紀北町の城ノ浜遊歩道は絶景ウォーキングコースで所要1時間半

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三重県北牟婁郡紀北町にある城ノ浜遊歩道は、熊野灘を見渡せる絶景ウォーキングコースとして知られる海沿いの遊歩道です。西口から展望台までは片道およそ1時間、尾根伝いに木々の合間を歩いていくと、紺碧の海と入り組んだリアス海岸が少しずつ視界に広がります。派手な観光施設はなく、地元の人たちが散歩や健康づくりに利用してきた静かな道であることも特徴のひとつです。世界遺産・熊野古道の玄関口という土地柄もあり、山の参詣道と海のハイキングコースをあわせて楽しめる点も紀北町らしいところでしょう。この記事では、城ノ浜遊歩道の基本情報やアクセス方法、コースの見どころ、周辺の観光スポットやグルメ情報まで、紀北町を歩いてみたい人に向けてまとめます。

目次

紀北町は林業と水産業で1万8千人が暮らす町

紀北町は三重県南部、北牟婁郡に位置する町です。2005年10月11日に旧紀伊長島町と旧海山町が合併して誕生しました。南は尾鷲市に接し、東部は太平洋に面しています。2010年時点の人口はおよそ1万8,611人で、林業と水産業を基幹産業としています。伊勢エビをはじめ県下でも有数の水揚げを誇る漁業の町として知られ、豊かな山林と海に囲まれた地形が特徴です。合併前の紀伊長島町は、1970年に長島町から名称を変更して誕生した歴史を持ちます。こうした山と海の両方を抱える地形が、城ノ浜遊歩道のような海を望むハイキングコースや、熊野古道のような森の参詣道を町内に育んできた土壌といえそうです。

城ノ浜遊歩道はホテル季の座付近から続く1.8キロの尾根道

城ノ浜遊歩道は、紀北町東長島の城ノ浜地区にある海沿いのハイキングコースです。登り口は天然温泉が自慢の宿「きほく千年温泉 ホテル季の座」の付近にあり、そこから丘陵の尾根を伝って歩いていくと、木々の間から熊野灘の景色が所々に見えてきます。コースの延長はおよそ1.8キロメートルで、終盤には展望台が設けられています。展望台からは、青く広がる熊野灘、リアス海岸特有の入り組んだ海岸線、そして遠く沖合まで続く水平線を一望できます。このエリアは伊勢志摩国立公園の一部にも含まれており、椿や桜、ツツジといった花木が春先から初夏にかけて次々と咲き誇ります。特別な観光施設があるわけではありませんが、そのぶん静かな自然歩道として、地元住民の散歩やウォーキング、健康づくりの場としても親しまれてきました。

西口から展望台まで片道1時間、東口まで抜けると1時間半

城ノ浜遊歩道には西口と東口の二つの入り口があります。西口はホテル季の座付近、東口は城ノ浜方面に位置しており、目的や体力に応じてルートを選べます。西口から展望台までは片道およそ1時間、西口から展望台を経由して東口まで通り抜けるとおよそ1時間半の行程です。特別な登山装備は不要ですが、尾根道であるためアップダウンがあり、歩きやすい靴と飲み物を用意して臨むのがおすすめです。本格的な登山というよりは気軽なハイキングや健康ウォーキングに分類されるコースで、家族連れやシニア世代でも無理なく歩ける距離感になっています。

尾根伝いのルートでは、木々の切れ間から熊野灘の海が見え隠れし、歩みを進めるたびに違う角度から海の景色が現れます。終点近くの展望台に到達すると視界が一気に開け、熊野灘の大パノラマが目の前に広がります。海風を感じながら、しばらく足を止めて景色を眺める人も多いようです。

車なら紀勢自動車道、鉄道なら紀伊長島駅から車で10分

城ノ浜遊歩道および周辺の城ノ浜エリアへは、車と鉄道のどちらでもアクセスできます。車を利用する場合は、紀勢自動車道や国道42号線を経由して紀北町東長島エリアを目指します。城ノ浜海水浴場や熊野灘臨海公園の最寄りとなる紀伊長島駅からは車でおよそ10分の距離です。駐車場については、ホテル季の座のパーキングがシーズン中は有料(1台1,000円程度)で利用できるほか、旧まごたろうプールの第一・第二駐車場や体育館の駐車場など、無料で利用できるスペースも点在しています。ただし無料駐車場から現地までは400メートルほど歩く必要があるため、時間に余裕を持って計画したほうが安心です。

鉄道を利用する場合は、JR紀勢本線の紀伊長島駅または三野瀬駅が最寄り駅になります。紀伊長島駅は特急も停車する主要駅で、東京や大阪方面からのアクセス拠点として便利です。三野瀬駅は普通列車のみが停車する無人駅ですが、城ノ浜により近い立地にあります。町内には尾鷲海山線や海山長島線、島勝線、河合線といった路線バスも運行しているので、公共交通機関を利用する場合は事前に紀北町の公式サイトなどで時刻表を確認しておくと安心です。

熊野灘臨海公園は4地区にまたがりホテルからキャンプ場まで一体整備

城ノ浜遊歩道が位置するエリアは、紀北町が整備する熊野灘臨海公園の一部にもあたります。熊野灘臨海公園は町内の4地区にまたがる広大な公園で、ホテルやキャンプ場、ビーチ、道の駅、展望台、遊歩道が一体的に整備されています。中でも「城ノ浜プール&ビーチ」は、波の穏やかな内湾に位置する海水浴場として夏場に多くの家族連れで賑わうスポットです。すぐそばにキャンプ場やホテルもあるため、ウォーキングとあわせて一日のんびり過ごす計画も立てやすくなっています。

国道42号沿いの高塚公園の看板を目印に左折すると、高塚山展望台にもアクセスできます。駐車場から徒歩5分ほどの坂道を登ると、熊野灘や伊勢志摩の島々を望む眺望ポイントに到達します。城ノ浜遊歩道の展望台とはまた違った角度からの景色が楽しめるため、体力や時間に余裕があれば合わせて訪れてみるのもよいでしょう。三浦地区にある高塚展望台は、通称「紀伊松島」と呼ばれる大小の島々やリアス海岸の景観が望めることで知られ、初日の出のスポットとしても人気を集めています。

近隣の豊浦海岸も、穏やかな入り江から紀伊松島を望める景勝地です。1980年に放送された時代劇「将軍」のロケ地としても使われた歴史があり、静かな海辺の風景を楽しみながら散策できます。城ノ浜遊歩道とあわせて巡れば、紀北町のリアス海岸ならではの多彩な海景色を一度に味わえるはずです。

熊野灘臨海公園内には「孫太郎オートキャンプ場」も整備されており、グランピングやコテージ、ログキャビン、テントサイトなど宿泊タイプが揃っています。料金の目安は次のとおりです。

サイトタイプ料金の目安
オート1区画3,350円〜7,150円
AC電源付き5,000円〜9,900円
フリーサイト2,800円〜4,950円
コテージ(5人用1棟)16,250円〜36,100円
コテージ(10人用1棟)25,900円〜51,200円
ログキャビン8,800円〜18,700円

海の幸を使ったバーベキュー食材の販売や豊富なレンタル用品も用意されているため、手ぶらでのキャンプも可能です。ウォーキングで汗をかいた後、そのままキャンプ場に宿泊して一泊二日の旅程を組む楽しみ方もできそうです。

紀北町には城ノ浜遊歩道のほかに8つのウォーキングコースがある

紀北町には城ノ浜遊歩道以外にも、健康づくりを目的とした複数のウォーキングコースが整備されています。紀北町健康ウォーキングマップによると、代表的なコースは次のとおりです。

コース名距離の目安
片上池周回コース約2.2キロメートル
赤羽公園周回コース約1.5キロメートル
江ノ浦周回コース約3.6キロメートル
道瀬・豊浦周回コース約4.1キロメートル
大白公園周回コース約2.2キロメートル
島勝周回コース約2.6キロメートル
白石湖周回コース約5.0キロメートル
権兵衛の里・キャンプinn海山周回コース約5.0キロメートル

それぞれ距離や地形の特徴が異なり、海沿いや池の周りなど景観もさまざまです。城ノ浜遊歩道で物足りなさを感じた場合や、逆に距離が長すぎると感じた場合には、こうしたコースから自分の体力や目的に合ったものを選ぶこともできます。紀北町全体が歩いて楽しめる町として、健康増進とセットでウォーキング文化を推進している点は特筆すべきところでしょう。

紀北町は町の面積のおよそ9割を森林が占める自然豊かな地域でもあります。石畳の階段と空を覆うヒノキ林が続く熊野古道の森は、タイムスリップしたかのような神秘的な雰囲気を持つと評され、ウォーキングだけでなく森林浴を目的に訪れる人も多いようです。東南部に面する熊野灘は、魚介類や貝類、干物、鰹節などの水産業が盛んな漁場でもあり、水と緑の両方に恵まれた土地柄が紀北町のウォーキング文化を支えています。海辺の散策コースとしては、紀北町道瀬の海でSUPやカヤックを使った海上散歩も楽しめます。自然度と透明度に優れた熊野灘の海を漕ぎ出して無人の浜に上陸し、ティータイム休憩を取るといったアクティビティも人気だといいます。ウォーキングとあわせて海上からの絶景を楽しみたい人には、こうしたマリンアクティビティも選択肢のひとつになりそうです。

城ノ浜遊歩道周辺は熊野古道伊勢路の東紀州エリアに含まれる

紀北町は「世界遺産熊野古道のまち」を掲げており、城ノ浜遊歩道周辺のエリアも東紀州と呼ばれる熊野古道伊勢路の一部に含まれています。熊野古道伊勢路は、伊勢神宮への参拝を終えた旅人が熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)を目指した参詣道で、伊勢神宮から熊野速玉大社までの総距離はおよそ170キロメートルにおよびます。「伊勢へ七度、熊野へ三度」と歌われたように、古くから庶民の信仰の道として親しまれてきました。平安時代にその存在が知られるようになり、江戸時代以降には伊勢参宮を終えた旅人や巡礼者が数多く歩いたといいます。2000年には国の史跡に指定され、2004年7月には「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録されました。日本古来の自然信仰と大陸から伝わった仏教が融合して育まれたこの参詣道は、日本文化の発展にも大きな影響を与えたとされています。

熊野古道エリアには車で回れる絶景ポイントも点在しており、駐車場情報付きで紹介されているスポットも少なくありません。ウォーキング目的で紀北町を訪れる旅行者の中には、城ノ浜遊歩道だけでなく、熊野古道の名所である馬越峠(まごせとうげ)もあわせて巡るケースが多いようです。

馬越峠は紀北町と尾鷲市の境に位置する峠道で、熊野古道伊勢路の中でも特に美しいとされる石畳が続くことで知られています。花崗岩を丁寧に敷き詰めた石畳はおよそ2キロメートルにわたって続き、多雨地帯であるこの地域特有の豪雨や水の流れに耐えられるよう工夫が凝らされています。杉やヒノキの美しい木立に囲まれた道中には、子供の夜泣きに霊験があると伝わる「夜泣き地蔵」なども残り、古道歩きならではの歴史や信仰の気配を感じられます。峠からさらに足を延ばせば、約30分で天狗倉山(てんぐぐらやま)に到達し、山頂の展望台からは尾鷲の市街地と熊野灘を見渡す景色が楽しめます。道の駅海山からJR尾鷲駅まで通しで歩くコースはおよそ5キロメートル、所要時間は2時間半ほどが目安です。

熊野古道は苔むした石畳の古道歩きが魅力ですが、城ノ浜遊歩道はそれとは対照的に、海を望む明るい尾根道が魅力になっています。同じ紀北町・東紀州エリアで、山の古道と海のハイキングコースという異なる魅力を一日で楽しみ比べられるのも、このエリアならではの旅の醍醐味といえそうです。

ツツジが見頃を迎える4月から5月がベストシーズン

紀北町の年平均気温はおよそ16.1度で、一年を通して温暖で穏やかな気候に恵まれています。一方で年間降水量は北部の紀伊長島区で約2,562ミリ、南部の海山区では約3,309ミリにも達し、南部エリアは全国でも有数の多雨地帯として知られています。太平洋に面した地形と山がちな地形の両方の影響を受けやすいため、天気予報を確認したうえで出かけるのはもちろん、雨具や折りたたみ傘を持参しておくと安心です。

城ノ浜遊歩道を歩くのに特におすすめの季節は、春から初夏にかけてです。伊勢志摩国立公園エリア全体が温暖な気候に恵まれており、椿や桜に続いて、4月から5月頃にツツジが見頃を迎えます。濃いピンク色の花々と青い熊野灘のコントラストは、この時期ならではの景色です。

夏場は日差しが強く、尾根道は日陰が少ない区間もあるため、帽子や日焼け止め、十分な飲み物を準備して歩くのが望ましいところです。すぐそばの城ノ浜プール&ビーチで海水浴を楽しんでから、涼しい時間帯にウォーキングに出かける計画も人気のようです。秋から冬にかけては、空気が澄んで遠くの景色までくっきり見渡せる日が多くなります。紅葉のような派手な彩りは少ないものの、澄んだ青空と海のコントラストを楽しみたい人には冬場もおすすめの季節です。ただし尾根道は風が強く吹き抜けることもあるため、防寒対策をしっかりして出かけたいところです。

歩行時のポイントとしては、西口から展望台までの往路でしっかり景色を楽しみ、体力に余裕があれば東口まで抜けるルートを選ぶと、より多彩な熊野灘の表情を楽しめます。逆に体力や時間に制約がある場合は、西口から展望台までの往復コースに絞ることで、無理なく絶景ポイントまでたどり着けます。舗装されていない区間もあるため、スニーカーよりもトレッキングシューズやウォーキングシューズを選んでおくと安心です。

ウォーキング後は創業70年の寿司店でさんま寿しを味わえる

ウォーキングの後は、紀北町ならではのグルメを楽しむのもおすすめです。紀伊長島港では毎朝水揚げされた新鮮な魚が地元のスーパーや寿司店に並び、カツオや伊勢エビなど豊富な魚種を味わえます。中でも紀伊長島駅の目の前にある創業70年の寿司店「万両寿し」では、北海道産のサンマを使った名物の「さんま寿し」が人気を集めています。サンマの旨味とご飯がなじんだ味わいは、時間が経っても美味しさが変わらないと評判です。

紀北町の名物食材としてユニークなのが「マンボウ」です。マンボウの串焼きやマンボウ焼き、マンボウフライ、マンボウカレーなど、さまざまな調理法で提供されており、中にはマンボウ料理を専門に扱う民宿も存在します。また冬が旬の「渡利(わたり)かき」は、幻の牡蠣とも呼ばれる希少な特産品として知られています。このほか、知る人ぞ知る町のイチオシグルメとして「きほくラブめし」と名付けられたメニューも町内の飲食店で提供されています。ウォーキングで体を動かした後に、こうした地元グルメで一息つくのも紀北町旅の楽しみ方のひとつです。

道の駅海山ときいながしま港市は行き帰りに立ち寄れるスポット

ウォーキングの行き帰りに立ち寄りたいスポットとして、道の駅「海山」も見逃せません。紀北町と国土交通省が連携して整備した施設で、レストランや特産品直売所を備えた交流ホールとして、山の恵みと川の自然に囲まれた紀北町の憩いの場になっています。地元の農産物や加工品を手に入れたいときや、ドライブの休憩スポットとしても便利です。

紀伊長島港では毎月第2土曜日に「きいながしま港市」というイベントが開催されています。魚市場内に近隣の商店や生産者などおよそ8店が出店し、水揚げされたばかりの魚介類や農作物、菓子、珍味、雑貨などが地元価格より2〜3割ほど安く販売されます。紀伊長島の名物であるさんま寿しなど、ソウルフードを味わえる出店もあり、地元の活気を肌で感じられる機会になっています。さらに年末には「年末きいながしま港市」として、約8日間にわたる特別開催も行われます。ウォーキングの日程を港市の開催日にあわせて計画すれば、新鮮な海の幸をお土産に持ち帰ることもできそうです。

ホテル季の座の露天風呂はナトリウム塩化物泉で源泉温度34.5度

城ノ浜遊歩道の西口すぐそばにある「きほく千年温泉 ホテル季の座」は、ウォーキングの後に立ち寄るのに向いている日帰り入浴施設です。自家源泉のきほく千年温泉を大浴場「杢庭(もくてい)」に引いており、2014年のリニューアルで誕生した東紀州エリア最大級ともいわれる露天風呂では、波の音や満天の星空を感じながら湯につかることができます。泉質はナトリウム塩化物泉(加水・加温・循環併用)で、無色透明の湯は源泉温度34.5度です。神経痛や筋肉痛、関節痛、肩こり、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、捻挫、慢性消化器病、痔、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進など、幅広い効能があるとされています。日帰り入浴の営業時間は6時から10時30分、12時から23時までとなっており、時期により変動する場合があるため事前確認が望ましいところです。ウォーキングで火照った体をゆっくり癒やすのに向いている立ち寄りスポットといえるでしょう。

まとめ

城ノ浜遊歩道は、三重県紀北町にある知る人ぞ知る海の絶景ハイキングコースです。西口から展望台までおよそ1時間、東口まで抜けても1時間半程度という気軽な距離感でありながら、尾根道から望む熊野灘の景色は本格的な絶景と呼ぶにふさわしいものがあります。春から初夏にかけてはツツジなどの花々が彩りを添え、伊勢志摩国立公園ならではの自然美を味わえます。

アクセスは紀伊長島駅や三野瀬駅からの鉄道、あるいは国道42号線を利用した車での訪問が可能で、周辺には城ノ浜プール&ビーチ、熊野灘臨海公園、高塚山展望台といった見どころも点在しています。紀北町全体で複数のウォーキングコースが整備されており、健康づくりを目的とした町ぐるみの取り組みも盛んです。世界遺産・熊野古道の玄関口という立地もあり、山の古道歩きと海のハイキングを一度に楽しめるのがこのエリアの大きな魅力といえます。

観光地としての派手さは控えめですが、そのぶん静かに海と向き合いながら歩ける時間が城ノ浜遊歩道の一番の価値です。紀北町を訪れる際は、名物グルメを味わう計画とあわせて、この絶景ウォーキングコースを歩いてみるのもよさそうです。

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