宮島の厳島神社参拝と紅葉谷公園ウォーキングコースで心癒やされる旅

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広島県の沖合に浮かぶ宮島は、ただの観光地ではありません。ユネスコ世界文化遺産に登録され、古来より神宿る島として崇められてきた聖なる場所です。海に浮かぶ朱塗りの厳島神社、四季折々の美しさを見せる紅葉谷公園、そして霊峰弥山へと続くウォーキングコースは、訪れる人々に特別な体験を提供してくれます。宮島での参拝と散策は、単なる観光以上の意味を持ちます。それは、自然と信仰が織りなす壮大な物語の中に足を踏み入れる旅であり、潮の満ち引きと共に表情を変える神秘的な景観に触れる体験なのです。厳島神社の海上に浮かぶ社殿、紅葉谷公園の清らかな渓流、そして弥山の原始林が一体となった景観は、日本の美意識と信仰心が生み出した最高傑作と言えるでしょう。この記事では、宮島への渡航から厳島神社の参拝、紅葉谷公園のウォーキングコース、そして島の魅力を余すところなく楽しむための実践的な情報まで、詳しくご紹介していきます。

目次

宮島へのアクセスと神域への渡航

宮島を訪れる際、本土の宮島口から島へと渡るフェリーの旅は、俗世から聖域へと移行するための重要な時間となります。わずか10分ほどの短い船旅ですが、この航路選びが宮島での体験を大きく左右することをご存知でしょうか。

宮島口の桟橋には、JR西日本宮島フェリー宮島松大汽船という二つの運航会社が乗り場を構えています。運賃は片道大人180円にプラスして宮島訪問税100円が必要となり、所要時間は約10分とほぼ同じです。多くの旅行者は次に来た船に乗り込むかもしれませんが、ここには宮島での体験をより豊かにするための大切な選択が存在します。

その鍵を握るのが、JR西日本宮島フェリーが日中の便で運航する「大鳥居便」です。この便は意図的に航路を厳島神社の大鳥居に接近させ、海上から社殿と大鳥居が一体となった荘厳な姿を拝む絶好の機会を提供してくれます。これは単なる移動手段ではなく、かつての船乗りや巡礼者たちが海上からこの聖なる建造物を仰ぎ見たであろう歴史的な視点を追体験させてくれる、素晴らしい演出なのです。特に初めて宮島を訪れる方には、往路でJR西日本宮島フェリーの「大鳥居便」を選択することを強く推奨します。海上から見る大鳥居と社殿の姿は、これから始まる神聖な体験へのプロローグとして、訪問全体のトーンを決定づける最初の感動となるでしょう。

フェリーは日中10分から15分間隔で頻繁に運航していますが、早朝や日没後の訪問を計画する際には時刻表の確認が不可欠です。また、Japan Rail Passをお持ちの方は、JRフェリーが追加料金なしで乗船できるという利点もあります。交通系ICカードも利用できるため、チケット購入の手間もかかりません。

宮島の桟橋に降り立つと、そこには独特の空気が流れています。海の香りと松の緑、そして遠くに見える朱塗りの社殿が、訪れる人々を非日常の世界へと誘います。フェリー乗り場から厳島神社へと続く道は、商店街の賑わいと神聖な雰囲気が絶妙に調和した空間です。

厳島神社参拝の極意

宮島観光の中心となる厳島神社は、推古天皇元年(593年)に創建されたと伝えられる古社です。しかし、今日私たちが目にする壮麗な海上社殿の姿は、平安時代末期の武将平清盛の篤い信仰心と絶大な権力によって形作られました。

平清盛は安芸守に任官された後、厳島神社を平家一門の氏神として崇敬し、仁安3年(1168年)頃、当時の都の建築様式や文化を惜しみなく注ぎ込んで、社殿を現在の規模に造営しました。その建築様式は、平安貴族の邸宅であった寝殿造を巧みに取り入れています。社殿の前に広がる瀬戸内海を邸宅の庭の池に見立て、本社と客神社を寝殿と対屋に、それらを結ぶ廻廊を渡殿になぞらえるという、他に類を見ない独創的な発想が用いられました。

屋根には、最も格式の高い建築にのみ用いられる檜の樹皮を重ねた檜皮葺が採用され、優美な曲線を描いています。清盛はまた、大阪の四天王寺から舞楽を移すなど、都の華やかな文化をこの地に移植し、厳島神社を宗教的な聖地であると同時に、平家一門の栄華を象徴する文化的な中心地へと昇華させたのです。

自然と共存する建築の叡智

海上に社殿を構えるという大胆な選択は、美しさだけでなく、絶えず変化する自然の力と共存するための深い知恵を必要としました。厳島神社の建造物には、台風や高潮といった厳しい自然現象に耐え抜くための巧みな工夫が随所に見られます。

社殿を支える柱は、海底に埋め込まれているのではなく、礎石の上に置かれているだけです。これにより、地震の揺れや波の衝撃を逃がすことができ、建物全体へのダメージを最小限に抑える構造になっています。また、廻廊や舞台の床板には、意図的に「目透し」と呼ばれる隙間が設けられています。高潮の際、海水が床下から突き上げる力をこの隙間から逃がすことで、建物が浮き上がって流されるのを防ぐ、巧みな水圧調整機能です。

最も重要な御本社は、境内の中でもわずかに高い場所に配置されており、創建以来、一度も海水に浸かったことがないとされています。これらの工夫は、自然を支配しようとするのではなく、その力を受け入れ、受け流すことで共存しようとする、日本古来の自然観を体現しています。

参拝の順路と見どころ

厳島神社の参拝は、入口に位置する摂社客神社から始まります。主祭神にゆかりのある神々を祀るこの社もまた国宝であり、ここから始まる参拝路は、訪れる者を神聖な空間へと誘います。朱塗りの柱が美しい東廻廊を進むと、まるで海上を歩いているかのような不思議な感覚に包まれます。

視界が開け、正面に現れるのが、海の安全を守る宗像三女神を祀る御本社です。その手前に広がる平舞台と、舞楽が奉納される高舞台は、住吉大社、四天王寺の石舞台とともに日本三舞台の一つに数えられる神聖な場所です。さらに西へ進むと、海中に浮かぶ唯一無二の能舞台が姿を現します。これは戦国時代に毛利氏によって寄進されたもので、厳島神社の歴史の重層性を示しています。

大鳥居の奇跡

宮島の象徴である大鳥居は、高さ約16.6メートル、総重量約60トンにも及ぶ巨大な木造建造物です。現在の鳥居は明治8年(1875年)に再建されたもので、平安時代から数えて8代目か9代目とされています。

その最大の驚異は構造にあります。この巨大な鳥居は、その柱が海底に埋められているわけではなく、自らの重さだけで海中に立っているのです。主柱には樹齢500年以上の楠が用いられ、屋根にあたる島木の内部に石を詰めて重しとすることで、驚異的な安定性を確保しています。これは、近代的な重機のない時代に成し遂げられた、日本の伝統的な木工技術と構造力学の叡智の結晶です。

潮汐を味方につける参拝計画

厳島神社の鑑賞体験は、潮位によって完全に変化します。一度の訪問でその真価を理解することは難しく、可能であれば満潮と干潮、両方の姿を見ることが理想です。

潮位250センチメートル以上の満潮時には、社殿と大鳥居が海に浮かんで見える、最も象徴的な光景が広がります。廻廊を歩けば、足元にさざ波が寄せ、まるで竜宮城に迷い込んだかのような幻想的な体験ができます。社殿全体が水面に映り込む様子は、平清盛が思い描いた平安貴族の美意識そのものです。

一方、潮位100センチメートル以下の干潮時には、潮が引いて広大な干潟が現れます。この時間帯には、大鳥居の根元まで歩いて近づくことが可能になります。間近で見上げる鳥居の巨大さに圧倒されるとともに、普段は海中にある社殿の基礎構造を観察できる貴重な機会です。鳥居の柱に付着したフジツボなどを見ることで、この建造物が海と共に生きている実感が湧いてきます。

訪問前には、必ず宮島観光協会のウェブサイトで公開されている潮汐表を確認し、計画を立てることが不可欠です。潮の満ち引きは、単なる写真撮影のタイミングの問題ではありません。それは、この神社の持つ二つの顔を明らかにする、自然が演出する壮大な舞台装置なのです。満潮時には海の神々との繋がりを、干潮時には人間の叡智と信仰の力を感じることができるでしょう。

紅葉谷公園ウォーキングコースの魅力

厳島神社の神聖な境内から一歩足を踏み出すと、そこには静かで自然豊かな別世界が広がっています。弥山の麓に抱かれた紅葉谷公園は、単なる紅葉の名所ではなく、自然の猛威を乗り越え、人間の知恵と美意識によって再生された、生きた景観芸術の傑作です。

歴史が育んだ景観美

紅葉谷が紅葉の名所として知られるようになったのは、江戸時代にカエデの木が植えられたのが始まりとされています。その名の通り「もみじの谷」として、古くから人々に親しまれてきました。しかし、この公園の現代的な姿を決定づけたのは、昭和20年(1945年)9月に宮島を襲った枕崎台風でした。

この台風により、紅葉谷の上流で大規模な土石流が発生し、美しい谷は壊滅的な被害を受け、その土砂は厳島神社の一部をも飲み込みました。この悲劇からの復興事業は、日本の土木史において画期的なものでした。単にコンクリートの壁で固めるのではなく、砂防の専門家と庭師が協力し、砂防施設そのものを日本庭園として築き上げるという、前代未聞の試みがなされたのです。

この「庭園砂防」は、現地の石材のみを使用し、樹木は一本も切らず、コンクリート面は一切見せないという厳しい理念のもとに造られました。その結果、安全機能と自然美が見事に融合した景観が生まれ、戦後の土木施設としては異例の国指定重要文化財となっています。公園内を流れる清流や、巧みに配置された岩々は、訪れる者の目を楽しませる美しい庭園であると同時に、島の安全を守る強固な防災システムでもあるのです。

カエデが織りなす四季の表情

紅葉谷公園には、約700本ものカエデが植えられています。その主役は、約560本を占めるイロハカエデで、その繊細で星形のような葉が特徴です。その他にも、葉がより大きいオオモミジ約100本、ヤマモミジ、そして幹の模様が瓜の皮に似ていることから名付けられたウリハダカエデなど、多様な種類のカエデが谷を彩ります。

秋の紅葉シーズンには、公園が最も華やぎます。例年の見頃は11月中旬から下旬にかけてで、イロハカエデの燃えるような赤、オオモミジの鮮やかな黄色、そして様々な色合いが混じり合い、谷全体が錦の絵巻物のように染め上がります。朱塗りのもみじ橋と紅葉のコントラストは、まさに絶景です。近年では、夜間のライトアップが行われることもあり、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

一方、春から夏にかけては、秋の賑わいとは対照的に、静かで穏やかな美しさに満ちています。青もみじと呼ばれる瑞々しい緑の葉が陽光に透け、清涼感あふれる空間を作り出します。紅葉谷川のせせらぎの音が心地よく響き、森林浴には最適な季節です。人出も少なく、ゆっくりと自然と向き合いたい方には、むしろこの時期の訪問がおすすめです。

ウォーキングコースの詳細

紅葉谷公園のウォーキングコースは、厳島神社の裏手から始まります。宮島ロープウエーの案内板に従って進むと、道は紅葉谷川に沿って緩やかに上っていきます。舗装された歩きやすい道ですので、特別な装備は必要ありませんが、歩きやすいスニーカーやウォーキングシューズがおすすめです。

公園の入口にかかる朱塗りのもみじ橋が最初の目印であり、絶好の写真スポットです。川のせせらぎと朱色の橋、そして周囲を彩るカエデの木々が織りなす景観は、四季を通じて美しく、訪れる人々の心を癒やしてくれます。橋の上から眺める渓流の様子は、まさに日本庭園の趣があり、庭園砂防の技術の高さを実感できます。

そこから先は、美しく整備された庭園砂防の渓流を眺めながら、石畳の遊歩道を歩きます。清流の水音、木々の葉が風にそよぐ音、野鳥のさえずりが耳に心地よく、都会の喧騒を忘れさせてくれる静謐な時間が流れます。途中には茶屋もあり、疲れたら休憩を取ることもできます。季節の和菓子や抹茶をいただきながら、谷の景色を楽しむのも贅沢な時間です。

やがてロープウエー紅葉谷駅の近くにあるもう一つの朱塗りの橋もみじ谷橋に到着します。ここからロープウエーに乗って弥山へ向かうこともできますし、ゆっくりと来た道を戻って厳島神社方面へ戻ることもできます。厳島神社からロープウエー駅まで、ゆっくり写真を撮りながら歩いて約20分から25分の、心地よい散策コースです。

体力に自信のある方は、さらにロープウエーを利用せず、登山道を使って弥山山頂を目指すこともできます。紅葉谷コースは登山道の中でも最もポピュラーで初心者向けのコースで、山頂まで約1時間半から2時間ほどです。ただし、登山道は舗装されていない山道ですので、トレッキングシューズと十分な飲料水、そして天候の変化に対応できる服装が必要です。

弥山への登拝と霊性の体験

紅葉谷公園の散策を終えたなら、より深く宮島の霊性に触れるため、島の最高峰であり、古来からの信仰の中心である弥山への登拝に挑戦することをお勧めします。この山頂への道は、単なるハイキングではなく、宮島の精神的な核心へと至る巡礼の道です。

弘法大師の霊山

標高535メートルの弥山は、真言宗の開祖である弘法大師空海が、大同元年(806年)に唐からの帰途に立ち寄り、開山したと伝えられる聖地です。山全体が国の天然記念物に指定された原始林に覆われており、太古の自然が今なお息づいています。山中には数多くの巨岩・奇岩が点在し、神秘的な雰囲気を醸し出しています。

弥山という名前の由来については諸説ありますが、須弥山(しゅみせん)という仏教の世界観における宇宙の中心にそびえる山になぞらえて名付けられたという説が有力です。この山自体が神聖な存在として崇められてきた歴史があり、厳島神社の背後にそびえる弥山の存在こそが、この島全体を神域たらしめている要因とも言えます。

ロープウエーで空中散歩

弥山山頂へ至るには、体力や時間に応じていくつかの選択肢があります。最も手軽な方法が宮島ロープウエーの利用です。紅葉谷公園の奥にある紅葉谷駅から乗車し、途中のかやたに駅で小型のゴンドラに乗り換え、終点の獅子岩駅まで約20分の空中散歩を楽しみます。

ロープウエーからは、眼下に広がる原始林と瀬戸内海の絶景を一望できます。特に紅葉の時期には、眼下に広がる錦のような紅葉の絨毯が圧巻です。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の表情を空から楽しめるのは、ロープウエーならではの魅力です。

ただし、終点の獅子岩駅から山頂までは、さらに約30分の登山道を歩く必要があります。この区間は舗装されていない山道ですが、整備されているため、普通の体力があれば十分に登ることができます。往復運賃は大人2,000円で、営業時間は季節により変動しますが、概ね9時から16時または17時までです。最終便に乗り遅れると徒歩での下山となるため、時間には十分な注意が必要です。

消えずの火が灯る霊火堂

山頂近くに佇む霊火堂には、弥山七不思議の一つに数えられる消えずの火が祀られています。この火は、弘法大師空海が806年に弥山で修行を行った際に灯した護摩の火が、以来1200年以上もの間、一度も消えることなく燃え続けていると伝えられる奇跡の霊火です。

この消えずの火は、広島平和記念公園の「平和の灯」の種火の一つにもなっており、絶えることのない信仰と平和への願いを象徴しています。堂内に置かれた大茶釜でこの霊火によって沸かされた霊水を飲むと、万病に効くという言い伝えがあり、参拝者は自由にいただくことができます。

霊火堂の周辺には、他にも弥山本堂や三鬼堂など、歴史ある建造物が点在しています。巨大な岩の上に建てられた三鬼堂は、その独特の佇まいで訪れる人々を驚かせます。これらの建造物は、この山が古くから修験道の聖地であったことを物語っています。

ミシュラン三つ星の絶景

苦労して辿り着いた山頂には、その疲れを忘れさせるほどの絶景が待っています。建築家・三分一博志氏設計のモダンな展望台からは、360度の視界を遮るものは何もなく、瀬戸内海に浮かぶ無数の島々が織りなす多島美を一望できます。

晴れた日には遠く四国連山まで見渡せるこの眺望は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で最高評価の三つ星を獲得しており、その美しさは世界的に認められています。眼下には先ほど参拝した厳島神社の朱塗りの社殿が小さく見え、瀬戸内海にはフェリーや漁船が行き交い、時間の流れがゆっくりと感じられます。

山頂で深呼吸をすると、清々しい空気が肺いっぱいに広がります。海抜ゼロメートルの社殿で海の神々と対話し、標高535メートルの山頂で1200年燃え続ける不変の火に触れる。この二つの体験を経て初めて、宮島という聖地の持つ奥深い多層的な世界観を真に理解することができるのです。

島の文化と食の魅力

宮島での体験は、視覚や精神だけでなく、味覚を通じても深まります。島の食文化は、瀬戸内海の豊かな恵みと、長い歴史の中で育まれた知恵の結晶です。

広島湾の宝・牡蠣

広島湾の栄養豊富な海で育った牡蠣は、全国的に有名ですが、宮島では特に新鮮なものを手軽に味わうことができます。最も代表的な食べ方が、殻付きのまま豪快に焼き上げる焼きがきです。表参道商店街を歩けば、香ばしい香りが漂い、多くの店先で焼きたてを求める人々の列ができています。

牡蠣屋、焼がきのはやし、かきふくまるなど、それぞれの店が独自のこだわりを持って牡蠣を提供しています。牡蠣屋では焼きがきはもちろん、新鮮な生がきや、牡蠣フライ、かきめしなど、牡蠣づくしの定食が人気です。焼がきのはやしは、最高級ブランド牡蠣「地御前かき」を使用し、旨味を凝縮させる焼き方にこだわりを持っています。かきふくまるでは、定番のレモン添えだけでなく、ガーリックバターや味噌といった多彩な味付けで焼きがきを楽しめます。

明治生まれの名物・あなごめし

宮島名物として牡蠣と双璧をなすのがあなごめしです。その歴史は明治34年(1901年)、当時の宮嶋駅(現在の宮島口駅)の駅弁として考案されたことに始まります。脂の乗った鰻とは異なり、淡白で上品な味わいの穴子を、特製の甘辛いタレで香ばしく焼き上げ、ご飯の上にびっしりと敷き詰めたもの。最大の特徴は、穴子の骨や頭から取った出汁で炊き込んだ風味豊かなご飯にあり、冷めても美味しく食べられるように工夫されています。

宮島口にある「あなごめし うえの」は元祖の店として、創業以来の味を守り続ける老舗です。島内では、旅館「錦水館」内にある「まめたぬき」で、珍しい蒸しのあなごめしを味わうことができます。ふっくらととろけるような食感が特徴で、焼きとはまた違った美味しさを楽しめます。

もみじ饅頭の進化

紅葉谷公園のカエデの葉をかたどったもみじ饅頭は、今や広島土産の代名詞です。明治時代後期に、宮島の和菓子職人によって考案されたとされ、その歴史は100年以上に及びます。当初はこし餡のみでしたが、時代と共に進化を遂げ、現在ではつぶ餡、クリーム、チーズ、チョコレート、抹茶といった定番に加え、季節のフルーツなど、各店が創意工夫を凝らした餡を開発しています。

近年の大ヒット商品が「揚げもみじ」です。紅葉堂が開発したもので、もみじ饅頭に衣をつけて揚げ、熱々を串に刺して提供します。外はサクサク、中はふんわりとした食感が人気で、宮島の食べ歩き文化を象徴する存在となっています。また、にしき堂が開発した「生もみじ」は、餅粉を使ったもちもちとした食感の生地が特徴の新感覚もみじ饅頭です。

フェリー乗り場から厳島神社へと続く表参道商店街は、活気あふれる食べ歩きの天国です。焼きがきや揚げもみじはもちろん、魚のすり身を揚げた「にぎり天」、広島牛を使ったコロッケや肉まん、瀬戸内レモンを使ったドリンクなど、手軽に楽しめるグルメが満載です。

宮島観光の実践的アドバイス

宮島での一日を安全で快適、そして敬意に満ちたものにするために、いくつかの実践的なアドバイスをお伝えします。

服装と履物の選び方

宮島観光は、基本的に徒歩での移動が中心となります。舗装された参道から神社の廻廊、公園の石畳、そして弥山への登山道まで、路面状況は様々です。歩きやすいスニーカーやウォーキングシューズが必須です。特に弥山登山を計画している場合は、トレッキングシューズを強く推奨します。

厳島神社の廻廊は板の隙間があるため、ハイヒールは危険であり、避けるべきです。また、干潮時に大鳥居の近くまで歩く場合、足元がぬかるむ場合があるため、汚れても良い靴を選ぶと安心です。

服装は重ね着できるものが基本です。島は海風の影響を受けやすく、天候が変わりやすい上に、日向と日陰、市街地と山間部で体感温度が大きく異なります。風を通しにくい上着や、着脱しやすいカーディガンなどを用意し、気温の変化に柔軟に対応できるようにしましょう。

宮島の鹿との適切な接し方

宮島で出会う鹿は、愛らしい姿で観光客を迎えてくれますが、彼らは飼育された動物ではなく、古くからこの島に生息する野生動物です。彼らと、そして島の自然環境と共存するためには、厳守すべきルールがあります。

最大の鉄則は「絶対に餌を与えない」ことです。人間の食べ物は塩分や糖分、油分が多く、鹿の消化器系に深刻なダメージを与え、病気や死に至る原因となります。また、餌付けは、鹿が自ら餌を探すという本来の野生の習性を失わせ、食べ物を求めて人間に過剰に依存し、時には攻撃的になる行動を引き起こします。

食べ物の味を覚えた鹿は、ビニール袋や紙類までも誤って食べてしまい、消化管閉塞で命を落とすことがあります。訪問者は、食べ物を鞄の中にしっかりとしまい、鹿の前で広げないように注意してください。地図や切符などの紙類も、鹿が興味を示して食べてしまう可能性があるため、注意が必要です。鹿に触ることも避け、常に適度な距離を保ちましょう。

一日のモデルプラン

効率よく宮島を楽しむためのモデルプランをご紹介します。午前9時30分頃に宮島に到着し、JRフェリーの大鳥居便で海上から大鳥居を眺めます。午前10時頃の満潮時刻に合わせて厳島神社を参拝し、海に浮かぶ幻想的な社殿を体験します。

午前11時30分頃には千畳閣と五重塔を見学し、広大な千畳閣から参拝したばかりの厳島神社を見下ろします。午後12時30分頃には、混雑を避けるため少し早めに昼食をとり、名物のあなごめしや焼きがきを専門の食事処で楽しみます。

午後1時30分頃から紅葉谷公園を散策し、清流の音を聞きながら、緑豊かな公園をロープウエー駅方面へゆっくりと歩きます。午後2時30分頃の干潮時刻に合わせて干潟へ行き、大鳥居の根元まで歩いてその巨大さを体感します。

午後3時30分頃からは表参道商店街で食べ歩きと土産物探しを楽しみ、揚げもみじやにぎり天などを味わいながら、各店の個性的なもみじ饅頭を試食・購入します。午後5時頃に宮島を出発し、天気が良ければ、夕日に染まる大鳥居をフェリーから眺めることができます。

このプランは潮の満ち引きを考慮した理想的なルートですが、訪問日の潮汐表を必ず確認し、満潮と干潮の時刻に合わせて調整することが重要です。また、弥山登山を含める場合は、往復で3時間から4時間程度を見込む必要があり、早めの出発が推奨されます。

おわりに

宮島を訪れることは、単に美しい風景を巡る旅ではありません。それは、自然と信仰が一体となった聖なる空間に身を置き、潮の満ち引きという絶え間ない変化と、1200年以上燃え続ける不変の炎という悠久の時が交差する場所を体験する旅です。

平清盛の雅な夢が海上に浮かび、豊臣秀吉の壮大な野望が未完のまま風に吹かれ、弘法大師の祈りが今なお霊火として燃え続けるこの島は、日本の歴史と美意識が凝縮された生きた博物館です。訪問者は、朱塗りの廻廊を歩き、緑深き谷を散策し、霊峰の頂に立つことで、この島がなぜかくも深く人々の心を捉え続けてきたのかを、五感で理解することでしょう。

思慮深い準備と、自然や文化への敬意を持ってこの島を訪れるならば、宮島は単なる思い出以上のものを与えてくれます。厳島神社の朱塗りの社殿、紅葉谷公園のせせらぎ、弥山の原始林、そして島の人々の温かいおもてなし。これらすべてが調和して、訪れる人々の心に深い感動を刻み込むのです。

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