっています。夏の姥神大神宮渡御祭や、9月中旬の江差追分全国大会に合わせて訪れれば、街並みとあわせて行事も楽しめます。出発前には、施設の料金や休館日、お店の営業時間を、最新の公式情報で確認してください。

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