横浜市でフレイル予防に取り組むなら、市内各地に整備されたウォーキングコースと元気づくりステーションの活用がおすすめです。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置する心身の衰えた状態を指し、早期発見と適切な対処によって状態の維持・改善が期待できます。横浜市では高齢化率が約25%を超え超高齢社会に突入しており、市が高齢者を対象に実施した調査では37.8%がフレイル予備群、17.0%がフレイルという結果が報告されました。
フレイル予防の三本柱は「栄養」「運動」「社会参加」であり、これらをバランスよく生活に取り入れることが重要です。横浜市には100コース以上のウォーキングコースが整備されており、さらに市内300グループ以上の元気づくりステーションが介護予防活動を展開しています。ウォーキングは全身を使った有酸素運動として身体的フレイルの予防に効果的であり、仲間と一緒に行うことで社会的フレイルの予防にもつながります。この記事では、フレイルの基礎知識から横浜市が提供するウォーキングコースや元気づくりステーションの具体的な活用方法まで詳しく解説していきます。

フレイルとは何か 健康と要介護の中間状態を理解する
フレイルは、高齢者が加齢に伴って心身の活力が低下し、健康障害や要介護状態に陥る危険性が高まっている状態のことです。「フレイル」という言葉は英単語「frailty」の訳語であり、2014年5月に日本老年医学会から提唱された概念となっています。これまで「虚弱」や「老衰」などと表現されていた状態を指しますが、重要なのはフレイルが「可逆性」を持つという点です。つまり、早く気づいて適切な対処をすることで状態の維持・改善が期待できます。
フレイルの3つの側面と相互関係
フレイルは単に身体的な衰えだけを指すものではなく、3つの側面から構成されています。
身体的フレイルは、筋力低下や歩行速度の低下、疲れやすさなど身体機能の衰えを指します。サルコペニアと呼ばれる筋肉量の減少がその中核的な特徴とされており、握力の低下や立ち上がりにくさなどとして日常生活に現れてきます。
精神・心理的フレイルは、もの忘れや気分の落ち込み、意欲の低下、うつ状態など認知機能や精神面での衰えを指します。外出することがおっくうになったり、新しいことに挑戦する意欲が低下したりすることも精神・心理的フレイルの兆候といえます。
社会的フレイルは、社会交流の減少や閉じこもり、独居による孤立など社会とのつながりが薄れた状態を指します。社会的に孤立し孤独感に悩む高齢者は、6年後の死亡率が約2倍に上昇するというデータも報告されており、社会参加の重要性を示しています。
これら3つの側面は互いに影響し合っており、一つの問題が他の問題を引き起こす悪循環に陥りやすいという特徴があります。例えば、身体的な衰えによって外出がおっくうになり、社会参加が減少することで精神面にも影響が及ぶといった連鎖が起こりやすくなります。
フレイルの主な症状と自己チェック方法
フレイルの主な症状として、まず筋力の低下が挙げられます。これは加齢に伴って起きる生物学的な変化で、握力の低下や立ち上がりにくさなどとして現れます。次に意図しない体重減少があり、半年で5%より大きな体重減少(50kgの人なら2.5kg以上の減少)がある場合には注意が必要です。また、体が疲れやすくなったり何かを行うことがおっくうになる疲れやすさ、通常歩行速度が秒速1.0m未満(5mを歩くのに5秒以上かかる)となる歩行速度の低下、軽い運動・体操や定期的な運動・スポーツをしなくなる身体活動量の低下も代表的な症状です。
フレイルかどうかを確認する代表的な方法として、J-CHS基準(改訂版)による判定があります。この基準では、6か月間で2kg以上の意図しない体重減少があること、ここ2週間わけもなく疲れたような感じがすること、通常歩行速度が秒速1.0m未満であること、握力が男性28kg未満・女性18kg未満であること、軽い運動・体操や定期的な運動・スポーツをしていないことの5項目のうち、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目に該当する場合にはプレフレイル(フレイルの前段階)と判断されます。
簡単なセルフチェック方法として「指輪っかテスト」も知られています。両手の親指と人差し指で大きな輪を作り、足のふくらはぎの一番太い部分を囲んで輪にどのくらい余裕があるのかを調べます。指で囲んですき間ができるようなら、筋肉量が少なくなっている可能性があります。
フレイル予防の三本柱 栄養・運動・社会参加のバランス
フレイル予防の基本は「栄養」「運動」「社会参加」の三本柱にあります。これら3つの柱はお互いに影響し合っており、どれか1つだけをすればいいというものではありません。3つの柱をうまくリンクさせて自分の生活サイクルに組み入れていくことが、効果的なフレイル予防につながります。
栄養面でのフレイル予防 たんぱく質摂取と口腔機能
栄養面では、たんぱく質をしっかり摂りバランスよく食事をし、水分も十分に摂取することが重要です。筋肉のもとになるたんぱく質の摂取を特に意識しましょう。日本サルコペニア・フレイル学会のガイドラインでは、1日に適正体重1kgあたり1.0g以上のたんぱく質摂取が予防法として推奨されています。例えば体重60kgの人であれば、1日60g以上のたんぱく質が必要ということになります。
また、噛む力や飲み込む力が衰えると十分な栄養を摂取することが難しくなるため、口腔機能の維持・向上も重要なフレイル予防策となります。
運動によるフレイル予防 筋力維持と有酸素運動の組み合わせ
運動はフレイル予防の最も重要な要素の一つです。フレイルの最も大きな原因の一つが筋肉の衰えであり、定期的な運動によって筋力が衰える現象(サルコペニア)の進行を遅らせることができます。
フレイル予防には、週に150分以上(1日平均20分以上)のウォーキングがおすすめです。国立長寿医療研究センターの研究によると、1日あたり5,000歩以上歩いている場合、フレイルに陥るリスクは5,000歩未満の場合の約半分まで下がることがわかっています。筋肉量の減少と筋力低下の予防を同時に叶える歩き方としては、「1日7,000から8,000歩・そのうち速歩きを15から20分以上」のウォーキングが提唱されています。
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが効果的です。自分の体重を負荷にして行うレジスタンス運動(スクワットや膝をついた腕立て伏せなど)と、運動中に簡単な会話ができる程度の有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)を組み合わせることで、効果的に筋力を維持できます。
社会参加によるフレイル予防 人とのつながりが健康を守る
社会参加は、小さなことでも構いません。近所の人や友人と話すこと、趣味のクラブ活動に参加すること、ボランティア活動に参加すること、家庭内で役割を持つこと(ゴミ捨て・掃除など)も社会参加と言えます。
フレイルの入り口は人それぞれですが、社会参加をしなくなることがフレイルの入り口になりやすいといわれています。外出して人と交流することで適度に体を動かし、健康寿命の延伸が期待できます。また、人とのコミュニケーションは脳に刺激を与え、認知症予防にもつながります。
サルコペニアとロコモティブシンドローム 関連する重要概念
フレイルに関連する重要な概念として、サルコペニアとロコモティブシンドロームがあります。これらを理解することで、より効果的なフレイル予防が可能になります。
サルコペニアとは 筋肉量減少がもたらす影響
サルコペニアとは、筋肉量の減少と筋力の低下、または身体能力が低下している状態のことを指します。「サルコペニア」という言葉は、ギリシャ語で筋肉を表す「sarco(サルコ)」と喪失を表す「penia(ペニア)」からの造語です。
加齢に伴う筋肉量の減少は誰にでも起こる老化現象ですが、それにより日常生活に支障をきたしたり、病的なレベルでの筋力・筋肉量の減少があったりする状態をサルコペニアといいます。筋肉量は20代がピークで、その後年齢を重ねるごとに減少していきます。
サルコペニアは筋肉量や筋力の低下による身体機能の低下であることに対し、フレイルは身体的だけではなく精神・心理的、社会的な衰弱や虚弱を含むより広い概念です。フレイルの人はサルコペニアを合併することも多く、サルコペニアがフレイルの引き金になりかねません。
ロコモティブシンドロームとは 移動能力の衰え
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、英語で移動することを表す「ロコモーション(locomotion)」からつくった言葉で、移動するための能力が不足したり衰えたりした状態を指します。
日本の45歳以上のロコモ人口は、予備軍も含めて約4,700万人と言われています。ロコモの原因である筋肉、骨、関節の衰えは40歳代から現れてきます。高齢期には膝の痛みや筋力の低下などの運動器の障害が増加しやすく、このロコモが進行すると介護が必要になることもあり、成人期からロコモを意識し予防を図ることが重要です。
日本整形外科学会が推奨しているロコモーショントレーニング(ロコトレ)として、バランス能力を鍛える開眼片脚立ち(左右とも1分間で1セット、1日3セット)や、太ももの後ろなど大きな筋肉を鍛えるスクワット(5から6回で1セット、1日3セット)があります。高齢者でも始めやすいトレーニングとして推奨されています。
ウォーキングによるフレイル予防 横浜市で歩いて健康づくり
ウォーキングは全身を使った有酸素運動で、フレイル対策としてさまざまな心身に対する良い影響が期待できます。横浜市には多くのウォーキングコースが整備されており、自然を楽しみながら効果的なフレイル予防に取り組むことができます。
ウォーキングがもたらす3つの効果
ウォーキングには身体面、精神面、社会面それぞれに良い効果があります。
身体面では、食欲の増進や筋肉量の維持、つまづきや転倒の防止、心肺機能の改善、生活習慣病の予防などが期待できます。
精神面では、外出機会を持ち自然の中で季節に触れながら行えるウォーキングは、閉じこもりやうつの予防になります。ウォーキングは認知機能低下を予防することも報告されており、精神的フレイルの予防にもなります。
社会面では、仲間と一緒にウォーキングを行えば人とのつながりができ、社会的フレイルも予防できます。
推奨される歩数と運動強度
国立長寿医療研究センターの研究では、死亡リスクを減らすために必要な1日の歩数は、高齢者全体およびフレイルでない高齢者では1日5,000から7,000歩で効果は頭打ちになるという結果が報告されています。フレイルに該当する高齢者では、1日の歩数が5,000歩を超えると死亡リスクは減少します。
筋肉量の減少と筋力低下の予防を同時に達成するには、「1日7,000から8,000歩・そのうち速歩きを15から20分以上」が推奨されています。
正しいウォーキングの姿勢と歩き方
効果的なウォーキングのためには、正しい姿勢と歩き方が重要です。
正しい姿勢として、背中をまっすぐに保ち、耳・肩・腰・骨盤を結んだラインが横から見て一直線になる姿勢が理想です。上から糸で頭を引っ張られているようなイメージを意識して、視線は15m先をまっすぐ見るようにします。猫背にならないように注意しましょう。
正しい歩き方のポイントとして、前足はかかとからつくこと、後ろ足は足の親指でしっかり蹴りだすこと、腕は大きめに振ること、歩幅をやや大きめにすること、肘は軽く曲げて後ろへ引くように振ることを意識します。これらを意識することで、自然と背筋が伸び疲れない歩きができるようになります。
「すり足」は歩幅が小さくなるため「膝が曲がる姿勢」を助長させ、段差や坂道などでつまづきやすくなり前方への転倒を引き起こす可能性もあるため避けるべきです。
ウォーキング時の注意点
ウォーキングは軽い運動のイメージがあるかもしれませんが、準備運動が大切です。ふくらはぎ、太ももの裏側、太ももの表側、肩、二の腕などの全身のストレッチを行い、怪我の予防をしておきましょう。
まずは短距離・短時間から開始しましょう。張り切りすぎて長時間頑張ると体を痛めてしまうことがあります。汗をかいて脱水症状にならないように、運動前・運動後には必ず水分補給を行いましょう。
歩く環境には十分注意しましょう。凹凸がある道や滑りやすい表面は転倒のリスクを増加させます。安全な道を選び、必要であれば歩行補助具の使用も考慮してください。腰や膝が悪い人、脳卒中やパーキンソン病、水頭症などと診断されている方は、適切な歩き方についてかかりつけの医師に相談してください。
横浜市のウォーキングコース 区別のおすすめルート紹介
横浜市では市民の健康づくりを支援するため、さまざまなウォーキングコースを整備しウォーキングマップを提供しています。
横浜市公式のウォーキングマップ
横浜市健康福祉局では、旧東海道ウォーキングマップ、横浜つながりの森・散策マップ、発見!ハマウィングおすすめお散歩コース、ハマスポウォーキング、水再生センターをめぐるウォーキングマップ、健康みちづくりウォーキングルート、よこはま海さんぽMAPなど多彩なウォーキングマップを提供しています。
これらのマップは横浜市の公式サイトからダウンロードできるほか、各区役所でも配布されています。
港北区のウォーキングコース
港北区では「港北区ウォーキング手帳」が作成されており、高田駅から日吉駅までの約6.0kmのコース(松の川緑道と古刹めぐり)や、日吉の歴史を散策する約5.3kmのコースなどが紹介されています。新横浜公園は横浜市内で最大の運動公園で、公園内では四季折々の草花や鳥などが楽しめ、ウォーキングに適しています。
青葉区のウォーキングコース
青葉区では桐蔭横浜大学と進める健康増進推進事業の一環として、青葉ウォーキングマップが3部作成されています。ウォーキングを通じて四季折々の青葉区を満喫できます。保健活動推進員が横浜美術大学の学生と協力して、楽しく歩けるウォーキングコースも作成されています。
都筑区のウォーキングコース
都筑区には緑道(総延長15km)のウォーキングマップがあり、2コースが紹介されています。緑豊かな環境の中でウォーキングを楽しむことができます。
戸塚区・泉区のウォーキングコース
戸塚区では舞岡ふるさとの森を抜けて舞岡公園に至る自然を満喫できる散策コース(2コース)が用意されています。泉区では文化・歴史・豊かな自然など区内の魅力満載の散策コース(12コース)が整備されており、多彩なルートから選ぶことができます。
よこはまウォーキングポイント 歩いてポイントを貯める
よこはまウォーキングポイントは、歩いた歩数に応じてポイントがもらえ、抽選で景品があたるプログラムです。横浜の魅力あるウォーキングコースを100コース以上掲載しています。
参加方法は歩数計とスマートフォンアプリの2種類があります。歩数計で継続して参加するには自身で歩数計を購入する必要があり、よこはまウォーキングポイント事業事務局において歩数計の購入ができます(送料込4,240円)。ローソン・ミニストップに設置されているLoppiで初期設定及び歩数送信ができます。
スマートフォンアプリでも参加可能で、アプリでは歩数計測のほかスタンプイベントや写真投稿、クーポン等の機能が搭載されています。
3か月の間に獲得したポイントに応じて、商品券等が当たる抽選に参加できます。抽選は「定期抽選」と「Wチャンス抽選」の2種類で、それぞれ1口ずつ参加できます。
横浜市の元気づくりステーション 身近な地域で介護予防
元気づくりステーションは、「身近な地域で、参加者本人と仲間、そして地域も元気にする自主的なグループ」です。高齢者が住み慣れた場所で人とつながりながら、健康で生きがいのある活動的な生活を送ることができるよう、介護予防活動に取り組むグループとして横浜市が支援しています。現在、市内で300グループ以上が様々な活動を行っています。
元気づくりステーションの活動内容
元気づくりステーションでは多彩な活動が行われています。
運動系の活動としては、体操やストレッチ、筋トレ、ウォーキング、ノルディックウォーキング、ポールウォーキング、ヨガ、転倒予防のストレッチ体操などがあります。認知症予防の活動としては、コグニサイズ、脳レクリエーション、健康マージャンなどが行われています。
その他にも、野鳥や草花を観察しながらのウォーキングと茶話会、花や野菜・薬草を植えて育てて食べる活動、手芸・合唱・手品・手話など個人の特技を活かした活動も展開されています。
対象者と活動場所
高齢者等が10人程度のグループで活動しています。活動場所は公園、町内会館、民間のスペースなど、身近な場所が活用されています。
各区の活動状況
金沢区では22のグループが活動を行っており、「ウォーキング」「コグニサイズ」「健康体操」などの様々な活動を行っています。
都筑区では、花や野菜・薬草を植えて育てて食べる活動、野鳥や草花を観察しながらのウォーキングと茶話会、ヨガ、転倒予防のストレッチ体操、ノルディックウォーキング、ポールウォーキング、手芸、麻雀などの趣味の集いなど多様な活動が行われています。
磯子区では合唱、手品、手話、占い、似顔絵など個人の特技を活かした活動も行われています。
新しいグループの立ち上げ支援
元気づくりステーションの活動に興味のある方、意欲のある方には、グループ活動ができるよう活動の立ち上げのお手伝いを行っています。お問い合わせは各区の福祉保健センター高齢・障害支援課で受け付けています。
横浜市の介護予防サービス「ハマプロ」とハマトレ
横浜市ではフレイル予防のための独自サービスを提供しています。
ハマプロ 専門家による介護予防プログラム
横浜市では、フレイルを予防・改善し多くの高齢者が自立した生活を送ることができるよう、2024年6月から新たな介護予防サービス「ハマプロ」を開始しました。2025年6月からは対象が10区へ拡大されています。
対象者は65歳から84歳で、かつ横浜市健康診査やフレイルチェックシートの結果、身体機能や栄養状態、口の機能の低下が心配される方です。スポーツクラブ等で10人程度のグループで約2か月間のコースで行い、医療専門職等が運動や栄養、お口のケア、病気の管理等に関する講座や個別のアドバイス等を実施します。
委託先のスポーツジムは「セントラルスポーツ株式会社」と「株式会社ルネサンス」です。2025年6月からの対象区は、鶴見区、西区、中区、南区、港南区、旭区、磯子区、泉区、栄区、瀬谷区の10区となっています。
ハマトレ 横浜市オリジナルトレーニング
ハマトレは、ロコモを予防するため横浜市が高齢者の「歩き」に着目して開発した「家の中でも簡単にできる」トレーニングです。高齢者の姿勢や歩き方の特徴から、猫背・姿勢の改善、骨盤の傾きの改善、股関節の伸展、足関節の働きの向上、バランス力の向上を目指す運動ができます。
ハマトレには通常版と体験版があります。通常版は60分間でしっかり20種類の運動を行います。体験版は横浜市歌に合わせて5分間で11種類の運動を行う気軽にできるバージョンです。市民に親しまれている横浜市歌を口ずさみながら気軽に取り組むことができ、ウォーキングの準備運動としても利用できます。
リーフレットはお住まい周辺の区役所(高齢障害支援課)や地域ケアプラザで配布されているほか、横浜市のウェブサイトからダウンロードも可能です。
コグニサイズで認知症予防 運動と認知課題の組み合わせ
コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称です。英語のcognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と名付けられました。運動の種類によってコグニステップ、コグニダンス、コグニウォーキング、コグニバイクなど多様なバリエーションがあります。
コグニサイズの効果
コグニサイズの目的は、運動で体の健康を促すと同時に脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅延させることです。
研究結果として、MCI(軽度認知障害)の高齢者にコグニサイズを含む複合的運動プログラムを週1回、40回行った結果、記憶や言語機能、全般的認知機能の維持・改善効果があることがわかっています。また、早歩き程度の強度の動きを週に3回以上行った人は、まったく運動をしない人よりも認知症発症リスクが50%減少しました。運動と認知トレーニングの組み合わせにより、MCIの状態から記憶力が向上することが認められています。
コグニステップのやり方
コグニステップは自宅のわずかなスペースでも椅子に座ってでもできます。具体的には、左足を一歩横に踏み出し、元に戻し、右足を一歩横に踏み出し、元に戻すという動きを繰り返しながら、足を動かす度に1、2と数え、3の倍数のときは声を出さずに手をたたきます。
課題がうまくできるということは脳への負担が少ないことを意味するため、課題に慣れ始めたらどんどん内容を変えてください。「課題を考えること」も大事な課題となります。
実施上の注意点
運動習慣をつけるためには毎日の継続が重要です。1回の実施の目安はまず10分からとし、時間が短くても決まった時間に実施する習慣を身につけることで高い効果を期待できます。
足腰の弱い高齢者にとって、立った状態でのトレーニングは常に転倒の危険が伴います。緩衝性の高いマットを足元に敷くことや、手すりがある場所ではそれにつかまりながら行いましょう。地域で行われているコグニサイズ教室に参加すれば外出の機会も得られ、他の方とコミュニケーションを図る機会も増えます。
地域ケアプラザの活用 身近な福祉・保健の拠点
地域ケアプラザは、高齢者、子ども、障害のある人など誰もが地域で安心して暮らせるよう、身近な福祉・保健の拠点としてさまざまな取組を行っている横浜市独自の施設です。
地域ケアプラザでできること
体操教室や食事会、健康講座など生活に役立つさまざまな種類の行事・催しを行っています。また、地域の皆さんの福祉・保健の活動や交流の場として多目的ホールなどを利用できるほか、ボランティア活動の相談も受け付けています。
介護予防に関する取り組みとして、高齢者の介護予防を目的とした事業はもちろん、子育て支援イベント、認知症予防のための体操など多数の主催事業を実施しています。
地域包括支援センターの機能
地域ケアプラザには地域包括支援センターが併設されており、社会福祉士、保健師等、主任介護支援専門員を配置しています。福祉に関する総合相談、介護予防支援(介護予防プランの作成)、地域支援事業、介護予防事業、地域のケアマネジャーに対する支援などのサービスを提供しています。
開館時間と相談時間
開館時間は月曜日から土曜日が午前9時から午後9時まで、日曜日・祝日が午前9時から午後5時までとなっています。相談時間は月曜日から土曜日が午前9時から午後6時まで、日曜日・祝日が午前9時から午後5時までです。
横浜市老人クラブ(シニアクラブ)で仲間と健康づくり
横浜市老人クラブ連合会(かがやきクラブ横浜)は、高齢者が老人クラブ活動を通じて社会参加の機会を得ることができるとともに、健康で生きがいのある日常を実現できるよう、さまざまな形の支援を行っています。横浜市内には約1,300強のクラブがあり、健康づくりや生きがいづくりにつながる事業を区ごとに実施しているほか、老人クラブの立ち上げや運営、活動の支援などを行っています。
老人クラブの活動内容
スポーツ活動として、グラウンドゴルフ、ペタンク、ゲートボール、ボッチャ、ふまねっと、スポーツ吹矢などが行われています。その他にも、趣味・文化・芸術などのサークル活動、体操や健康ウォーキング、健康教室、介護予防など多彩な活動が展開されています。
ゲートボール、グラウンドゴルフ、ペタンク、囲碁、将棋の5種目で「ねんりんピック」の予選会を兼ねた大会も開催されています。
入会について
概ね60歳以上の人(60歳未満でもOK)なら、どなたでも入会できます。
フレイル予防イベント 楽しみながら学ぶ機会
横浜市ではフレイル予防の普及啓発を目的としたイベントも開催しています。「フレー!フレー!フレイル予防!フェスよこはま」というイベントでは、2025年11月14日の開催時にはお笑いコンビや著名タレントのステージ企画等、楽しみながらフレイルについて知りフレイル予防に取り組める内容となっていました。
また、介護美容研究所横浜校が美容体験ブースを出展するなど、「美容ケア」でフレイル予防を促進する取り組みも行われました。美容体験を通じて高齢者の交流が自然に生まれる場を提供し、社会参加を後押ししています。
まとめ 横浜市の地域資源を活用したフレイル予防
フレイル予防は特別なことではありません。毎日の生活の中で少しずつ「運動」「栄養」「社会参加」を意識することが大切です。
横浜市には、100コース以上のウォーキングコースや300グループ以上の元気づくりステーション、地域ケアプラザ、老人クラブなど、フレイル予防に活用できる多くの地域資源があります。まずは自分に合った活動を見つけて、無理なく始めてみてください。
一人で始めることに不安がある場合は、各区の福祉保健センターや地域ケアプラザに相談してみましょう。仲間と一緒に活動することで、楽しみながら継続することができます。いつまでも自分らしく健康で活動的な毎日を送るために、今日からフレイル予防を始めましょう。









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