群馬県が監修する「ふるさとぐんま健康のみち」は、県内の市町村が整備してきたウォーキングコースを一覧化し、県民に紹介する取り組みです。群馬県健康長寿社会づくり推進課が運営し、県公式アプリ「G-WALK+」や市町村ごとのウォーキングマップと組み合わせることで、日常生活に歩く習慣を取り入れやすくする役割を担っています。前橋市やみどり市、桐生市、太田市、高崎市など、県内各地に短時間で歩ける身近なコースから本格的なハイキングコースまでが揃っており、体力や目的に応じて選べる点が強みです。この記事では、ふるさとぐんま健康のみちの全体像から、G-WALK+との連携、市町村別の具体的なコース、ウォーキングが持つ健康面での意味まで、2026年09月14日時点でわかっている内容を整理してお伝えします。

ふるさとぐんま健康のみちは県内市町村のコースを一覧化した事業
ふるさとぐんま健康のみちは、群馬県が県内市町村のウォーキングコース整備状況を調査し、その結果をコース一覧としてまとめた事業です。群馬県は健康増進計画「元気県ぐんま21(第2次)」を策定し、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸を図る柱として、日常生活における歩数の増加を目標指標に据えています。この計画のもとで展開されているのが「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」であり、ふるさとぐんま健康のみちはその具体的な成果物にあたります。
群馬県は県民が運動しやすいまちづくりと環境整備を進める中で、県内市町村に対してウォーキングコースの整備状況を調査しました。集まった情報はコース一覧として県のホームページで公開されており、県民は自分の住む地域や、旅行や外出先の近くにあるコースの情報を得やすくなっています。あわせて群馬県は「元気に“動こう・歩こう”実践マニュアル」と「ぐんまアクティブガイド」も作成し、通勤や通学で一駅分歩く、買い物のときに少し遠回りをするといった、無理のない範囲で歩数を増やす工夫を紹介しています。
G-WALK+は歩数記録とバーチャルウォーキングを無料で使えるアプリ
G-WALK+は、群馬県公式のスマートフォン用アプリで、県内に在住・在勤・在学する18歳以上の人であれば誰でも無料で利用できます。towngunma.jpが2024年3月に報じた記事によれば、登録者数は5.5万人を超えており、多くの県民が日常的に活用しています。スマートフォンを持ち歩くだけで歩数が自動的に記録され、体重や血圧、食事の写真、健診や検診の受診状況も記録してグラフで確認できます。
G-WALK+にはバーチャルウォーキングという機能もあり、実際に歩いた歩数が地図上での仮想的な旅の進み具合に反映されます。国内や世界各地のルートを歩数に応じて巡ることができるため、ふるさとぐんま健康のみちで紹介されている身近なコースを歩きながら、アプリの中では遠く離れた土地を旅する感覚も味わえます。自宅で取り組めるエクササイズ動画の配信も行われており、外出が難しい日でも体を動かす習慣を保ちやすくなっています。
ぐんま健康ポイント制度は年4回の抽選で特典と交換できる
G-WALK+には、ぐんま健康ポイント制度という仕組みが組み込まれています。歩数を記録したり、アプリ内のコラムを読んだり、体重や食事の内容を記録したりすると、それぞれの行動に応じてポイントが付与されます。貯まったポイントは年4回実施される抽選への応募に使え、当選すると健康関連の商品や体験型の商品と交換できます。利用料は無料ですが、通信料は利用者の負担になります。
群馬県はG-WALK+を使った期間限定のキャンペーンも実施してきました。2024年9月1日から11月30日までの3か月間には、道の駅を巡るスタンプラリー形式のキャンペーンが行われ、各拠点でのチェックインで5ポイント、各コースのクリアで100ポイント、全コース完了で500ポイントが付与される仕組みでした。県内の道の駅を歩いて巡りながら歩数を積み重ねるという内容で、観光振興と健康づくりを組み合わせた企画だったといえます。
前橋市は23地区で合計46コースのウォーキングマップを公開
前橋市は「まえばし23地区別ウオーキングマップ」を公開しています。市内23地区それぞれについて、食生活改善推進員がすすめる約10分の短いコースと、保健推進員がすすめる約30分のコースを見開きで掲載しており、地区数と合わせると合計46コースが市内全域に用意されています。前橋市健康部健康増進課がこのマップの整備と更新を担当しています。
このマップは距離やルートの案内だけでなく、各地区の見どころも合わせて紹介している点に特徴があります。市外に住む人であっても、このマップを手にすれば前橋市の魅力を感じながら歩くことができます。短時間で終えられるコースが多いため、運動不足を感じている人や、ウォーキングを始めてみたい人が最初の一歩を踏み出しやすい構成になっています。
前橋市では、日常のウォーキングマップとは別に「前橋ウォーキングジャンボリー」というイベントも開催されています。水と緑と詩の町という前橋市の特色を生かしたコース設定で、6キロメートルから18キロメートルまでの3種類のコースが用意されており、県内外から参加者を集めています。日常的な短時間コースからイベント型の長距離コースまで、歩く距離の幅が広い点は前橋市の特徴のひとつといえるでしょう。
みどり市元気プロジェクトは阿左美沼と岩宿遺跡を巡るコースを紹介
みどり市は「元気プロジェクト」という健康増進支援事業の一環として、ウォーキングマップを作成し公開しています。このマップは令和3年度に作成され、その後もコースの追加によって内容が更新されてきました。元気プロジェクトの参加者自身がすすめるコースが掲載されている点が特徴で、行政が一方的に選んだコースではなく、実際に歩いている住民の声を反映した選定になっています。
マップには参加者から募集した「みどり市の魅力」をテーマとした写真も掲載されており、撮影スポットとして阿左美沼、手振り山、鹿田山フットパス、岩宿遺跡などが紹介されています。岩宿遺跡は日本の旧石器時代研究において重要な遺跡として知られており、歴史的な価値のある場所を巡りながら歩けることは、みどり市のコースが持つ大きな魅力のひとつです。
桐生市と太田市は産業遺産と史跡を歩いて巡るコースが揃う
桐生市は「桐生市ウォーキングマップ」を公開しており、桐生川沿いを歩く桐生川コース、梅田1丁目コース、堀マラソンコースなど複数のコースを紹介しています。桐生市の公式ホームページでは、Googleマップ上にルートを表示する形で情報が提供されており、実際の地図を見ながらコースを確認できます。桐生市は織物産業で栄えた歴史を持つ地域であり、古い町並みや産業遺産に触れられるコースが多いのも特徴です。
太田市は「ウォーキング・ガイド in Ota」という資料を公開し、金山周辺コースや八王子丘陵コースなど複数のコースをまとめています。金山は太田市のシンボル的な山で、国指定史跡である金山城跡が整備されており、史跡を巡りながら丘陵地を歩けます。八王子丘陵は比較的なだらかな地形で、初心者でも歩きやすいコースとされています。
伊勢崎市も「いせさきウオーキングマップ」を公開しており、市内を歩けるコースの案内に加えて、市が主催する「はつらつウオーキング教室」という参加型の教室も開かれています。マップを見て自分のペースで歩くだけでなく、教室に参加して指導を受けながら歩くという選び方もできる点は、伊勢崎市のウォーキング施策の特徴といえます。
高崎市の観音山丘陵ハイキングコースは全長約22キロ
高崎市には、高崎白衣大観音が立つ観音山丘陵を巡るハイキングコースがあります。山名町にある八幡宮から少林山達磨寺までをつなぐ全長約22キロメートルのロングコースで、高崎駅からのアクセスの良さも魅力のひとつです。達磨寺のような歴史的な史跡も巡れるため、健康づくりと観光の両方を兼ねたコースといえます。距離が長いため、体力や時間に応じて一部区間だけを歩くという利用方法も考えられます。
以下は、ここまで紹介した市町村ごとのウォーキングコースの特徴を簡単に整理した表です。
| 市町村 | 代表的なコース | 特徴 |
|---|---|---|
| 前橋市 | まえばし23地区別ウオーキングマップ | 23地区で合計46コース、約10分から約30分の短時間コース |
| みどり市 | 元気プロジェクトウォーキングマップ | 住民推薦コース、阿左美沼や岩宿遺跡を巡る |
| 桐生市 | 桐生市ウォーキングマップ | 桐生川コースなど、織物産業の歴史に触れる町並み |
| 太田市 | ウォーキング・ガイド in Ota | 金山城跡や八王子丘陵など史跡と丘陵地を歩く |
| 伊勢崎市 | いせさきウオーキングマップ | 「はつらつウオーキング教室」など参加型の教室も開催 |
| 高崎市 | 観音山丘陵ハイキングコース | 全長約22キロ、達磨寺などの史跡を巡るロングコース |
春と秋は群馬県のウォーキングに向いた季節とされている
群馬県内のウォーキングコースは一年を通して歩けますが、季節によって景色の楽しみ方が変わります。県内の桜は例年3月下旬から4月上旬に見頃を迎え、妙義山県立森林公園さくらの里や沼田公園などが人気の花見スポットとして知られています。紅葉は例年10月中旬から11月下旬にかけて見頃となり、谷川岳や伊香保温泉、赤城山の紅葉が人気を集めています。
自然を眺めながら歩けるコースの例としては、吾妻峡があります。約2.5キロメートルにわたる渓谷沿いのハイキングコースで、片道約40分で歩けることから、ふるさとぐんま健康のみちが紹介するような身近なコースと組み合わせて楽しむ人もいます。花見や紅葉の時期に合わせてコースを選ぶことで、運動としてのウォーキングに季節ごとの楽しみを加えることができます。
関東ふれあいの道群馬県コースは一部区間が通行止めのため事前確認が必要
群馬県内には、ふるさとぐんま健康のみちに加えて、より長距離の自然歩道である「関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)」の群馬県コースも整備されています。関東ふれあいの道は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県の1都6県を一周する長距離自然歩道で、総延長は約1,800キロメートルにおよびます。群馬県内にもこの自然歩道の一部区間が設定されており、群馬県自然環境課がコースの詳細を公開しています。
群馬県自然環境課が公開した令和6年7月時点の情報では、コース4「小梨峠から牛伏山へのみち」、コース9「大桁山登山コース」、コース23「山里のいで湯のみち」が通行できない状態にあったことが確認されています。この情報は2026年09月14日から見るとすでに2年以上前のものであり、通行状況が変わっている可能性があります。関東ふれあいの道のように山間部を通るコースを利用する際には、出発前に群馬県のホームページで最新の通行状況を確認したうえで計画を立てることが望ましいでしょう。
群馬県は健康寿命日本一を掲げてウォーキング施策を強化している
群馬県は、健康寿命の分野で全国的に高い評価を受けている地域です。厚生労働省が公表した2019年の統計では、群馬県の男性の健康寿命は73.41歳で全国6位、女性は75.8歳で全国18位となっています。日本総合研究所の調査では、都道府県別の総合順位で群馬県は8位に位置しており、上位を維持していることがうかがえます。
この結果を踏まえ、群馬県は「ぐんま健康寿命日本一プロジェクト」を発足させました。健康寿命の延伸で先行する大分県の取り組みを参考にしながら、官民が一体となって施策を進めている点が特徴です。ふるさとぐんま健康のみちやG-WALK+も、このプロジェクトを支える取り組みのひとつに位置づけられています。
G-WALK+は2021年にリリースされたアプリで、事業を担当する群馬県健康長寿社会づくり推進課は、職場単位で歩数を競う「企業対抗戦」というランキング機能も用意しています。個人だけでなく職場全体で歩数を意識できる仕組みを設けることで、働く世代にもウォーキングを日常に取り入れてもらう狙いがあるとみられます。2022年3月には、アプリのインストール数が2万5千件を記念したイベントがライブ配信の形で開催されました。富岡市のように、県公式アプリの活用を市町村単位で呼びかけている例もあり、県と市町村が連携してG-WALK+の普及を進めている様子がうかがえます。
コース選びは体力と目的に応じて前橋市型と高崎市型に分かれる
ふるさとぐんま健康のみちや各市町村のウォーキングマップを見ると、群馬県内には短時間で歩ける身近なコースから、丘陵地や山間部を巡る本格的なハイキングコースまで幅広いバリエーションが存在します。運動不足を感じて日常的な歩数を少し増やしたいという目的であれば、前橋市の23地区マップにあるような約10分程度のコースや、みどり市の元気プロジェクトが紹介する身近なコースが向いています。
休日にしっかりと体を動かしたい、あるいは観光と組み合わせて自然や史跡を楽しみたいという場合には、太田市の金山周辺コースや高崎市の観音山丘陵ハイキングコース、さらには関東ふれあいの道のような距離や高低差のあるコースが選択肢になります。G-WALK+アプリを併用すれば歩いた歩数や距離を記録でき、ぐんま健康ポイント制度による特典も得られるため、モチベーションを保ちながら続けやすくなります。
健康日本21の歩数目標は男性9200歩・女性8300歩
ふるさとぐんま健康のみちのような取り組みが推進されている背景には、ウォーキングという運動そのものが持つ意味があります。厚生労働省は「健康日本21」および「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、身体活動量の多い人ほど総死亡や虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低い傾向にあると示しています。日常的に体を動かす習慣が、生活習慣病のリスクを下げる方向に働くという整理です。
厚生労働省は健康日本21において、1日あたりの歩数目標を男性9,200歩、女性8,300歩と定めています。この目標に届いていない場合でも、今より10分、約1,000歩多く歩くことを意識するだけで目標に近づけるとされており、群馬県の実践マニュアルでも「歩数の平均は目標まであと、10分歩くとプラス1,000歩に」という呼びかけがなされています。無理な運動を一気に取り入れるのではなく、日常生活の延長線上で歩数を積み重ねていく考え方が重視されているようです。
厚生労働省は、ウォーキングのような有酸素運動がエネルギー消費を通じて内臓脂肪を使いやすくし、血糖値や血中脂質、血圧の状態にも関わるとしています。加齢で低下しやすい筋力やバランス能力についても、定期的なウォーキングが下肢の筋力を保ち、転倒のリスクを下げる一因になるとされています。屋外を歩きながら景色の変化を感じたり、他の歩行者と挨拶を交わしたりすることは気分の切り替えにもつながるといわれ、ふるさとぐんま健康のみちのように自然や史跡を巡るコースが多く用意されていることは、こうした面でも意味のある工夫です。
一駅分歩く工夫が日常の歩数を1000歩増やす
ウォーキングの意味を理解していても、続けることが難しいと感じる人は少なくありません。群馬県が作成した実践マニュアルとぐんまアクティブガイドでは、日常生活の中に無理なく運動を組み込む工夫が紹介されています。通勤や通学の際にひと駅分だけ歩く、自宅からやや離れたスーパーやコンビニまで歩いて買い物に行くといった、小さな工夫の積み重ねが提案の中心です。
家の近くに歩きやすい道や公園があるかどうかを事前に確認し、日常のルートに組み込んでおくことも役立ちます。ふるさとぐんま健康のみちやG-WALK+のようなツールを活用すれば、自分の住む地域の近くにどのようなウォーキングコースがあるのかを調べやすくなり、日常への組み込みがよりスムーズになるでしょう。家族や友人と一緒にコースを歩くことも継続の助けになります。一人で歩くよりも会話が生まれやすく、楽しみながら運動を続けやすくなるためです。前橋市や桐生市、太田市などのウォーキングマップには地域の見どころや史跡も紹介されているので、単なる運動の場としてだけでなく、家族や友人との会話のきっかけとしても活用できます。
ふるさとぐんま健康のみちは、群馬県が県内市町村のコース情報を集めて発信する取り組みであり、G-WALK+やぐんま健康ポイント制度と組み合わさることで、県民が歩数を記録しながら楽しく続けられる仕組みになっています。前橋市の身近な46コースから高崎市の全長約22キロのロングコース、関東ふれあいの道の本格的な自然歩道まで、選択肢の幅広さが群馬県のウォーキング環境の特徴です。自分の体力や目的に合ったコースを見つけ、通勤時の一駅分歩きのような小さな工夫から始めてみることが、歩数を積み重ねる第一歩になるはずです。








