多摩湖を歩いて一周するなら、距離は約11.8kmです。自転車歩行者道は湖を囲む道ではなく、堰堤の南端から西東京市へ延びる全長21.9kmの別の道なので、この2つは分けて考える必要があります。東京の東村山市に堰堤を持つ多摩湖は、正式には村山貯水池という名前の水がめで、周囲の道は車の少ない散策路としても使われています。
この記事では、東大和市が示した一周の距離と、自転車歩行者道の作りと距離感、湖畔で見られる第一取水塔と狭山公園、そして出かける前に確かめておきたい点を順に整理します。読み終えると、半日で湖を歩くのか、一日かけて水道道路まで足を延ばすのか、自分の足と時間に合わせて選べるはずです。情報は2026年10月8日時点で確認できた範囲のもので、距離や通行ルールは変わることがあります。

多摩湖の一周は約11.825km、半周なら7.242km
多摩湖の全周コースは11.825kmです。東大和市が2016年3月に作成したランニングマップに、この数字が載っています。同じマップには半周コースの7.242kmと、公園を回る周回コースの2.407kmも記載されています。
起点は「水の精像」で、日本初の女子フルマラソン大会の記念碑にあたります。ここを出発点に路面へ距離表示が設置されているため、今どこまで歩いたのかを数字で確かめながら進めます。ウォーキングでもランニングでも、ペース配分の目安になる点は助かります。
| コース | 距離 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 全周 | 11.825km | しっかり歩きたい人 |
| 半周 | 7.242km | 半日で切り上げたい人 |
| 公園周回 | 2.407km | 短時間で雰囲気を知りたい人 |
数字は2016年3月時点のマップのものです。その後に堤体強化工事が行われた経緯もあるため、今の路面表示や通行できる区間は、東大和市の公式案内で確かめてから出発すると安心です。
歩きやすさの面では、信号や交差点を横切らずに、湖畔の樹木に囲まれて進める点が人気です。ランニング大会の案内にも、この特徴が書かれています。車道を渡る場面が少ないぶん、足を止めずにリズムを保てます。
湖を囲む道は二輪車が通れない区間が多く、歩行者には歩きやすい
湖を囲む道路は、ほとんどの区間で二輪車の通行が禁止されているという案内があります。道はワインディングで、曲がりくねっています。このため車の流れが穏やかで、歩く側にとっては落ち着ける環境です。
ただし、自転車がこの規制の対象に含まれるのかどうかは、私が確認できた範囲でははっきりしませんでした。サイクリングで周回する予定の人は、現地の標識で必ず確かめてください。原付を含む二輪車が禁止されているという情報は、自転車の可否を示すものではありません。
堰堤の上からは、取水塔がアクセントになった、異国情緒のある景観が広がります。村山貯水池には堤防の上の遊歩道があり、湖を一周するサイクリングコースもあると案内されています。遊歩道を歩けば、水面と取水塔を同じ視界に収められます。
なお多摩湖は貯水池です。釣りやボート遊びはできません。水辺で遊ぶ場所ではなく、周囲を歩いて眺める場所だと割り切ると、過ごし方が決まります。
多摩湖自転車歩行者道は全長21.9kmで、直線が10kmに及ぶ
多摩湖自転車歩行者道の全長は21.9kmです。正式名称は東京都道253号保谷狭山自然公園自転車道線といいます。途中には10kmに及ぶ直線道路があり、都内でも長い直線として知られています。
走る場所は、西東京市、小平市、東大和市、武蔵村山市、東村山市の5市です。多摩湖の堰堤の南端から東大和市などを通って西東京市まで続き、五日市街道の関前五丁目交差点あたりがスタート地点とされています。起点をどちらに見るかで説明が変わるので、記事や地図を見るときは、どちらの端の話をしているのかを確かめてください。
直線部分は、多摩湖の水を武蔵境の浄水場へ流す水道施設の上を使った「水の道」です。都立狭山・境緑道として整備されています。道幅は4mの舗装道で、多摩湖から境浄水場への送水管が埋設された水道道路でもあります。
起伏が少なく見通しがよいので、通勤や通学にも使われています。小平駅前では一般道に出るため、「多摩湖自転車歩行者道」のほか「水道道路」とも呼ばれます。呼び名が複数あるのは、同じ道を指しているからです。
通行のしかたは、北側を自転車が走り、南側を歩行者が歩く形です。全体としては歩行者優先になっています。自転車で走る場合は、歩く人のすぐ横を通ることを前提に、速度を落として進むのが基本です。
| 項目 | 湖の一周コース | 自転車歩行者道 |
|---|---|---|
| 距離 | 約11.825km | 全長21.9km |
| 形 | 湖を囲む周回 | 細長い直線的な路線 |
| 道幅の目安 | 資料に記載なし | 4mの舗装道 |
| 通行の分け方 | 二輪車が通れない区間が多い | 北側が自転車、南側が歩行者 |
起点からの距離感は、5.5kmで小平駅、9kmで空堀川、10kmで武蔵大和駅
自転車歩行者道を走ったBE-PALの記事には、距離の目安が書かれています。スタートからおよそ5.5kmで小平駅に着き、約9kmの地点で空堀川と交差します。10km地点は武蔵大和駅の西側の交差点です。
この3つの地点は、歩くときの休憩ポイントにもなります。5.5kmで駅前に出られるので、飲み物を調達する場所として覚えておくと便利です。10kmの地点が武蔵大和駅の西側にあることは、帰りの電車の見通しにも役立ちます。
西武線が自転車道の近くを並走する区間もあります。電車の音を聞きながら進む場面があり、疲れたときに最寄り駅へ逃げやすい道です。全長21.9kmを一度に歩き通す自信がなくても、駅を目印に区間を切って歩けます。
全長については、別の紹介で湖の周回と武蔵野市関前までの水道上21kmを多摩湖自転車道とする説明もあります。21.9kmと21kmで表記が違うので、本記事では全長21.9kmを基本の数字に置いています。
自転車歩行者道は桜の時期に表情が変わり、アジサイまで楽しめる
自転車歩行者道は、桜が見られる道としても知られています。多摩湖堤防の南端、都立狭山公園の入口付近から西武多摩湖線に沿って進むと、桜の並木が続きます。四季ごとに違う木々が目に入る道です。
場所ごとに見どころが違います。
| 場所 | 見られるもの |
|---|---|
| 小平駅から花小金井駅の区間 | 桜の木が続く「齋藤素巌・彫刻の小径」 |
| 花小金井駅付近 | 馬の背の土手と並行して伸びる道 |
| 東村山市の空堀川周辺(狭山堀橋付近) | カワヅザクラなど |
| たけのこ公園周辺、小金井公園 | ソメイヨシノ |
| 八坂駅周辺 | ヤマザクラ |
| 西東京市の区間 | ハナモモ、レンギョウ、ユキヤナギ。6月から7月はアジサイ |
小平ふるさと村や小平駅周辺では、桜と古い建物を組み合わせて楽しめると紹介する記事もあります。2018年の旅行記には、西武線の花小金井から萩山までの区間で桜が満開の時期に散歩した記録が残っています。
桜の時期の注意点も1つあります。道が狭く人が多いため、トレーニング目的の自転車走行には向きません。休日はゆっくり進む前提で計画してください。具体的な見頃の日付は私の調べでは確認できませんでした。年によって開花は変わるので、直近の開花情報を調べてから出かけるのが確実です。
第一取水塔は大正14年に完成した、多摩湖を代表する建物
多摩湖の景観を決めているのは、村山下貯水池の第一取水塔です。1925年(大正14年)に完成しました。高さは27.1m、外径は8.8mで、ドーム屋根と、アーチ窓でアクセントをつけたタイル張りの外壁が特徴です。設計は玉置岩男とされています。
取水塔は大部分が水面下にあります。7口ある取水口は外から見ることができません。陸側とは管理用のトラス橋で結ばれており、狭山公園から歩いて眺められます。
土木遺産に認定されていて、東京都の「都選定歴史的建造物」にも選定されています。1925年に建てられたネオ・ルネッサンス様式の建物として、湖畔の風景の中心にあります。内部を見学できるかどうかは、私が確認できた範囲では分かりませんでした。外から眺めるものと考えておくのが無難です。
取水塔の数は資料によって表記が違います。ある資料は村山下貯水池の取水塔を2基としていますが、本記事で扱うのは最も知られた第一取水塔だけです。
実物を見られない人や、歴史を詳しく知りたい人には、文京区本郷にある東京都水道歴史館があります。1階に第一取水塔の実物大模型が展示されています。開館時間は9:30から17:00(入館は16:30まで)で、休館日は第4月曜(祝日・振替休日の場合は翌日)と年末年始です。入館料は無料で、都営三田線の水道橋駅と都営大江戸線の本郷三丁目駅から、それぞれ徒歩8分です。
堤体の規模と成り立ちを知ると、歩く道の意味が変わる
多摩湖の正式名称は村山貯水池です。東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵を利用して造られた、アースダム形式の貯水池になります。アースダムとは、土を積み上げて造るダムのことです。
貯水池は、西側(上流側)の村山上貯水池と、東側(下流側)の村山下貯水池に分かれています。大正時代の東京市の水不足を背景に造られ、人口増加に対応した水源の確保が目的でした。
2つの堤体の規模は次のとおりです。
| 貯水池 | 完成 | 堤高 | 堤頂長 |
|---|---|---|---|
| 村山上貯水池 | 1924年(大正13年)3月 | 24.24m | 318.2m |
| 村山下貯水池 | 1927年(昭和2年)3月 | 34.5m | 610.0m |
村山上貯水池の堤体は、都道55号線の一部になっています。堰堤の上を歩くとき、足元が道路の一部であることを思い出すと、スケール感がつかめます。
水の流れも押さえておきましょう。多摩川の水は羽村取水堰などで取り入れられ、多摩湖に貯められます。そこから東村山市の東村山浄水場と、武蔵野市の境浄水場へ送られています。自転車歩行者道の直線部分が境浄水場への送水管の上にあることを思い出すと、湖と道が1本の水道でつながっているのが見えてきます。
隣には山口貯水池(狭山湖)があり、連絡管でつながって一体で運用されています。山口貯水池は昭和9年(1934年)に完成しました。
狭山公園は入園無料で、堰堤から桜園を見下ろせる
狭山公園は村山下貯水池の東側に整備された公園で、入園は無料です。多摩湖の堰堤の東側に広がっており、堰堤に上ると快晴の日には富士山まで見渡せるとされています。堰堤から桜園を見下ろせる、数少ない公園という紹介もあります。
園内には、狭山丘陵の湧水や多摩湖からの流水でできた宅部(たっちゃん)池があり、雑木林に囲まれています。開放感のある芝生広場と太陽広場もあります。展望台からは、多摩湖と西武ドームを見下ろせると案内されています。池の杭にはカワセミ、木陰にはリスが現れることもあるそうです。
季節ごとの見どころをまとめます。
| 時期 | 見どころ |
|---|---|
| 春 | 桜。ソメイヨシノが約300本と案内する撮影ガイドもあります(情報源は1つ) |
| 9月下旬ごろ | ススキの見頃 |
| 11月下旬から12月上旬 | 紅葉の見頃 |
約300本という桜の本数は、1つの撮影ガイドにしか載っていません。数字は目安として受け取ってください。
利用面では、管理所の開館時間が8:30から17:30で、休館日は年末年始です。最寄り駅は、公式の資料に西武多摩湖線の多摩湖駅または武蔵大和駅から徒歩約3分とあります。別の案内では西武遊園地駅からの行き方が書かれており、駅名の表記が統一されていません。出発前に公式の案内を確かめて、駅名を決めてください。
車で行くなら、狭山公園の無料駐車場かコインパーキング
車で行く場合、狭山公園には駐車場があります。利用は無料で、二輪車の駐車スペースもあります。
多摩湖駅(西武遊園地駅)の周辺には、時間貸しのコインパーキングが複数あります。最大料金の設定があるところを選ぶと、長時間停めても料金を抑えられます。多摩湖駅から徒歩10分ほどの距離に、予約制の駐車場もあります。
休日や観光シーズンは混雑します。早めに着くか、コインパーキングを使う計画にしておくと慌てずに済みます。料金や台数は変わるため、出発前に最新の情報を調べてください。
電車で行く場合の目安は2つです。第一取水塔へは、西武多摩湖線の武蔵大和駅から徒歩15分です。狭山公園は、多摩湖駅または武蔵大和駅から徒歩約3分と案内されています。歩く距離が長い場合は、帰りの体力も計算に入れておきましょう。
狭山湖(山口貯水池)の外周は一部がダートで、多摩湖と性格が違う
多摩湖の隣にある狭山湖は、所沢市と入間市にまたがる人造湖です。水鳥の楽園とも呼ばれ、カンムリカイツブリの越冬地として有名です。多摩湖と並べて歩く人も多いので、違いを整理します。
| 項目 | 多摩湖 | 狭山湖 |
|---|---|---|
| 周回道路 | 二輪車禁止の区間が多い、ワインディングの舗装路 | 外周林道(通称・狭山湖林道)、一部がダート |
| 景観 | 堰堤と取水塔 | 水鳥 |
| 最寄り | 多摩湖駅・武蔵大和駅付近 | 西武球場前駅から徒歩15分 |
狭山湖の外周は、一部が未舗装です。歩くなら靴の選び方が変わります。野鳥が多く、周辺にはオオタカも生息しているため、近づきすぎない配慮が求められます。
両方を回る予定の人もいるでしょう。武蔵大和駅付近を起点に、多摩湖から狭山湖まで一周するウォーキングは約20kmだったという利用者の投稿があります。狭山湖の一周は13kmほどという記述もあり、学校行事のマラソン距離として挙げられています。いずれも個人や学校行事の情報なので、正確な数字というより目安として扱ってください。
出かける前に確認する3点は、通行状況、駅名、見頃
準備で確かめる点を3つに絞ります。
1点目は通行状況です。2026年の多摩湖自転車歩行者道について、通行規制や工事の情報を、私は調べた範囲で見つけられませんでした。ないという意味ではなく、確認できていないだけです。東京都建設局の道路情報と、沿線の西東京市、小平市、東大和市、武蔵村山市、東村山市の道路工事のお知らせ、現地の掲示を見てください。
湖の周りでは、堤体強化工事のため一時中止された大会もありました。多摩湖駅伝大会は毎年春分の日に開かれています。工事で中止された時期があり、令和6年度に復活しました。令和8年度の大会は2027年3月21日の開催予定で、スタートとゴールの位置やコースが変更される予定です。湖の周りの道は、工事の有無で表情が変わります。
2点目は駅名です。狭山公園の最寄りが、資料によって多摩湖駅、武蔵大和駅、西武遊園地駅と分かれています。乗る電車と降りる駅は、公式の案内で決めてください。
3点目は見頃です。桜は春、ススキは9月下旬ごろ、紅葉は11月下旬から12月上旬が目安です。2026年10月8日現在は、ススキが見頃を迎え、紅葉を待つ時期にあたります。年ごとに前後するので、直近の情報を確かめてください。
貯水池の開放時間や見学の予約方法については、私の調べでは確認できませんでした。問い合わせるなら、狭山公園パークセンターが窓口として挙げられています。
多摩湖の歩き方についてよくある疑問
自転車歩行者道を歩いて一周できるのかという疑問は多いと思います。結論から言うと、一周にはなりません。湖の一周は約11.825kmの周回コースで、自転車歩行者道は堰堤の南端から西東京市まで続く全長21.9kmの別の道です。
どちらから始めるとよいかは、時間で決まります。半日なら湖の半周7.242kmか全周11.825km、一日使えるなら自転車歩行者道の駅区間を切って歩く計画が合います。駅が5.5km、9km、10kmの目印で並んでいるので、疲れたら切り上げられます。
釣りやボートができるかと聞かれることもあります。多摩湖は貯水池のため、釣りやボート遊びはできません。景色を眺めて歩くのが、ここでの楽しみ方です。
家族連れや学校の利用もあるのか、という点も押さえておきましょう。狭山公園に近接した、湖を一周するサイクリングコースは、家族連れや学校の利用も多いとされています。入園が無料で、駐車場も無料なので、気軽に行きやすい公園です。
湖を歩くなら11.8km、自転車歩行者道は区間を切って楽しむ
多摩湖を一周する距離は約11.825kmです。自転車歩行者道は、これとは別に全長21.9kmの直線的な道が控えています。湖畔では第一取水塔と堰堤の景色、狭山公園の桜と紅葉、水道道路では桜並木と季節の花が待っています。
まず湖を半周か全周して、距離表示で足の感覚をつかんでください。その次に、小平駅までの約5.5kmのように、駅を目印にして自転車歩行者道を歩く区間を決めると、無理のない計画になります。
出かける前は、通行状況と最寄り駅の名前、見頃の時期を公式の案内で確かめてください。この3点さえ押さえれば、東村山の堰堤から始まる散策は、半日でも一日でも成り立ちます。








