車山肩を起点にした霧ヶ峰のウォーキングコースは、車山山頂や車山湿原、蝶々深山を巡る周回ルートが中心です。8月に歩く場合、ニッコウキスゲの見頃は例年のピークを過ぎていますが、代わりにマツムシソウやヤナギランが見頃を迎え、標高1800m前後の涼しい高原を歩けます。長野県諏訪市と茅野市の境に広がる霧ヶ峰は、ビーナスラインからのアクセスが良く、無料駐車場も広いことから、初心者からベテランまで幅広い層に親しまれているフィールドです。この記事では、車山肩発のウォーキングコースを軸に、8月ならではの花の状況やコースタイム、アクセス、服装まで、実際に歩く前に知っておきたい情報をまとめます。

車山肩の無料駐車場は約140台、霧ヶ峰ハイキングの起点
車山肩は、車山(標高1925m)の南西側にあたる尾根のくびれ部分で、標高はおよそ1800m前後です。ビーナスラインの中間地点に位置し、周辺には広大な草原が広がるため、遮るものがない360度の展望を楽しめます。
この一帯は日本を代表するニッコウキスゲの群生地としても知られ、車山湿原や蝶々深山など初心者でも歩きやすいスポットが集まっているため、霧ヶ峰ハイキングの起点として案内されることが多い場所です。車山肩には「ころぼっくるひゅって」という山小屋があり、無雪期はカフェとして営業しています。標高1820m付近のオープンテラスから高原を一望でき、湧き水をサイフォンで淹れるコーヒーや、名物のボルシチ、軽食のケーキが楽しめます。営業期間はおおむね4月下旬から11月末、営業時間は8時から16時30分頃までとされ、ウォーキング前後の休憩地点として利用されています。
車山肩へは諏訪ICから国道152号経由で21km
車山肩へのアクセスは車が基本です。中央自動車道の諏訪ICから国道20号、国道152号を経由してビーナスラインに入り、白樺湖の北側から霧ヶ峰方面へ進むルートで、諏訪ICから車山肩までおよそ21kmです。ビーナスラインの始点交差点は、諏訪ICから車でおよそ10分の距離にあります。
車山肩の駐車場は無料で、収容台数は約140台です。ニッコウキスゲのシーズンや夏休み期間の週末は混雑しやすいため、早めの時間帯に到着するのがおすすめです。少し離れた「霧ヶ峰インターチェンジ」周辺にも無料駐車場があり、普通車200台程度が収容可能とされていますが、満車の場合は車山肩の駐車場まで道なりに歩いておよそ1時間かかるため、基本は車山肩の駐車場を目指したほうが効率的です。公共交通機関では、上諏訪駅や茅野駅からバス便を利用する方法もありますが、便数が限られるシーズンもあるため、事前に運行状況を確認しておくと安心です。
8月のニッコウキスゲは例年ピークの7月中旬を過ぎている
車山肩を目的地に選ぶ理由として最も多いのがニッコウキスゲです。橙色の花が高原一面を彩る景色は、霧ヶ峰を象徴する夏の風物詩として知られています。ここで先に伝えておきたいのは、ニッコウキスゲの見頃のピークは例年7月中旬にあたるという点です。霧ヶ峰・車山高原のニッコウキスゲは例年7月上旬から咲き始め、7月中旬に最も濃密な橙色の絨毯となる最盛期を迎える傾向があります。8月に車山肩を訪れる場合、ニッコウキスゲの見頃としてはピークを過ぎている可能性が高いという前提で計画を立てておく必要があります。
とはいえ、8月の霧ヶ峰・車山高原がハイキングに向かないわけではありません。標高1500〜1925m前後の高原地帯にあるため、平地に比べて涼しく、真夏でも快適に歩けるフィールドです。ニッコウキスゲが咲き終わったあとの車山肩・霧ヶ峰では、季節が進むにつれて別の高山植物が主役になっていきます。
ピークを過ぎた8月はマツムシソウとヤナギランが主役
7月下旬から8月にかけての霧ヶ峰では、ニッコウキスゲに代わってマツムシソウとヤナギランが見頃を迎えます。ニッコウキスゲのピークを逃したとしても、この時期ならではの花めぐりを楽しめるのが霧ヶ峰の魅力です。花の状況は年によって前後するため、訪問前には霧ヶ峰自然保護センターの公式情報や現地の開花情報サイトで最新の状況を確認しておくと安心です。
マツムシソウは薄紫、車山肩から車山山頂の道沿いに咲く
マツムシソウは薄紫色の花を咲かせる高原を代表する花のひとつで、7月下旬頃から咲き始めます。車山肩から車山山頂へと続くハイキングコース沿いや、湿原周辺で見ることができます。
ヤナギランは八島湿原やビジターセンター前庭で見頃
ヤナギランは、下から上へと順番に花を咲かせていく濃いピンク色の花です。八島湿原や、霧ヶ峰自然保護センターの前庭、車山肩付近のS字カーブ周辺などで見られます。このほかにもチダケサシなど夏の高原を彩る植物が点在しています。
車山肩発の定番コースは車山山頂を周回する1時間20分ルート
車山肩を起点にしたコースにはいくつかバリエーションがあります。もっとも手軽に霧ヶ峰の展望を楽しめる定番コースが、車山肩から車山山頂、車山乗越を経て車山肩に戻る周回ルートで、所要時間の目安は約1時間20分です。
車山肩から車山山頂までは、なだらかな斜面をおよそ40分ほど登ります。道中は視界を遮るものがほとんどなく、歩きながら高原の展望を楽しめます。車山山頂は標高1925mで、霧ヶ峰エリアの最高地点にあたり、気象レーダー観測所が立っています。晴れていれば、八ヶ岳連峰、南アルプス、中央アルプス、北アルプスを一望でき、条件が良ければ富士山の姿を望めることもあります。山頂から車山乗越までは下りでおよそ20分、車山乗越から車山肩へ戻る道のりもおよそ20分ほどで、全体としては1時間20分程度で周回できる、初心者にも歩きやすいコースです。
車山湿原と蝶々深山を巡ると2時間30分〜3時間
もう少し足を延ばしたい場合は、車山肩から車山湿原へ向かい、木道が整備された湿原を抜けたあと、登り返して蝶々深山を目指すコースがあります。所要時間の目安は約2時間30分から3時間です。
車山湿原は、国の天然記念物に指定される湿原のひとつで、標高およそ1925m付近に位置する霧ヶ峰でも高い場所にある湿原です。規模自体はそれほど大きくありませんが、およそ250種ともいわれる植物が生育しているとされ、木道からゆっくり観察しながら歩けます。蝶々深山は、広々とした山頂から北アルプスのほか、浅間山や妙高方面の山々も望めるビュースポットです。そこからさらに物見岩方面へ下っていくと、あたりは広大な草原に変わり、大きな岩が特徴の物見岩を過ぎたところで、眼下に八島ヶ原湿原を望めます。時間と体力に余裕がある場合は、八島湿原まで足を延ばすロングコースを組む人も多いようです。
なお、車山山頂から車山乗越を経由するルートを加えるとプラス45分程度、さらに乗越を経由して蝶々深山まで往復するとプラス1時間30分程度が目安で、当日の体力や時間に応じてコースの長さを柔軟に調整しやすいのもこのエリアの利点です。花の観察や写真撮影の時間を含めるともう少し余裕を見ておくと安心です。
富士見台・忘れ路の丘にも立ち寄れる
車山肩から鷲ヶ峰方面へ向かう散策路の途中には、富士見台や忘れ路の丘といった小さな展望ポイントが点在しています。いずれも大きく寄り道をしなくても立ち寄れる場所が多く、車山山頂や蝶々深山とはまた違った角度から高原の景色を楽しめます。案内図には旧御射山神社や鷲ヶ峰、男女倉山(ゼブラ山)、物見岩なども記載されており、時間や体力に応じてこれらのポイントを組み合わせながら、自分だけの散策プランを組み立てられるのも車山肩エリアの魅力です。
車山展望リフトなら山頂まで15分
体力に自信がない場合や、時間を効率よく使いたい場合には、車山高原側からのリフトを利用する方法もあります。車山展望リフトは、車山山頂まで2本の4人乗りリフトを乗り継いでおよそ15分で到着でき、山頂の絶景だけを手軽に楽しみたい場合や、車山肩から山頂まで登ったあとに車山高原側へ下る片道コースを組む際にも活用されています。
車山湿原は国天然記念物、250種の植物が茂る木道歩き
車山湿原は木道が整備されているため、比較的歩きやすく、湿原ならではの植物観察がしやすいのが特徴です。標高が高い分、平地の湿原とは異なる高山性の植物が見られる点も魅力のひとつです。蝶々深山からの眺めは、車山山頂とはまた違った角度からの展望が楽しめます。北アルプスの稜線や、浅間山・妙高方面の山並みまで見渡せることがあり、車山山頂よりも人が少なく、静かに景色を楽しみたい場合にもおすすめの立ち寄りスポットです。
8月の気温は22〜24度、朝晩は長袖が必要
霧ヶ峰高原は標高がおよそ1500〜1925m程度あるため、平地に比べると夏でも過ごしやすい気候です。8月の最高気温の平均はおよそ22〜24度前後、最低気温の平均は15度前後とされ、日中は半袖でも過ごせる一方、朝晩や風の強い日は肌寒く感じることがあります。半袖に加えて長袖のシャツや薄手のウインドブレーカーなど、脱ぎ着しやすい服装を用意しておくのがおすすめです。
霧ヶ峰高原は見晴らしが良い分、日陰がほとんどないため、直射日光が強く当たります。帽子を着用し、こまめな水分補給を心がけることが大切です。霧ヶ峰では朝晩を中心に霧が発生しやすいという特徴もあるため、展望を目的に訪れる場合は、視界の良い午前中の早い時間帯を狙って行動するのがおすすめです。風が強い日は体感温度が下がるため、レインウェアや折りたたみ傘を携帯しておくと安心です。足元については、木道や整備された遊歩道が中心とはいえ、起伏のある草原地帯を歩くコースもあるため、歩きやすいトレッキングシューズやスニーカーを用意しておくと快適に歩けます。
車山肩の休憩はころぼっくるひゅってと霧の駅
車山肩には、先述のころぼっくるひゅってのほか、周辺には霧の駅などの施設もあり、軽食や土産物を購入できます。長時間のウォーキングの合間に立ち寄って休憩を取ることで、無理のないペース配分がしやすくなります。車山高原側には車山高原SKYPARK RESORTなどの施設もあり、リフト利用や周辺のアクティビティ情報を確認できます。ハイキング前に最新の営業状況やコース情報を確認しておくと、当日の計画が立てやすくなります。
霧ヶ峰自然保護センターは7月8月無休で開館
車山肩から少し足を延ばした場所には、霧ヶ峰自然保護センター(ビジターセンター)があります。八ヶ岳中信高原国定公園の霧ヶ峰地区にある長野県立の施設で、霧ヶ峰で見られる動植物や地質、歴史などを実物展示や写真パネルで紹介しています。2022年4月にリニューアルオープンし、展望テラスや眺望デッキが新設されたほか、館内には大型映像モニターも設置され、展示内容が一新されました。
開館期間は4月15日から11月15日で、水曜日が休館日とされていますが、7月と8月は無休で営業しています。ハイキングの前後に立ち寄れば、その日見かけた花や生き物について詳しく知ることができ、開花状況などの最新情報を確認できるのも便利なポイントです。訪問前には最新の営業日・開館時間を公式サイトで確認しておくと安心です。
白樺湖や蓼科湖など周辺エリアも周遊できる
車山肩・霧ヶ峰だけでなく、周辺の白樺湖や蓼科エリアとあわせて巡るのもおすすめです。車山高原には車山展望テラスという景観スポットもあり、八ヶ岳、富士山、南アルプスなどを一望できるほか、テラスの先端に立つと空に浮かぶような感覚を味わえるとされています。
車で少し足を延ばせば、標高1250mに位置する蓼科湖があり、湖周には遊歩道が整備されているため、のんびりとした散策が楽しめます。原生林の中にある蓼科大滝は、高さ25m、幅10mの迫力ある滝で、滝までの遊歩道は苔むした原生林の中を歩く癒やしのスポットとして知られています。白樺湖ではカヤックなどの水上アクティビティも楽しめ、車山肩でのウォーキングと組み合わせて、1日、あるいは1泊2日の旅程を組むハイカーも多いようです。いずれのスポットも、車山肩・霧ヶ峰からビーナスラインを使って比較的スムーズに移動できるため、ハイキングだけでなくドライブや観光も含めた周遊プランを立てやすいのがこのエリアの魅力です。
御射鹿池と尖石縄文考古館で文化的な立ち寄りも
茅野市方面へ下る道すがらには、御射鹿池(みしゃかいけ)という標高1500m前後にある池もあります。周囲の山々が静かな水面に映り込む幻想的な景観で知られ、日本画家・東山魁夷の作品「緑響く」のモチーフになった場所としても有名です。見頃は新緑が美しい5月から6月頃とされていますが、車山肩からのアクセスルート上にあるため、立ち寄りやすい観光スポットのひとつです。
茅野駅方面には尖石縄文考古館という博物館もあります。国宝に指定されている土偶「縄文のビーナス」や「仮面の女神」を含む、2000点以上の縄文時代の遺物が展示されており、JR茅野駅からはアルピコ交通のバス(メルヘン街道線・奥蓼科渋の湯線など)でおよそ20分程度でアクセスできるとされています。高原歩きだけでなく、こうした文化施設もあわせて訪れることで、旅の内容に厚みを持たせることができます。
混雑を避けるなら午前中の早い時間帯が有利
ニッコウキスゲのピークシーズンにあたる7月は特に混雑しやすい時期ですが、8月であっても夏休み期間中の週末や、天候の良い日はハイカーや観光客で駐車場が混み合うことがあります。車山肩の駐車場は約140台分とはいえ、人気の高いエリアであるため、余裕を持って午前中の早い時間帯に到着することをおすすめします。朝の時間帯は空気が澄んでいて遠くの山々まで見渡しやすい一方、日中になるにつれて雲がわきやすくなる傾向があるため、展望を重視する場合は早めの行動が有利です。
ニッコウキスゲが柵の中にしかない理由はニホンジカの食害
車山肩を訪れると、ニッコウキスゲの群生地の周囲に柵が設置されていることに気づきます。これは景観のためではなく、ニホンジカによる食害からニッコウキスゲをはじめとする植物を守るための電気柵です。霧ヶ峰では現在、車山肩、富士見台、八島ヶ原湿原、自然保護センター周辺の園地などに、こうした柵が設置されています。
かつては車山山頂や蝶々深山、自然保護センター周辺にもニッコウキスゲの群生が広がり、高原一帯が橙色に染まるほどだったといわれています。しかし近年はシカの食害が深刻化し、柵で囲われていないエリアでは花茎だけが残る、食べ尽くされた状態になってしまうケースも報告されています。夜になると柵の周囲に何十頭ものシカの群れが現れることもあるとされ、地権者や行政による電気柵の設置・点検が毎年欠かせない作業になっています。今私たちが車山肩で目にしているニッコウキスゲの群生は、地道な保護活動によって守られてきた景観です。柵の中を歩くことはできませんが、遊歩道や木道からその様子をじっくり観察できます。
車山肩・霧ヶ峰は9月にススキ、10月に草紅葉へ移る
車山肩・霧ヶ峰は一年を通じて表情を変える高原です。6月中旬頃にはレンゲツツジが咲き、7月中旬にはニッコウキスゲが最盛期を迎えます。8月にはヤナギランやマツムシソウが見頃を迎え、9月中旬頃になるとススキが穂を揺らし始め、9月下旬から10月中旬にかけては草紅葉のシーズンへと移り変わっていきます。冬になると一面が雪に覆われ、スノートレッキングやスキーなど、雪山ならではの楽しみ方ができるフィールドに変わります。
8月にニッコウキスゲのピークを逃してしまったとしても、次はヤナギランやマツムシソウ、その後はススキや草紅葉と、季節を変えて何度も訪れたくなる場所だといえます。早朝に訪れれば、幻想的な雲海に出会えることもあり、時間帯や季節を変えて何度も足を運ぶハイカーが多いのも、この高原の懐の深さを物語ります。
霧ヶ峰の草原は縄文時代から続く半自然草原
霧ヶ峰は長野県のほぼ中央部に位置する溶岩台地で、車山、殿城山、蝶々深山、大笹峰、男女倉山、鷲ヶ峰など、なだらかな起伏を持つ複数のピークからなる高原地帯です。その中でも最高峰にあたるのが標高1925mの車山で、山域の大半を草原が占めているのが大きな特徴です。
この草原は自然にできたものではなく、人の手が長い年月をかけて維持してきた半自然草原であることが分かっています。研究によると、霧ヶ峰の草原の土壌の生成が始まった時期は縄文時代までさかのぼるとされ、近世以降は牛馬の秣(まぐさ)や田畑の肥料を得るための採草地として計画的に利用されてきた歴史があります。現在の見晴らしの良い草原の風景は、こうした長い人と自然の関わりの積み重ねの上に成り立っています。
霧ヶ峰は上昇気流が発生しやすい地形であることから、日本におけるグライダー発祥の地としても知られています。かつては車山周辺でグライダーの飛行が盛んに行われており、その歴史を伝える資料も残されています。現在ハイキングコースとして歩いている稜線や草原の一部は、こうした歴史の舞台でもあったわけです。
三大湿原には400種以上の亜高山植物が生育
車山湿原・八島ヶ原湿原・踊場湿原(池のくるみ)の3つは、あわせて霧ヶ峰三大湿原と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。標高1600〜1900m前後という高い場所にありながら湿原が形成されているのは全国的にも珍しく、年間を通じて400種類以上ともいわれる亜高山植物を観察できる、生物多様性の宝庫として知られています。
車山肩から歩いてすぐの車山湿原はこの三大湿原の中でも規模は小さいものの、山頂近くという特異な立地に加え、木道が整備されているため気軽に立ち寄れるのが魅力です。時間に余裕があれば、車山肩から少し足を延ばして鷲ヶ峰方面や八島ヶ原湿原を目指すコースを選ぶハイカーも多く、季節や体力に応じてコースの長さを調整しやすいのも霧ヶ峰の魅力のひとつです。
旧御射山神社は諏訪信仰にゆかりの深い史跡
霧ヶ峰高原の一角には、旧御射山(もとみさやま)と呼ばれる史跡があります。ここはもともと諏訪大社下社に関わる神社があった場所とされ、江戸時代に現在の場所へ遷座したと伝えられています。すり鉢状の地形には現在も観覧席のような跡が残っており、かつて武士たちが集い、狩猟や競技を神事として行っていたとも言われる、諏訪信仰にゆかりの深い史跡です。
車山肩から直接立ち寄るにはやや距離がありますが、八島ヶ原湿原方面へ足を延ばすロングコースを計画する場合には、あわせて訪れてみるのもおすすめです。高原の景色だけでなく、こうした歴史的な背景を知ったうえで歩くと、霧ヶ峰の見え方がまた違ったものになります。
早朝の雲海と夜の星空も車山肩の魅力
車山肩・霧ヶ峰のもうひとつの魅力は、早朝や夜の景色です。標高1700m前後にある富士見台展望台は、見晴らしが良く車でのアクセスも容易なため、星空観察や撮影スポットとして知られています。霧が雲海となって足元に広がったタイミングで朝焼けや星空に出会えると、非常に印象的な光景になるとされています。
車山山頂は霧ヶ峰の主峰として360度のパノラマビューが楽しめる場所で、条件が整えば雲海を眺めることもできます。グリーンシーズンの限定日には、早朝から営業する雲海リフトで日の出を狙って山頂を目指せる企画が用意されていることもあり、夏には星空観察ツアーが開催されることもあります。ビーナスライン沿いの車山高原は信州でも屈指の星空スポットとされ、新月の夜には天の川まで見えることがあるといわれています。日中のウォーキングだけでなく、宿泊を絡めて早朝や夜の時間帯に高原を訪れると、昼間とはまったく違う車山肩・霧ヶ峰の表情に出会えます。ツアーやリフトの運行日は年によって異なるため、狙って訪れたい場合は事前に最新情報を確認しておくのがおすすめです。
ハイキング前に確認したい天候急変と雷のリスク
車山肩・霧ヶ峰は初心者でも歩きやすいコースが多いエリアですが、標高1500〜1900m程度の山岳地帯であることに変わりはなく、天候が変わりやすい点には注意が必要です。特に夏場は、晴れていても急に雨雲が広がり、短時間でずぶ濡れになってしまうことがあります。傘は風に弱く高原では使いにくいため、上下が分かれたレインウェア(カッパ)を必ず携帯してください。
霧ヶ峰は年間を通じて霧の発生日数が多い場所としても知られ、特に朝晩は視界が悪くなりやすい傾向があります。山中で雷が近づいてきた場合は、無理をせず早めに開けた稜線から離れて避難することが大切です。コース自体は広大な草原地帯を通るため、分岐には案内看板が設置されているものの、道を誤ると引き返すのに時間がかかることもあります。スマートフォンの地図アプリやGPS機能を活用しながら歩くと、道迷いのリスクを減らせます。底のしっかりしたトレッキングシューズ、雨具、防寒着、飲料水、日焼け対策グッズを準備したうえで、余裕を持ったスケジュールで出発してください。
車山肩を起点にした霧ヶ峰のウォーキングコースは、標高1800m前後の高原ならではの爽快な展望と、季節ごとに移り変わる高山植物が魅力のエリアです。ニッコウキスゲの見頃のピークは例年7月中旬であるため、8月に訪れる場合はピークを過ぎている可能性が高い点を踏まえたうえで、マツムシソウやヤナギランなど8月ならではの花々を楽しむ計画にするのがおすすめです。車山肩から車山山頂を経由する定番の周回コースはおよそ1時間20分程度で歩ける手軽さがあり、車山湿原や蝶々深山まで足を延ばすロングコースでも2時間30分から3時間程度と、体力や時間に合わせてコースを選べる自由度の高さも魅力のひとつです。標高が高いため平地よりは涼しいとはいえ、直射日光の強さや朝晩の冷え込み、霧の発生など、高原ならではの気象条件には注意が必要です。服装や持ち物をしっかり準備したうえで、余裕を持った計画で霧ヶ峰の夏の高原歩きを楽しんでください。









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