東海自然歩道の完全ガイド|ロングトレイル初心者向けモデルプランと歩き方

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東海自然歩道は、東京都八王子市の高尾山から大阪府箕面市までを結ぶ総延長約1,697kmの日本最初の長距離自然歩道であり、1都2府8県を通過する壮大なロングトレイルです。1974年7月に完成したこのウォーキングコースは、日帰りの気軽なハイキングから全線踏破のスルーハイクまで、体力や目的に応じた多彩なモデルプランで楽しむことができます。富士山の眺望や青木ヶ原樹海の神秘、香嵐渓の紅葉など日本の自然美を堪能しながら、由緒ある寺社や宿場町といった歴史・文化遺産にも触れられるのが大きな魅力となっています。

この記事では、東海自然歩道の概要から各県のおすすめコース、季節ごとの楽しみ方、必要な装備、安全に歩くための注意点まで詳しく解説しています。初心者から経験豊富なハイカーまで、自分に合ったスタイルで東海自然歩道を楽しむための情報を網羅していますので、ロングトレイルに興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。

目次

東海自然歩道とは何か

東海自然歩道とは、緑豊かな自然と貴重な歴史文化財を訪ねながら、心身の健康と安らぎを得るための場として整備された長距離自然歩道のことです。1969年に厚生省が長距離自然歩道の構想を提案し、1970年から関係自治体の協力のもとで整備が始まりました。そして1974年7月に、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、奈良県、大阪府の約90市町村を通過する総延長約1,697kmの歩道として完成しました。

この歩道は、国民共通の遺産であり誇りでもある美しい日本の自然を、誰もが心ゆくまで探勝できるようにという願いを込めて作られました。野鳥のさえずり、清らかな渓流、木漏れ日が射し込む緑の林、珍しい野生小動物の生態、そして由緒ある寺社や古墳などの文化遺産を楽しみながら歩くことができるのが特徴です。

東海自然歩道の沿線には、富士箱根伊豆国立公園、丹沢大山国定公園、天竜奥三河国定公園、揖斐関ヶ原養老国定公園、飛騨木曽川国定公園、愛知高原国定公園、鈴鹿国定公園、室生赤目青山国定公園といった数多くの国立公園・国定公園が点在しています。全コースを通して歩くと40日から50日程度かかるとされていますが、多くのハイカーは日帰りや数日間の区間歩きを楽しんでおり、自分の体力や目的に合わせて自由にコースを選択できます。

東海自然歩道の歴史と2024年50周年の動向

東海自然歩道は2024年に開通50周年のメモリアルイヤーを迎え、様々な記念イベントが開催されました。2024年7月には環境省が「東海自然歩道の活性化の方向性(東海自然歩道リバイバルプラン)」を発表しました。このプランによると、2000年前後から「ロングトレイル」「長く歩く旅」が注目されるようになり、10代から80代の幅広い年齢層のスルーハイカーが増加していることが報告されています。

2025年2月1日から3月23日までは「東海自然歩道50周年記念 富士山眺望ハイキングキャンペーン」が開催され、コース周辺の店舗や施設で使えるお得な電子クーポンや、スタンプラリーで缶バッジがもらえるイベントが実施されました。愛知県内のコースにおいては、昭和49年の供用開始以後、令和5年までの49年間で延べ約1,640万人の方に利用されており、長年にわたって多くの人々に親しまれてきた国民的なトレイルであることがわかります。

東海自然歩道の起点と終点

東の起点・高尾山エリアの魅力

東海自然歩道の東の起点である高尾山は、老若男女を幅広く受け入れてくれる山として知られています。標高599mで都心からのアクセスも良く、豊かな自然や野鳥の鳴き声、可憐な草花、鮮やかな紅葉等が楽しめるため、初心者でも気軽に訪れることができます。

高尾山の麓には、東海自然歩道の出発・帰着の拠点となる山小屋「Mt.TAKAO BASE CAMP」があり、スルーハイカーの拠点として活用されています。興味深いことに、東海自然歩道の西側の起点である箕面と東側の起点である高尾山は、どちらも修験道の開祖・役行者ゆかりの地です。

西の起点・箕面エリアの魅力

東海自然歩道の西の起点となる明治の森箕面国定公園は、大都市近郊にありながら豊かな自然が広がり、紅葉と高さ33mの箕面大滝で有名です。阪急箕面駅には足湯もあり、歩き疲れた足を癒してくれます。大阪エリアでは、大都市近郊の自然を残し歩きやすい尾根道のハイキングコースがあり、途中本山寺、神峰山寺を通り景観のよい摂津峡・自然公園に至ります。

各都府県のモデルコース紹介

神奈川県コースの特徴と難易度

神奈川県内の東海自然歩道は、東京都境の小仏峠から丹沢山地を通り、山梨県境の高指山・切通峠までの全長125.8kmが整備されています。姫次など標高1,400mを超える山岳地帯を通るため、全コースを通じて「最も険しいコース」と言われています。このコースは体力や体調と相談しながら、登山の装備で歩く必要があります。四季折々の自然景観や歴史、動植物との出会いなど多彩な魅力がありますが、十分な準備と経験が求められる健脚向きのコースです。

山梨県コースと富士山周辺の見どころ

山梨県内のコースは総延長約115kmあります。県西の田代峠で山梨県に入り、富士川を越えて天子山塊の長者ヶ岳でいったん静岡県に出て、田貫湖、朝霧高原を通り割石峠で再度山梨県に入ります。本栖湖をはじめとした富士五湖や青木ヶ原樹海、忍野八海等の名勝を経て富士山の北麓をぐるっと半周し、丹沢山系の高指山で神奈川県に入るルートです。

青木ヶ原樹海は、西湖・精進湖・本栖湖にまたがる約25平方kmの広大な樹海で、富士山から流れ出た溶岩流の上に生い茂った原生林の森です。貞観6年(864年)の噴火によって流出した溶岩の上に長年にわたって茂った森で、日本一の規模を誇る大原始林となっています。樹海内には氷穴、風穴等の天然記念物の溶岩洞窟があります。

おすすめ散策ルートとして、富岳風穴と鳴沢氷穴の間の約1.4km、30分から40分の樹海さんぽが楽しめます。より長いコースでは、根場民宿から野鳥の森公園、樹海遊歩道、コウモリ穴、西湖民宿、竜宮洞穴、三湖台、氷穴、風穴というルートがあり、所要時間は約4時間30分から6時間です。

静岡県コースの多彩なルート

静岡県のコースは本コースとバイパスコースを併せて総延長318kmあり、東海自然歩道の中でも最も長い区間となっています。本コースは総延長176.3kmで、富士宮市最北端の根原から愛知県境の浜松市北区引佐町鳶ノ巣山付近まで、緑に覆われた山間部を通過するコースが多いのが特色です。

バイパスコースは総延長141.7kmで、富士宮市猪之頭から枝分れし、藤枝市蔵田で本コースと接続します。東海自然歩道で初めて海岸線を巡るコースやロープウェイの利用も設定されており、歩きやすさや交通アクセスを考慮したコースとなっています。

富士宮コースでは、山腹沿いを歩くルートで木々の間から垣間見える富士山は最高の景観です。A沢貯水池を過ぎ、根原吊り橋を渡ると、NHK大河ドラマ「葵・徳川三代」で関ヶ原の戦いのロケを行った場所を含む広大な自然草原地内を歩きます。山頂は標高1,336mで静岡県と山梨県の県境にあり、眼下に田貫湖・朝霧高原、富士山、伊豆半島、駿河湾が一望できる絶好のロケーションです。

田貫湖・朝霧高原エリアでは、牧草地越しに大きな富士山が見られるコースとして多くのハイカーに人気があります。つり橋に滝、小田貫湿原があり、田貫湖と変化に富んだ自然を満喫できます。小田貫湿原は田貫湖の北側の標高約700mの約1.7haの範囲に125ほどの小池が分布する湿原地帯で、湿原特有の植物や70種近くの蝶、20種以上のトンボが生息する自然の宝庫となっています。

野田山コース(バイパスコース)は富士市に整備されており、北に富士山、南に駿河湾の眺望が楽しめるほか、東海道・身延道の史跡・旧跡が歩く人に町の歴史を語りかけてくれます。約20kmのコースで、史跡や旧跡に足をとめたり、山道をトレッキングしたり、変化に富んだ飽きさせない旅路となっています。

愛知県コースと名所めぐり

愛知県のコースは、静岡県境の新城市「鳶ノ巣山」から岐阜県境の犬山市「ライン大橋」に至る本線コース、及び豊田市「寧比曽岳」から岐阜県恵那市を通り、犬山市「善師野」で再び本線に結ばれる恵那コースからなる延長約211kmです。

愛知県内のコースでは、仏法僧で有名な霊山である鳳来寺山、愛知県最大の原生林である段戸裏谷、東海一の紅葉の名所として知られる香嵐渓、日本有数の人造湖である入鹿池、現存する城としては日本最古とされる犬山城といった見どころが点在しています。

本線コース1は犬山城から猿投神社・勘八峡を結ぶ距離90.7kmのルートで、所要時間は往路34時間10分、復路34時間15分です。ライン大橋から犬山橋、寂光院、善師野、今井、奥入鹿橋、小牧市、内津峠、道樹山、桧峠、外之原、定光寺、稚児橋、中平橋、白岩、岩屋堂、雲興寺、猿投山々頂、猿投神社、西中山、広瀬、勘八峡、上高、元山中と続く変化に富んだコースです。

本線コース2は香嵐渓から寧比曽岳・段戸裏谷を結ぶ距離44.2kmのルートで、所要時間は往路17時間、復路18時間15分です。元山中から大島、香嵐渓、安実京、平勝寺、金蔵連峠、寧比曽岳、段戸裏谷、大名倉と続きます。

猿投山は愛知県豊田市と瀬戸市にまたがる標高629mの山で、三河高原の西端に位置し、愛知高原国定公園に含まれています。山頂には東海自然歩道が通っており、本格的なハイカーにも親しまれています。展望台や頂上からの眺望がおすすめで、晴れていれば名古屋市街や三河湾などもはっきり見えます。

岐阜県コースの歴史探訪

岐阜県内の東海自然歩道は全長310.8kmで、恵那市串原の奥矢作湖をふりだしに、日本大正村、大名街道、中山道の宿場町、鬼岩公園をめぐり、可児市南部から愛知県犬山市に至ります。その後、犬山市から各務原市、岐阜市の金華山の北部を通り、谷汲山華厳寺、横蔵寺、鍋倉山、池田山麓を経て、天下分け目の関ヶ原合戦場、養老の滝をめぐって三重県に至るコースとなっています。

岐阜県では「東海自然歩道」の14モデルコースを紹介しており、コース上及びその周辺の観光ポイント、駐車場、トイレなども掲載されたパンフレットを無料配布しています。

関ヶ原・養老エリアでは、養老公園から養老の滝、柏尾、勢至、上方、桜井、沢田のコースで養老山地の山際を歩くルートが楽しめます。沢田から広瀬橋、平井、松尾山、不破関跡、JR関ヶ原駅の区間は、牧田川流域の開放的な田園地帯で、松尾山を越える直前まで平坦な車道歩きが続きます。

養老の滝は高さ30m、幅が約4mあり、岩角を打って流れ落ちる水は清冽で、その雄麗な姿は日本の滝百選にも選定されています。日本武尊は伊吹山の賊を滅ぼすも負傷しながら養老山麓の路を伊勢に向かったとされ、この道は「みゆき道」ともよばれ、今では東海自然歩道として整備されています。

三重県コースの見どころ

三重県分は岐阜県境(いなべ市北勢町川原)から奈良県境(津市美杉町池の平)を結ぶ延長197kmです。菰野町内は約28kmあり、朝明渓谷から湯の山までの約6kmコースは、日本に3ヶ所あるモデルコースの一つです。亀山市を通る東海自然歩道は鈴鹿峠からゾロ峠に至る全長18.1kmの道で、県指定の天然記念物「鏡岩」や怪岩、奇岩が多く、松、楓、つつじが繁茂する「筆捨山」などを楽しめます。

滋賀県・鈴鹿エリアの山岳コース

鈴鹿山脈は滋賀と三重の県境を南北に走っており、北は伊吹山麓の関ガ原、南は布引山地の加太の地溝によって区切られ、総延長およそ60km、東西幅約10kmにわたる地塁を形成しています。主稜上に位置する主な山は、北から霊仙山、御池岳、藤原岳、竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、鎌ヶ岳、仙ヶ岳があり、最高峰は標高1,238mの御池岳です。

滋賀県内は全7コースが紹介されており、比叡山エリアでは仰木峠から横川、比叡山自然教室、根本中堂などのコース(約13.5km、約6時間)があります。

京都府コースの自然と文化

京都府内の総延長は157.1kmで、京都市、宇治市、宇治田原町、和束町、南山城村、笠置町の2市3町1村を通過しています。京都府内を通っているルートは大きく分けて2コースあります。

コース1は比叡山から大原、鞍馬、清滝・嵐山、西山、ポンポン山のルートです。コース2は笠置山から高山ダム、月ヶ瀬、童仙房、鷲峰山、くつわ池、白川、宇治、岩間寺のルートです。

笠置山エリアでは、木津川の南岸にそびえる笠置山が古くからの修験道場、信仰の山として、また歴史上のさまざまなドラマの舞台として知られています。花崗岩から成る山中には奇岩や怪石が数多く、神秘的なムードを高めます。標高289mの山域には、アラカシやクヌギ、アオキなどが自生し、ほとんど全山が広葉樹におおわれ、明るい自然林となっています。東海自然歩道の一部(銀の帯ハイキングコース)は、JR関西本線(笠置駅から大河原駅間)に沿うようにコースが通っています。

なお、東海自然歩道に接続されている京都市左京区の滝谷峠から夜泣峠間において、森林整備のため重機の乗り入れや伐採木の搬出が行われており、令和6年10月から令和8年10月頃までの予定で、その間作業中については断続的に通行止めとなっています。

東海自然歩道連絡協会の厳選22コース

東海自然歩道連絡協会では「厳選コース22」として散策モデルコースを紹介しています。代表的なコースとして、高尾山付近コース、相模湖付近コース、河口湖付近コース、樹海コース、富士展望コース、猿投山コース、入鹿池コースなどがあります。これらのコースは初心者から上級者まで、体力や経験に応じて選択できるよう設計されています。

季節ごとの東海自然歩道の楽しみ方

春は新緑と花が美しい季節

春は新緑が美しい季節であり、東海自然歩道を歩くには最適な時期の一つです。渋川地区一帯には渋川つつじが群生し、初夏の開花期には多くの人々が花見に訪れ賑わいます。高尾山周辺では桜や新緑が楽しめ、富士山周辺では5月中旬頃にゴヨウツツジ(シロヤシオ)が満開となります。気温も歩きやすく、標高の高い場所でも快適に歩けるため、初心者にもおすすめの季節です。ただし、春先は天候が不安定なこともあるため、雨具の準備は欠かせません。

夏は涼しい森のコースがおすすめ

夏は木陰の多いコースを選ぶと快適に歩けます。青木ヶ原樹海など、涼しい森の中を歩くコースが人気です。標高の高い山岳地帯では気温が下がるため、避暑を兼ねたハイキングが楽しめます。ただし、熱中症対策として十分な水分補給が重要です。また、ヤマビルの活動期間でもあるため、森林地帯を歩く際は注意が必要です。早朝や夕方の涼しい時間帯を利用して歩くのも一つの方法です。

秋は紅葉シーズンの絶景を堪能

東海地方の紅葉見頃時期は例年10月上旬から12月上旬頃です。各県別の紅葉時期の目安として、愛知県は例年11月上旬から12月上旬頃、岐阜県は例年10月上旬から11月下旬頃、三重県は例年10月下旬から12月上旬頃、静岡県は例年10月下旬から12月上旬頃となっています。

特に香嵐渓は東海一の紅葉の名所として知られており、この時期は多くの観光客で賑わいます。高尾山や箕面の紅葉も見事で、東海自然歩道の起点・終点ともに秋の美しさを堪能できます。

冬は眺望と静けさを楽しむ季節

冬は積雪のある山岳地帯は避け、低地のコースを選ぶのが安全です。晴れた日には空気が澄んでおり、富士山をはじめとする山々の眺望が特に美しいです。ただし、日が短いため早めに出発し、余裕を持った計画を立てることが重要です。防寒対策も十分に行い、万が一に備えてライトは必ず携帯してください。

初心者向けおすすめウォーキングコース

家族連れでも楽しめるコース

東海自然歩道には、家族向けのコースから本格的な健脚コースまで、各地の見どころを楽しく歩けるよう設計されています。静岡県の野守の池周辺コースは、市街地から始まり名刹で知られる金剛院をめざして杉林に覆われた山道を歩きます。途中には野守の池や八垂の滝などの名所が点在し、家族連れで散策が楽しめます。バイパスコースは歩きやすさや交通アクセスを考慮して設定されており、ロープウェイの利用も可能なため、体力に自信のない方でも参加しやすくなっています。

日帰りで楽しめるショートコース

富岳風穴と鳴沢氷穴の間の約1.4km、30分から40分の樹海さんぽは、短時間で東海自然歩道の魅力を味わえるおすすめコースです。高尾山周辺のコースも都心からのアクセスが良く、ケーブルカーやリフトを利用すれば体力に自信のない方でも楽しめます。山頂からの眺望は素晴らしく、晴れた日には富士山まで見渡せます。

セクションハイキングという楽しみ方

ロングトレイルは必ずしも全線を歩く必要はありません。自分のレベルに合った区間だけを歩く「セクションハイキング」という楽しみ方もあります。週末や休日を利用して少しずつ歩き進め、数年かけて踏破を目指すハイカーも多いです。セクションハイキングの良いところは、季節を変えて同じコースを歩けることです。春の新緑、秋の紅葉と、異なる表情を楽しむことができます。

スルーハイク(全線踏破)への挑戦

東海自然歩道の全長は1,697.2kmあり、1日50km進んだとしても約34日かかる計算になります。また、標高が1,000mを超えるエリアもあり、自然の厳しさにも触れることになります。

実際にスルーハイクに挑戦している人の体験談によると、5年かけてようやく1,000kmの旅を歩き切ったという例もあります。また、約100km歩いた段階で「東海自然歩道を歩く人(線の人)には全く出会わない」「ルート上に商店(コンビニなど)が現れず、補給が難しい」といった課題も報告されています。毎日歩き続けることは現実的ではないため、多くのハイカーは東京から東海自然歩道まで通いながらゴールを目指すスタイルを取っています。

東海自然歩道を歩くための基本装備

必携の基本装備

東海自然歩道を歩く際に必要な基本装備として、マップ(地図)、コンパス、水筒、ライト、タオル、ティッシュペーパー・ちり紙、携帯型救急セット、行動食、クマ鈴(訪問エリアによる)、ゴミ袋が挙げられます。テント泊をする場合は、テントや寝袋なども必要になります。

服装選びのポイント

季節や訪れる場所によって、適した服装は大きく異なります。訪れる場所の気候をきちんと調べた上で、歩きやすい服装を準備することが重要です。1日の中でも時間帯によって気温や湿度が変わるため、着脱しやすく体温調節しやすい服装がおすすめです。

ロングトレイル向けの軽量装備

ロングトレイルでの装備の軽量化は快適な歩きのための最大の近道です。UL(ウルトラライト)の装備もロングトレイルが発祥で、軽くすることで体の負荷を軽減し、長く歩けるようになります。シューズは軽い方が楽ですが、歩き始めて筋肉がまだついていない頃は少し頑丈な靴を選んだ方がよいでしょう。

安全に歩くための注意事項とマナー

一般的なマナーと心得

事前にコースを充分検討し、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。歩道は地元の方々の協力で成り立っているため、畑や山林などに入らないようにしましょう。歩行中は禁煙に協力し、自分のゴミは持ち帰り、植物や鉱物を採ったり傷つけたりしないことが求められます。

野生動物への対策

クマ対策として、山に入る時は鈴・笛・ラジオ等で音を出して、クマに自分の存在をアピールすることが重要です。クマが人間の食べ物の味を覚えると、エサを求めて人里へ近づく原因になるため、お弁当等の残飯は必ず持ち帰ってください。また、山林の歩道にはヤマビルが生息している可能性があります。活動期間である4月から11月は特に注意が必要です。

コース難易度への配慮

神奈川県コースは標高1,400mを超える山岳地帯を歩くため、全コースを通じて最も険しいコースといわれています。体力や体調と相談しながら、登山の装備で歩く必要があります。場所によっては急勾配な坂道が続く健脚向きのコースもあるため、地形図や交通機関の下調べをよくするとともに、コースの各所にある案内標識や解説標識などにも注意してください。

その他の重要な注意点

車道を東海自然歩道としている区間があるため、交通事故に十分注意が必要です。自転車の乗り入れが禁止されている区間があるため、現地の指示に従ってください。安全管理は自己責任が基本です。疲れたり体調が悪くなった時は無理をせず、体力に不安がある場合はガイドやツアーを利用することをおすすめします。のどの渇きや空腹を感じる前に水分とエネルギーを補給し、疲れを防ぐことも大切です。

長距離自然歩道は、自分たちの体力やルートの難易度にあわせて、自由に組み立てて歩くことができます。大人が歩く距離の目安は、平坦地で1日20km程度です(個人差あり)。歩行時間や難易度は天候・グループ構成によって異なるため、無理のないペースで歩くことが重要です。原則的に、暗くなる前に歩行を終えるよう計画を立ててください。下山は意外に膝や足首、腰に負担がかかるため、下りこそ気をつけて歩き、急な下り道は歩幅を狭めて地面を垂直に踏むように歩くとよいでしょう。

東海自然歩道の文化的価値と歴史的意義

沿線の歴史的建造物と寺社仏閣

東海自然歩道は「緑豊かな自然と貴重な歴史文化財を訪ねながら、心身の健康と安らぎを得るための場」として整備されました。沿線には由緒ある寺社や古墳などの文化遺産が数多く存在します。

静岡県では江戸時代に宿場町として栄えた岡部のコースがあり、途中には由緒ある神社仏閣が点在し、歴史探訪を楽しむのに最適です。芝川の清流沿いを白糸の滝めざして歩くコースには、名刹西山本門寺や手漉の和紙工房などの名所があります。京都府では豊かな自然や多くの文化財にふれながら歩くことができ、比叡山延暦寺の根本中堂をはじめとする歴史的建造物を訪れることができます。岐阜県では中山道の宿場町や谷汲山華厳寺、横蔵寺など、歴史ある寺社を巡るコースが設定されています。

現代版「東海道五十三次」としての魅力

東海自然歩道は、自然に親しむ現代版の「東海道五十三次」ともいわれています。江戸時代の旅人が東海道を歩いたように、現代人も東海自然歩道を歩いて日本の風土を体感することができます。古戦場や歴史残る名勝地、宿場町への立ち寄りなど、歴史探訪もふんだんに楽しめるのが東海自然歩道の大きな魅力の一つです。

ロングトレイルが伝える日本の文化

ロングトレイルの魅力は、歩くことで文化や歴史に触れられることにあります。トレイルの中にはかつて交易や往来で使われていた古道や巡礼のための道が活用されていることも多く、自然を楽しみながらその土地の風土を体感することができます。東海自然歩道も例外ではなく、各地域の歴史や文化を体感しながら歩くことで、単なるハイキング以上の深い体験を得ることができます。

日本のロングトレイル文化と東海自然歩道

ロングトレイルとは

ロングトレイルを日本語に訳すと「長距離自然歩道」で、日本各地には北海道から九州まで、数十kmから長いものでは1,000kmにも及ぶロングトレイルが整備されています。「JAPAN TRAIL」は沖縄から北海道まで日本を縦断する総距離約1万kmのロングトレイル構想です。

日本を代表する他のロングトレイル

日本を代表するロングトレイルとして、信越トレイルは西は斑尾山から東は苗場山まで連なる全長110kmのトレイルです。日本にロングトレイルを広めてきた第一人者である故・加藤則芳氏が発起人となり開通に尽力しました。その他にも、北根室ランチウェイ(北海道)、みちのく潮風トレイル(東北)、塩の道トレイル(新潟・長野)、富士山トレイル(静岡・山梨)、高島トレイル(滋賀)、ダイヤモンドトレール(大阪・奈良・和歌山)、国東半島峯道トレイル(大分)などがあります。

ロングトレイルの魅力

ロングトレイルの魅力は、数日から数週間、時には数ヶ月をかけて自然の中を歩き続けることで得られる達成感と、日常では味わえない自然との一体感にあります。途中で出会う地域の文化や人々との交流も大きな魅力の一つです。

東海自然歩道へのアクセス方法と情報入手

公式サイトと情報源

東海自然歩道のコースマップは各都府県の公式サイトでダウンロードできます。また、郵送で請求することも可能です。岐阜県では「東海自然歩道」の14モデルコースを紹介しており、コース上及びその周辺の観光ポイント、駐車場、トイレなども掲載したパンフレットを無料配布しています。主な情報源として、環境省「長距離自然歩道を歩こう!」、東海自然歩道連絡協会公式サイト、各都府県の自然公園担当部署があります。環境省の公開GISデータから各県コースのkml/gpxデータがダウンロード可能です。

主要コースへのアクセス例

富士河口湖周辺のコースへは、富士急行線河口湖駅から富士急バスブルーライン約29分・グリーンライン約49分の「富岳風穴」バス停下車でアクセスできます。養老エリアへは、近鉄養老駅からコースまで西へ一直線、1.0km、15分ほどの距離です。

まとめ

東海自然歩道は、1974年に日本初の長距離自然歩道として完成して以来、50年以上にわたり多くの人々に愛されてきました。総延長約1,697kmという壮大なスケールは、日本の自然の豊かさと多様性を物語っています。

高尾山から箕面まで、11都府県にまたがるこのトレイルは、富士山の眺望、青木ヶ原樹海の神秘、香嵐渓の紅葉、養老の滝の雄大さなど、日本の自然美の粋を集めています。同時に、古寺や神社、宿場町など、日本の歴史と文化にも触れることができます。

初心者には日帰りのショートコースから、経験者にはスルーハイクという究極の挑戦まで、様々な楽しみ方ができるのが東海自然歩道の魅力です。自分のペースで、自分のスタイルで、この素晴らしいロングトレイルのウォーキングコースを、ぜひモデルプランを参考にしながら歩いてみてはいかがでしょうか。

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