鴻巣市と行田市を結ぶ利根用水路緑道のウォーキングコース全ガイド

当ページのリンクには広告が含まれています。

埼玉県の鴻巣市から行田市にかけて、武蔵水路沿いに全長約4.5キロメートルの遊歩道が整備されています。正式名称は「さきたま緑道」といい、地元では利根用水路緑道とも呼ばれるウォーキングコースです。JR高崎線の北鴻巣駅前から、埼玉古墳群で知られるさきたま古墳公園まで、歩行者道と自転車道が分かれた道を平坦に歩き通せます。都心から乗り換えなしでアクセスでき、日帰りで自然と歴史の両方に触れられるコースとして地元でも観光でも支持されています。この記事では、コースの距離や設備といった基本情報から、彫刻や桜といった道中の見どころ、終点のさきたま古墳公園や行田市街地の楽しみ方まで、実際に歩く際に役立つ情報をまとめます。

目次

さきたま緑道は北鴻巣駅から古墳公園まで4.5キロ続く

さきたま緑道は、JR高崎線北鴻巣駅前の鴻巣市赤見台近隣公園を起点に、武蔵水路沿いを南へ進み、行田市のさきたま古墳公園に至る全長約4.5キロメートルの緑道です。片道の距離を4.1キロメートルとする資料もあり、幅員は約25メートルと広く確保されています。歩行者用の遊歩道と自転車専用道が明確に分かれているため、散歩中にサイクリングの通行を気にする必要がありません。歩行者レーンの多くは石畳で整備されていて、地面の起伏はほとんどなく平坦です。ウォーキング初心者や高齢者、子ども連れの家族でも無理なく歩き通せる道のりといえます。

項目内容
起点鴻巣市赤見台近隣公園(北鴻巣駅前)
終点さきたま古墳公園(行田市)
距離約4.5キロメートル(片道4.1キロメートルとする資料もあり)
幅員約25メートル
路面歩行者道は石畳中心、地面の起伏はほぼなし

道沿いには200メートルごとに看板が設置されていて、残りの距離を把握しながら歩けます。ベビーカーでの散歩や、ジョギング、サイクリングを楽しむ地元住民の姿も多く、日常的な運動コースとして定着しています。歩行者レーンは石畳が続くため、走るよりも歩く用途に向いているという評価もあります。鴻巣市では例年3月頃に「鴻巣パンジーマラソン」という平坦なコースが自慢の大会も開催されていて、さきたま緑道と同じく起伏の少ない土地柄がうかがえます。

緑道にはあずまやとトイレが設置され休憩しながら歩ける

さきたま緑道には、あずまや、ベンチ、水飲み場が一定間隔で置かれていて、長い距離でも適宜休憩を取りながら進めます。緑道の中央付近にはトイレがあり、おむつ替えスペースを備えた多目的トイレもあるため、小さな子ども連れの家族でも利用しやすくなっています。口コミサイトでは「天気の良いときに散歩をするには素晴らしいコース」「トイレ、水飲み場、自販機、コンビニも近くにあって、ランニングにも散歩にも便利」といった声も見られ、家族連れから健康づくり目的の一人歩きまで幅広い層に利用されている様子がうかがえます。

駐車場はさきたま古墳公園側に整備されています。北鴻巣駅側から歩き始めて古墳公園側の駐車場に車を停めておき、路線バスや徒歩で北鴻巣駅に戻る計画も立てられますし、逆に古墳公園に駐車して北鴻巣駅方面まで歩いてから折り返す、という楽しみ方をする人も多くいます。

緑道沿いには彫刻50点と万葉集歌碑が並ぶ

さきたま緑道の大きな特徴は、緑道沿いに約50点の彫刻作品が点在していることです。これらは平成元年(1989年)に開催された「第4回国民文化祭さいたま’89」に伴って設置されたもので、「さきたま」という古代からの由緒ある地にふさわしい造形作品が並んでいます。樹齢数十年に及ぶさまざまな大木が並ぶ樹木群の下には、彫刻のほかに万葉集歌碑や健康器具も配置されていて、アートと文化と健康づくりを同時に楽しめる道として整備されています。単なる遊歩道としてだけでなく、屋外彫刻を鑑賞しながら歩ける文化的な散策路としての価値も持っています。

桜の見頃は4月上旬から中旬、丸墓山古墳がゴールを飾る

さきたま緑道は桜並木としても知られ、桜の見頃は例年4月上旬から中旬にかけてです。この時期は沿道の桜が咲き誇り、多くの花見客やウォーキング愛好者で賑わいます。終点付近のさきたま古墳公園内にある丸墓山古墳は公園随一の桜の名所で、緑道を歩き切ったゴール地点で満開の桜に迎えられるという体験ができます。

季節ごとの表情も豊かです。夏場は木々の緑陰が強い日差しを和らげてくれるため、比較的涼しく歩ける区間が多くなります。秋には紅葉に加えて、行田市名物の田んぼアートで色づく稲穂の風景も楽しめます。冬は空気が澄み、遠くまで見通せる日にウォーキングを楽しむ人も見られます。同じコースでも季節を変えて歩くたびに違った印象を受けられる緑道です。

武蔵水路は首都圏の水がめとして1600万人を支えている

さきたま緑道が沿う水路は「武蔵水路」といい、単なる景観要素ではなく首都圏の暮らしを支える社会インフラでもあります。武蔵水路は行田市の利根大堰で利根川から取水し、鴻巣市で荒川に注ぐ全長約14.5キロメートルの開水路で、昭和40年(1965年)3月に緊急通水し、昭和42年(1967年)3月に完成しました。東京都水道局の給水エリアの約4割、埼玉県企業局の給水エリアの約8割にあたる水道水がこの水路を通じて送られていて、首都圏約1600万人の暮らしを支える大動脈のひとつになっています。沿線地域の内水を荒川へ排水し、浸水被害を防止・軽減する役割も担っていて、管理は独立行政法人水資源機構が行っています。緑道を歩きながら、水路そのものがこうした役割を担っていると知ると、道のりの見え方が少し変わってくるはずです。

起点は北鴻巣駅前の赤見台近隣公園

コースの起点は、JR高崎線北鴻巣駅前にある鴻巣市赤見台近隣公園です。北鴻巣駅は上野・東京方面から高崎線で乗り換えなしでアクセスできる駅で、都内から日帰りでウォーキングに訪れる場合の起点として便利です。駅前すぐに公園があり、そこから緑道が始まるため、電車を降りてすぐにウォーキングを開始できます。赤見台近隣公園自体も遊具や広場を備えた住宅街の中の公園で、ウォーキング前の準備運動やストレッチをする場としても使えます。

起点の鴻巣市は雛人形と赤物の産地として知られる

緑道の起点にあたる鴻巣市は、古くから雛人形や「赤物」と呼ばれる縁起物人形の産地で、「人形のまち」を掲げて観光振興に力を入れています。鴻巣人形町には「鴻巣市産業観光館ひなの里」があり、明治期の蔵を中心とした歴史的建造物の中で、人形製造工程の展示や国指定無形民俗文化財である赤物づくりの紹介、地元特産の花卉産業の紹介がされています。鴻巣市観光協会による特産品の販売スペースや、鴻巣の風景をデザインしたモザイクアートで彩られた多目的広場も併設されていて、ウォーキングの前後に立ち寄れるスポットです。

毎年2月から3月にかけては「鴻巣びっくりひな祭り」が開催され、日本一高いピラミッド型のひな壇が話題を集めます。この時期に緑道ウォーキングと合わせて訪れれば、鴻巣ならではの雛人形文化にも触れられます。会場のひとつである「コスモスアリーナふきあげ」もサテライト会場として利用されています。

鴻巣市は花卉栽培でも全国有数の産地で、ポピーの作付面積やサクラソウ、サルビア、マリーゴールドの出荷量など、複数の項目で日本一の実績を持つ地域です。市内には「花と音楽の館かわさと 花久の里」という施設もあり、旧川里町に寄贈された歴史ある邸宅と庭園を保存しながら整備した敷地で、庭園散策や地元野菜の直売、クラシックコンサートなどが楽しめます。また、鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川は川幅が2537メートルに達し、日本一広い川幅として知られています。御成橋のたもとや吉見町側の堤防には「日本一の川幅」を示す標識も立てられていて、緑道ウォーキングと合わせて荒川の雄大な景色を眺めに立ち寄る人もいます。

終点のさきたま古墳公園には9基の古墳と国宝鉄剣がある

緑道を南下すると、終点は行田市のさきたま古墳公園です。ここは5世紀後半から7世紀中頃にかけて築造された古墳群を保存・整備した特別史跡「埼玉古墳群」を中心とする公園で、園内には9基の大型古墳が点在しています。

中心的な存在が、日本最大級の規模を誇る円墳「丸墓山古墳」です。墳丘に登ると埼玉古墳群全体を見渡せ、このコースのハイライトのひとつになっています。丸墓山古墳は、戦国時代に石田三成が忍城を水攻めにした際に本陣を置いた場所としても知られ、歴史好きにとって興味深いスポットです。

前方後円墳の「稲荷山古墳」からは、国宝に指定されている鉄剣「金錯銘鉄剣」が出土しました。この鉄剣は隣接する埼玉県立さきたま史跡の博物館で展示されていて、古代日本史における貴重な一次資料として評価されています。なお、2026年3月まではレプリカが展示されていました。「将軍山古墳」では、石室内部を実際に見学できる展示施設もあり、古墳の構造を間近で知ることができます。

園内には「埼玉県名発祥の碑」も建てられています。「さきたま」という地名が転じて現在の「埼玉県」という県名の由来になったとされていて、埼玉県民にとってゆかりの深い場所です。出土品を展示する博物館のほか、はにわ作り体験ができる「行田市はにわの館」も併設されていて、家族連れで一日楽しめる公園になっています。

行田市街地には水攻めに耐えた忍城が残る

さきたま古墳公園でウォーキングを終えたあと、時間と体力に余裕があれば、行田市中心市街地まで足を延ばせます。行田市のシンボルである忍城は、戦国時代に豊臣方の水攻めに耐えたことで知られる名城で、小説・映画『のぼうの城』の舞台としても広く知られるようになりました。関東七名城のひとつに数えられ、文明年間(15世紀後半)に築かれたと伝わります。周囲を沼沢地に囲まれた立地から「浮き城」とも呼ばれ、石田三成による水攻めにも耐え抜いたという逸話が残っています。

現在の御三階櫓は、実質的な天守にあたる存在として江戸時代に建てられたものの明治時代に取り壊され、昭和63年(1988年)に本丸跡地に行田市郷土博物館が建設された際、その一部として再建されました。この御三階櫓は郷土博物館の展示室として活用されていて、行田市の歴史を今に伝えています。入館料は大人200円、大学生・高校生100円、中学生・小学生50円で、開館時間は9時から16時30分(最終入館16時)、月曜日や毎月第4金曜日、祝日の翌日、年末年始が休館日です。

忍城のすぐそばには、外堀の跡を利用して整備された「水城公園」もあります。1964年に開園した公園で、西側の芝生広場を中心にソメイヨシノなど約200本の桜が植えられていて、忍城とあわせて花見を楽しめる市民の憩いの場になっています。桜の見頃は例年3月下旬から4月上旬頃で、さきたま緑道の桜の時期とも近く、両方を巡る春の散策コースとして歩く人もいます。

行田市はまた「足袋のまち」としても知られ、かつて足袋産業で栄えた蔵造りの町並みが残っています。古い足袋蔵をリノベーションしたカフェや店舗が点在していて、ウォーキングの後に町歩きをしながら休憩するのに適した街並みです。

町歩きの途中では、行田名物の「ゼリーフライ」や「フライ」も味わえます。ゼリーフライはおからとじゃがいもを揚げた衣のないコロッケのような軽食で、ソースをつけて食べるのが定番です。名前の由来には諸説ありますが、形が小判に似ていることから「銭フライ」と呼ばれていたものが訛って「ゼリーフライ」になったという説が有力とされています。一方のフライは揚げ物ではなく焼き物で、小麦粉を水で溶いた生地に刻んだ野菜を混ぜて鉄板で焼いたお好み焼きに近い食べ物です。北埼玉地方が古くから小麦の産地だったことに加え、昭和初期に全盛期を迎えた足袋工場で働く女工さんたちに手軽なおやつとして支持され、販売する店が増えて定着したといわれています。忍城や田んぼアートを巡ったあとの小腹満たしとして、地元の店で食べ比べてみるのも旅の楽しみになります。

行田市の田んぼアートは2026年もMinecraftとコラボした

行田市を語るうえで欠かせないのが「田んぼアート」です。色の異なる稲を植え分けて巨大な絵柄を田んぼに描く取り組みで、その規模の大きさからギネス世界記録にも認定されたことがあります。展望台から見下ろすと、緻密な絵柄が田園地帯に浮かび上がる様子が楽しめ、毎年テーマが変わる点も魅力です。

2026年は前期が8月3日から8月31日まで開催され、コラボレーション企画としてMinecraftとのタイアップ企画が実施されました。営業時間は平日が8時から16時30分、土日祝および8月13日・14日は8時から18時30分でした。後期は9月1日以降、通常営業として9時から16時30分の営業時間で公開が続いています。夏は緑が鮮やかな絵柄、秋には稲穂が黄金色に色づいた絵柄と、同じ絵柄でも季節によって全く異なる表情を見せるため、時期を変えて二度訪れるファンもいます。さきたま緑道ウォーキングと組み合わせて訪れる観光客も多く、行田市観光の目玉のひとつになっています。

古代蓮の里は6月中旬から8月上旬の午前中が見頃

行田市には、田んぼアートの展望タワーが設置されている「古代蓮の里」という公園もあり、さきたま緑道やさきたま古墳公園と合わせて訪れる観光客が多くいます。ここには行田蓮と世界各地の花蓮あわせて42種類、約12万株が咲く古代蓮池があります。地中から発掘された1400年から3000年前の古い種が自然発芽したとされる「行田蓮」は、市の天然記念物にも指定されている花です。蓮の見頃は例年6月中旬から8月上旬の午前中で、早朝に花が開く蓮の特性上、朝の時間帯に訪れるのがおすすめです。

園内には古代蓮池のほか、世界の蓮園、水生植物園、水鳥の池、牡丹園が整備されていて、展望室を備えた古代蓮会館(入館料400円)や売店も併設されています。高さ50メートルの行田タワーからは関東平野を取り囲む山並みまで見渡せる大パノラマが楽しめ、眼下に広がる田んぼアートを一望する展望スポットにもなっています。田んぼアートは7月中旬から10月中旬にかけて見頃を迎え、11月下旬からは園内の一部でイルミネーションも点灯します。水路沿いの緑と花蓮、古墳群という埼玉県ならではの多彩な自然・歴史資源を一日で回れる組み合わせです。

モデルコースは北鴻巣駅から古墳公園まで約4キロ

さきたま緑道ウォーキングを計画する際のモデルコースを紹介します。まず、JR高崎線北鴻巣駅で下車し、駅前の赤見台近隣公園からスタートします。緑道を南に向かって歩き、道中に点在する彫刻や季節の花々を楽しみながら進みます。約4キロメートルの平坦な道のりを歩き、さきたま古墳公園に到着したら、丸墓山古墳に登って古墳群を一望します。時間があれば、さきたま史跡の博物館で出土品を見学し、はにわ作り体験に挑戦するのもよいでしょう。

体力と時間に余裕があれば、行田市街地に足を延ばして忍城や足袋蔵の町並みを散策し、夏から秋にかけては田んぼアートも合わせて楽しめます。全体を通して歩くとウォーキングだけでも相応の距離になるため、水分補給をこまめに行い、歩きやすい靴で臨むことをおすすめします。歩行者レーンには石畳が敷かれた区間があり、路面に凹凸がある箇所も見られるため、足元には注意しながら歩いてください。

アクセスはJR高崎線北鴻巣駅から乗り換えなし

電車の場合、起点の最寄り駅はJR高崎線北鴻巣駅です。上野・東京方面から高崎線で乗り換えなしで行けるため、都内在住者にとってもアクセスしやすくなっています。終点のさきたま古墳公園へは、JR高崎線行田駅、またはJR高崎線・秩父鉄道行田市駅からバスやタクシーを利用する方法もあります。

車の場合は、さきたま古墳公園に駐車場が整備されているため、そちらを起点として緑道を歩き、折り返してくる計画も立てやすくなっています。周辺の道路や公園の駐車スペースの状況は季節やイベントの有無によって変わることがあるため、事前に最新情報を確認しておくと安心です。

鴻巣市から行田市にかけて続くさきたま緑道は、平坦で歩きやすい道のりの中に、彫刻鑑賞や桜並木といった魅力が詰まったウォーキングコースです。起点の北鴻巣駅から終点のさきたま古墳公園まで約4.5キロメートルというほどよい距離感は、気軽な運動としても、本格的な歴史散策の入り口としても機能します。ゴール地点のさきたま古墳公園では、日本最大級の円墳・丸墓山古墳や国宝「金錯銘鉄剣」の出土地である稲荷山古墳など、古代日本の歴史に直接触れられます。さらに足を延ばせば忍城や田んぼアート、古代蓮の里といった行田市を代表する観光資源も楽しめます。都心からのアクセスも良好なので、季節を変えて何度も歩いてみると、そのたびに違った表情に出会えるコースです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次