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小豆島の寒霞渓は、行きはロープウェイで山頂駅まで上がり、帰りは歩いて下るのが定番の楽しみ方です。紅葉の見頃は例年11月上旬から下旬で、色づきは標高612mの山頂駅付近から始まり、麓へ向かって下りていきます。西側の表登山道には表十二景と呼ばれる12の景勝地が並び、約2kmの道のりを1時間ほどで歩けます。
寒霞渓(かんかけい)は、小豆島(しょうどしま)という香川県の島にある渓谷で、東西に約7km、南北に約4kmの広さがあります。高松市の沖に浮かぶこの島は香川県でいちばん大きく、瀬戸内海でも淡路島に次ぐ2番目の広さです。渓谷には切り立った崖と奇妙な形の岩がいくつも続き、秋は岩の灰色や茶色に赤や黄色の葉が重なって、その先に瀬戸内海が見えます。
2026年の秋については、日本気象協会が9月に出した全国の紅葉予想で、見頃は平年並みか、平年より遅くなる見通しでした。前年の2025年は高い気温が続き、紅葉の始まりが例年に比べて1週間ほど遅かったと報道されています。出発の直前に、寒霞渓ロープウェイへ色づきの具合を問い合わせるのが確実です。

寒霞渓の紅葉の見頃は例年11月上旬から下旬
寒霞渓で紅葉が見頃を迎えるのは、例年11月上旬から下旬にかけてです。山頂付近の見頃を11月の中旬から下旬として紹介している案内もあります。
色づきは山頂駅から麓へ下りていく
紅葉は、標高の高い山頂駅のあたりから先に色づきます。そこから時間をかけて、少しずつ麓のほうへ下りてきます。山頂駅の周りが赤く染まっていても、麓の木はまだ緑のまま、という時期もあります。
この順番があるので、秋は山頂から麓へ下りながら、色づきの移り変わりを追う歩き方が合っています。
見頃は気温しだいで年ごとに前後する
見頃の時期は、毎年同じではありません。2022年は気温差の影響で色づきが例年より数日早く進み、見頃は11月中旬になると見込まれていました。
色づく木はカエデ類やイワシデなど約50種
寒霞渓の紅葉をつくる主な木は、カエデ類とニシキギ、それにツタやシデ類です。灰色の岩の前でとくに映える赤や黄色の木として、カエデとイワシデの名前がよくあがります。紅葉する木と黄葉する木を合わせると、その数は50種ほどになります。
紅葉の時期も夜のライトアップはなし
紅葉情報では、寒霞渓の夜のライトアップは「なし」と案内されています。紅葉にあわせた催しには「寒霞渓もみじ茶会」があり、2025年は11月3日の開催が予定されていました。
寒霞渓はロープウェイで上り、歩いて下るのが基本
上りの約300mの高低差は、ロープウェイに乗れば歩かずに済みます。
表と裏の2本の登山道はどちらも約1時間
山頂駅の近くからは、表と裏の2本の登山道が延びています。
| コース | 方向 | 距離 | 歩く時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 表登山道(表十二景) | 山頂の西側 | 約2km | 約1時間 |
| 裏登山道(裏八景) | 山頂の東側 | 約1.8km | 約1時間 |
表登山道は四望頂や女羅壁、烏帽子岩などを通り、傾斜が比較的ゆるやかです。
ロープウェイは山頂駅まで約5分、12分おきに運行
寒霞渓ロープウェイは、標高295mのこうん駅(紅雲亭)と、標高612mの山頂駅を結んでいます。全長は917m、高度差は312mで、乗っている時間は約5分です。ゴンドラは12分ごとに出ています。体力に自信があれば、ロープウェイに乗らずに山頂駅まで自分の足で登るハイキングコースも選べます。
設備が新しくなったのは2015年(平成27年)で、更新は約30年ぶりでした。いまのゴンドラは40人乗りで、窓から外がよく見える造りです。
ふだんの運行は朝8時に始まり、夕方17時に終わります。冬の期間にあたる12月21日〜3月20日は時間が短くなり、始発が8時36分、終了が16時30分です。休業日はなく1年中動いていますが、強い風などで天気が荒れた日や、年に数回の臨時の運休日には止まります。料金は改定されることがあります。
表十二景は一景の通天窓から十二景の四望頂まで続く
表十二景とは、寒霞渓の西側を通る表登山道に並ぶ、12か所の景勝地のことです。東側の裏登山道にある8か所の裏八景と合わせて、「表十二景・裏八景」と呼ばれています。
12の景勝地のうち三景から八景はゴンドラの窓から見える
| 番号 | 名前 | 読み方 | 見られる場所 |
|---|---|---|---|
| 一景 | 通天窓 | つうてんそう | こうん駅の周辺 |
| 二景 | 紅雲亭 | こううんてい | こうん駅の周辺 |
| 三景 | 錦屏風 | きんびょうぶ | ゴンドラの窓から |
| 四景 | 老杉洞 | ろうさんどう | ゴンドラの窓から |
| 五景 | 蟾蜍岩 | せんじょがん | ゴンドラの窓から |
| 六景 | 玉筍峰 | ぎょくじゅんぽう | ゴンドラの窓から |
| 七景 | 画帖石 | がちょうせき | ゴンドラの窓から |
| 八景 | 層雲壇 | そううんだん | ゴンドラの窓から |
| 九景 | 荷葉岳 | かようがく | 四望頂展望台の周辺 |
| 十景 | 女羅壁 | じょらへき | 四望頂展望台の周辺 |
| 十一景 | 烏帽子岩 | えぼしいわ | 四望頂展望台の周辺 |
| 十二景 | 四望頂 | しぼうちょう | 四望頂展望台の周辺 |
五景の蟾蜍岩は、カエルが這う姿に似た岩です。十景の女羅壁は、公式の案内図では「女蘿壁」の字で書かれています。表と裏の登山道には、この蟾蜍岩のように変わった形の岩がほかにもたくさんあります。
十二景の四望頂からは内海湾と瀬戸内海まで見渡せる
表十二景のいちばん奥にある四望頂へは、山頂駅から10分ほど歩けば着きます。ここに立つと、十一景の烏帽子岩の形がはっきりわかり、渓谷の向こうに内海湾、そのさらに奥に瀬戸内海が見えます。
山頂付近には展望台が2つあり、渓谷と小豆島の街並み、瀬戸内に浮かぶ小さな島々を一度に眺められます。秋は紅葉を、夏は青い海と島の影を楽しめる場所です。
裏八景は鹿岩から始まる、約1.8kmの短めのコース
裏八景は、山頂の東側を通る裏登山道に並ぶ8つの景勝地です。表登山道より少し短いコースです。
第一景の鹿岩は、長い首を持ち、シシガミ様にも見える岩です。ほかに石門洞、松茸岩、石門が裏八景の代表的な景色として知られ、法螺貝岩もこの8つに入っています。
星ヶ城の東峰へは山頂駅から約2.3km、約1時間半
寒霞渓の東にある星ヶ城(ほしがじょう)は山城の跡で、星ヶ城山とも呼ばれます。山頂駅から東へ延びる登山道を約2.3km進むと東峰に着き、歩く時間は約1時間半です。
峰は2つあり、東峰が標高816.6m、西峰が標高804.9mで、2つの頂上は約400m離れています。東峰は、瀬戸内海の峰の中で最も標高が高いとされます。城は、南北朝時代に備前の豪族だった佐々木信胤が築いたと伝わっています。
寒霞渓の岩は約1300万年前の火山活動でできた
寒霞渓の断崖や奇岩は、約1300万年前の火山活動がもとになっています。火山から出た岩が層になって積み重なり、そのあと地殻変動と、雨や風による侵食を長い年月にわたって受けた結果、いまの切り立った姿になりました。
渓谷をつくっている岩は、安山岩の層や火山角礫岩の層です。安山岩(あんざんがん)は火成岩の仲間で、マグマが地表の近くで一気に冷やされて固まった、火山岩を代表する岩です。
寒霞渓は国の名勝で、日本三大渓谷美のひとつ
寒霞渓は耶馬渓や妙義山と並ぶ日本三大渓谷美のひとつに数えられ、同じ3か所が日本三大奇勝(日本三大奇景)として挙げられることもあります。日本百景と、「21世紀に残したい日本の自然100選」の両方にも選ばれています。
1923年(大正12年)には、「神懸山(寒霞渓)」の名前で国の名勝に指定されました。名勝とは、文化財保護法にもとづく記念物の一種で、芸術や鑑賞の面で価値の高い名所を国が指定するものです。
この名勝指定をきっかけに、1934年(昭和9年)3月16日、瀬戸内海国立公園が誕生しました。雲仙や霧島とともに日本で最初に指定された国立公園で、いまでは国内で最も広い国立公園です。環境省は、公園を代表する景観地として、寒霞渓を積善山とともに紹介しています。
寒霞渓という名前は明治の初めに藤沢南岳がつけた
いまの「寒霞渓」という名前は、明治の初めに儒学者の藤沢南岳がつけたものです。それ以前は「鍵掛」や「神懸」といった字があてられていました。古くは『日本書紀』にも、この場所についての記述があるとされます。
藤沢南岳(ふじさわ なんがく)は、讃岐、いまの香川県出身の儒学者です。1842年に生まれて1920年に亡くなるまで、幕末から大正にかけて活動し、泊園書院の二代目院主を務めました。
寒霞渓へは草壁港からバスで約15分、駐車場は無料
寒霞渓の玄関口になるこうん駅(紅雲亭)へは、草壁港からバスで約15分で着きます。車で行く場合、駐車場は無料で、大型バスも停められる広さがあります。
紅葉の時期に歩くなら明るいうちに下り終える計画を
紅葉のころは日暮れが早いので、出発は早い時間帯にしてください。山道に慣れていない人は、明るいうちに歩き終えられるように時間を組むと安心です。
まとめ
寒霞渓の秋は、ロープウェイで山頂駅へ上がり、帰りは歩いて下るのが定番です。紅葉は例年11月上旬から下旬が見頃です。表十二景のうち三景から八景はゴンドラの窓から眺められ、十二景の四望頂からは内海湾と瀬戸内海まで見渡せます。








