西國街道 瀬戸内ロングウォーキングとは、世界遺産・姫路城から日本三名園のひとつである岡山後楽園までの約100kmを歩く長距離ウォーキングイベントです。正式名称は「西國街道と夕暮れの瀬戸内海ロングウォーキング」で、主催のCHYLIM(チャイリム)が企画・運営を手がけています。初心者にとっても、段階的なトレーニングと適切な装備の準備を行えば完歩は十分に可能な大会です。
コースは江戸時代の歴史ある西國街道をたどりながら、途中で瀬戸内海沿いのルートを歩くことで、穏やかな海の景色と夕暮れの絶景を楽しめる構成となっています。第1回大会は2025年7月12日から9月25日にかけて開催されました。第2回大会は2026年7月初旬に開催が予定されており、夏至に近い時期の長い日照時間を活かして、瀬戸内海に沈む夕日をより長く堪能できます。この記事では、コースの全容から初心者向けのトレーニング法、装備選び、マメ対策、暑さ対策まで、大会参加に必要な情報を網羅的にお伝えします。

西國街道とは|歴史ある街道の概要とロングウォーキングの魅力
西國街道(西国街道)とは、江戸時代における主要な街道のひとつで、近世山陽道の別名です。京都から下関、あるいは九州の太宰府までの経路をたどり、律令時代に大路として整備された古代の「山陽道」とほぼ同じルートを歩くことになります。
古代の山陽道は、都と大宰府を結ぶ最も重要な幹線道路であり、大陸文化が日本に流入する道でもありました。江戸時代に入ると、幕府が五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)の整備に重点を置いたため、山陽道は脇往還(脇街道)に位置づけられました。しかし、西国大名の参勤交代路として、また長崎と江戸を結ぶルートとして、依然として重要な街道であり続けました。
旧山陽道(西国街道)は、西宮から赤間関(現在の山口県下関市)まで全長約550kmに及ぶ長距離街道です。街道沿いには46の宿場町と5つの間の宿が設けられていました。京都から西宮までの区間は「山崎通」とも呼ばれ、全長約47kmで、ほぼ現在の国道171号に相当します。
西国街道にまつわる最も有名な歴史的エピソードは、天正10年(1582年)の羽柴(豊臣)秀吉による「中国大返し」です。本能寺の変の報を受けた秀吉軍は、備中高松城(現在の岡山市)からこの街道を猛スピードで駆け抜け、わずか数日で京都近郊に到達しました。山崎・天王山で明智光秀と激突した山崎の戦いは、日本史のターニングポイントとなった出来事です。このように深い歴史を持つ西國街道を実際に歩けるのが、瀬戸内ロングウォーキングの大きな魅力となっています。
姫路から岡山にかけての宿場町
今回のウォーキングイベントのコースとなる姫路から岡山にかけての区間には、歴史ある宿場町が点在していました。姫路宿は姫路城の城下町として栄え、西国街道の旅人が最初に目にした姫路城は「西側からの姿」であったと伝えられています。正條宿は現在の兵庫県たつの市に位置し、有年宿(うねしゅく)は現在の兵庫県赤穂市にある赤穂浪士ゆかりの地域に所在しています。
岡山県に入ると、三石宿(みついししゅく)は備前市にある兵庫県との県境に近い宿場で、片上宿(かたかみしゅく)は備前市の中心部に位置する備前焼の産地に近い宿場です。藤井宿(ふじいしゅく)は吉井川沿いに位置し、岡山宿は岡山城の城下町として栄えた後楽園が隣接する宿場でした。これらの宿場町は、参勤交代の大名行列や旅人たちの休息地として機能し、街道文化の中心的な存在でした。
大会の概要と主催団体CHYLIMについて
「西國街道と夕暮れの瀬戸内海ロングウォーキング」を主催するCHYLIMは、「Challenge Your Limy」の略で、「限界に挑戦する」という意味を持つ団体です。若さを保ち充実した生活を送るためのサービスとして、主にウォーキングとアクティブイベントを提供しています。
CHYLIMの特徴は、一般的なウォーキングイベントとは異なり、50kmから100km以上を歩く長距離ウォーキングイベントを企画・運営している点です。参加者が自分に合ったイベントを選べるよう、「チャレンジ」「街道・古道」「地方探索」「都市回遊」「ナイト」「ミドル」の6つのカテゴリーに分けてイベントを展開しています。代表的なイベントとしては、「ぐるっと東京湾ウォーキング」「福井ザウルスウォーキング」「寄り道して箱根越えウォーキング」「サンセット・サンライズウォーキング in 三浦」などがあり、大きな達成感を得られることが共通の魅力です。
大会の開催情報
第1回大会は2025年7月12日から9月25日にかけて開催されました。第2回大会は2026年7月初旬に開催が予定されています。コースの全長は約100kmで、世界遺産の姫路城をスタートし、日本三名園のひとつである岡山後楽園近くの岡山城をゴールとします。参加者の年齢層は非常に幅広く、10歳から80代までの方が挑戦しています。
瀬戸内ロングウォーキングのコース詳細と初心者が知っておきたい難易度
コースの全体像として、スタート地点は姫路城です。ここから西國街道をたどって東へ向かい、姫路から相生(あいおい)までは旧街道に沿って歩きます。
相生から備前(日生・ひなせ方面)にかけては、西國街道を離れて瀬戸内海沿いのルートを歩きます。この区間が本大会の最大の魅力のひとつで、穏やかな瀬戸内海の景色を眺めながら歩くことができます。第2回大会は7月初旬の開催であるため日没が遅く、夕暮れ時の瀬戸内海の美しい景色をより長く楽しめる点も大きな特徴です。
備前片上からは再び西國街道に合流し、備前焼の窯元が並ぶ伊部地区や吉井川沿いの道を通ります。藤井宿付近から岡山市内に入り、ゴールの岡山城・後楽園を目指します。
コースの難易度について
初心者が最も気になる難易度についてですが、このコースは平坦な道だけではなく、相当な高低差がある区間が含まれています。累積の上り下りによる疲労は大きく、制限時間内での完歩はかなりチャレンジングです。初心者にとっては決して簡単なコースではありませんが、しっかりとした事前準備とトレーニングを行えば、完歩は十分に可能です。
コース沿いの見どころと観光スポット
西國街道 瀬戸内ロングウォーキングのコース沿いには、歴史的・文化的に価値の高い見どころが数多く点在しています。約100kmの道のりを歩きながら、世界遺産の城郭から瀬戸内海の絶景、伝統工芸の里まで、さまざまな魅力を堪能できます。
スタート地点・姫路城の見どころ
姫路城は1993年にユネスコ世界文化遺産に登録された、日本を代表する城郭建築です。青空に映えるその白い姿は、水面から飛び立つ白鷺に例えられ、「白鷺城(しらさぎじょう)」の別名で親しまれています。大天守は地上6階・地下1階の構造で、現存する天守の中でも最大級の規模を誇ります。城内には武具掛けや石落とし、狭間(さま)といった防御設備が残されており、戦国時代の築城技術を間近で見ることができます。
西国街道から見た姫路城は、かつて旅人たちが最初に目にした西側からの眺めであり、現代の正面(南側)からの眺めとはまた違った趣があります。ウォーキングのスタート前に、この歴史的な視点から姫路城を眺めてみるのもおすすめです。
相生と日生の瀬戸内海沿いの景色
兵庫県相生市は瀬戸内海に面した港町で、龍山公園の展望広場からは瀬戸内海と家島諸島を一望できます。海沿いの道を歩くと穏やかな瀬戸内海の景色が広がり、天候や季節によってさまざまな表情を見せてくれます。
岡山県備前市の日生は、瀬戸内海に面した漁港の町です。「みなとの見える丘公園」は楯越山の頂上付近にあり、備前日生大橋や鹿久居島、日生の風景を一望できるビュースポットとして知られています。日生はB級グルメのカキオコ(牡蠣入りお好み焼き)の発祥地としても有名で、冬季には多くの観光客がカキオコ目当てに訪れます。ウォーキングの途中で立ち寄れば、地元の味覚を楽しむこともできます。
備前焼の里・伊部の文化と魅力
備前市伊部は、日本六古窯のひとつに数えられる備前焼の産地として1000年以上の歴史を持つ町です。町を歩くと備前焼の窯元やギャラリーが点在し、登り窯の煙突が歴史の趣を感じさせます。伊部駅周辺には備前焼伝統産業会館があり、土日祝日には備前焼作家の指導を受けながら作陶体験ができます(要予約)。備前焼で作られた案内板やレンガ造りの赤い煙突など、町全体が焼き物の文化に包まれている独特の雰囲気を楽しめます。
備前市から岡山市に向かう区間では、吉井川沿いの道を歩きます。吉井川は岡山県を代表する河川のひとつで、川沿いの田園風景や自然の中を歩く区間は、街道歩きの醍醐味を味わえるポイントです。
ゴール地点・岡山城と後楽園
ゴール地点の岡山城は、黒い外観から「烏城(うじょう)」とも呼ばれ、姫路城の白とは対照的な美しさを持っています。城内ではお殿様・お姫様の着付体験や、お城茶屋で季節のフルーツを使ったパフェを楽しむこともできます。
岡山後楽園は、金沢の兼六園、水戸の偕楽園と並ぶ「日本三名園」のひとつで、国の特別名勝に指定されています。園内の散策路は中央の「沢の池」をぐるりと取り囲むように設けられており、沢の池から唯心山越しに岡山城を望む風景は、後楽園内屈指の絶景です。後楽園と岡山城の見学には、移動込みで2時間ほどを確保するとよいでしょう。100kmの長い道のりを歩き終えた後にこの美しい庭園でゴールの達成感を味わうのは、他のウォーキングイベントにはない格別な体験となります。
初心者が100kmウォーキングを完歩するためのトレーニング方法
100kmウォーキングは、特別な技術や超人的な体力がなくても完歩できるイベントです。100kmという距離は、東京駅から熱海、大阪から伊勢神宮、熊本市から福岡市ほどの距離に相当します。一見すると途方もない距離に思えますが、自分に合った歩き方を見つけ、必要な装備を揃え、段階的に準備すれば多くの人が完歩できます。
初心者向けの段階的トレーニング計画
いきなり100kmに挑戦するのは無謀です。まずは第1段階として、10分から20分でもいいので毎日歩くことから始めます。普段あまり歩かない方は1kmから2km、運動習慣がある方は5kmからスタートするとよいでしょう。第2段階では1時間の連続歩行を目指し、自分に合ったペースを見つけることが大切です。
第3段階では3時間以上の連続歩行に挑戦します。この頃には足の状態や体力の限界が少しずつわかってきます。第4段階では30km程度の長距離歩行を経験し、2回目、3回目と繰り返すことで身体を慣らしていきます。第5段階として、可能であれば一日に50kmを歩く経験を積んでおくと、身体の慣れは相当なレベルに達します。
練習のペースとしては、週に1回ではなく2日から3日に1回の頻度で継続することが大切です。ただし毎日歩き続けるのではなく、週に1日から2日は休息日を設けることも重要です。大会の2週間前くらいまでには、最低1回から2回は20km以上のウォーキングを経験しておくことが望ましいでしょう。
ペース管理と休憩の取り方のコツ
100kmウォーキングの完歩者の平均所要時間は20時間から22時間程度で、1kmあたり12分から13分くらいが目安です。時速にすると約4.5kmから5kmのペースになります。大切なのは、調子が良いときでもペースを上げすぎないことです。序盤で飛ばすと後半に脚が動かなくなることが多いため、一定のペースを保ち続けることが完歩の鍵となります。
休憩については、調子が良くても定期的に取ることが重要です。1時間から2時間に1回のペースで休憩を入れ、休憩時間は10分から15分以内に収めるのが理想的です。休憩が長すぎると筋肉が冷えて再び歩き始めるときに身体が重くなり、逆に休憩を取らずに歩き続けると疲労が蓄積して後半に大きなダメージとなります。
夜間ウォーキングへの備えと栄養補給
100kmウォークでは必ず夜間の歩行があり、その時間は10時間程度に及ぶこともあります。暗闇の中での歩行は昼間とは感覚が異なるため、事前にヘッドライトを装着して暗い中でウォーキング練習を行い、歩行感覚を確かめておくことをおすすめします。
栄養補給については、長距離ウォーキング中のエネルギー補給が完歩の成否を左右する重要な要素です。経験豊富なウォーカーたちの間では「コーラが鉄板」と言われており、糖分とカフェインを同時に摂取でき、エネルギー補給に適しています。そのほか、エネルギージェルやおにぎり、バナナなど消化の良い食べ物をこまめに摂取することが大切で、空腹を感じる前に少しずつ食べるのがコツです。
100kmウォーキングに必要な装備と持ち物の選び方
長距離ウォーキングを安全に完歩するためには、適切な装備の準備が欠かせません。特にシューズの選び方は完歩を左右する最重要ポイントです。
シューズと靴下の正しい選び方
100kmウォーキングにおいて、シューズは最も重要な装備です。初心者には、高いクッション性と安定性を備えたランニングシューズが適しています。選ぶ際のポイントとして、つま先に余裕があることが重要です。長距離を歩くと足がむくんで大きくなるため、普段より0.5cmから1cm大きめのサイズを選ぶとよいでしょう。また必ず新品ではなく、事前に何度か履いて足に馴染ませたシューズを使用してください。新品のシューズで100kmを歩くと、靴擦れやマメの原因になります。
靴紐の結び方にも工夫が必要です。地面に腰を下ろし、膝とかかとを90度に曲げてシューズを履きます。甲の部分はあまりきつく締めず、足の動きで靴紐の張力が分散されるようにすると、一部だけ紐がきつくなる状態を避けられます。
靴下はシューズと並んで重要な装備で、2足以上を用意し途中で履き替えることが推奨されます。同じ靴下を長時間履き続けると中が蒸れてマメができやすくなるためです。素材は肌触りの良い化学繊維か純毛がよく、木綿は布地が荒く肌が擦れやすいため長距離ウォーキングには適しません。五本指靴下は指先が1本ずつ固定されるため、足指同士の摩擦を減らしてマメや靴擦れを防ぐことができ、100kmウォーカーの間でも愛用者が多いアイテムです。
リュックとその他の必須装備
持ち物を入れるリュックは、登山用のものが適しています。容量は20Lから30L程度で、重量は500g前後の軽いものが理想的です。背中にフィットするものを選び、ウエストベルトやチェストベルトがあるものだと長時間背負っていても肩への負担が軽減されます。
ヘッドライトは夜間歩行に必須の装備で、手がふさがらないヘッドバンド式がおすすめです。予備の電池も忘れずに持参しましょう。携帯電話は連絡手段として必須ですが、位置情報(GPS)を使うとバッテリーの消耗が早いため、モバイルバッテリーの携帯が重要です。サポートタイツは機能性のスポーツタイツを着用することで、股関節・臀部・大腿部・膝・ふくらはぎへのダメージや疲労を軽減できます。テーピングテープはマメの予防や応急処置に使え、伸縮性の高いものを軽く貼ることで皮膚を補強し摩擦を軽減できます。瀬戸内海沿いのコースであるため急な天候の変化に備えて軽量のレインウェアも持参してください。7月開催の場合は紫外線が強い時期であるため、日焼け止めも必須となります。
マメ(水ぶくれ)の予防と初心者が知っておきたい対策方法
マメは100kmウォーキングにおいて、初心者が最も悩まされるトラブルのひとつです。足裏のマメは実は火傷(やけど)の一種で、靴の中で足の皮膚と靴の素材との間で摩擦が起こり熱を持つことで発生します。その熱を抑えようと体内の水分が集まり、水ぶくれ(マメ)となるメカニズムです。マメができる主な原因は、靴のサイズが合っていないために靴の中で足が遊んでしまうこと、靴下にシワができていること、靴や靴下が蒸れて湿気がこもっていること、そして長時間の歩行による継続的な摩擦です。
マメを予防するための具体的な方法
テーピングによる予防が効果的です。マメができやすい部位(足指の付け根、かかと、足裏の母指球など)に事前にテーピングを貼っておきます。伸縮性の高いテープを使い、シワにならないよう丁寧に貼ることがポイントです。
足裏をドライに保つことも重要な予防策です。足裏の水分がマメ発生の大きな要因であるため、汗をかいたら靴下を履き替え、足を拭くことで予防できます。ワセリンを足裏や指の間に塗ることで摩擦を軽減する方法も効果的です。中間地点などで靴下を新しいものに履き替えることで、蒸れによるマメのリスクを大幅に減らせます。
マメができてしまった場合は、無理に潰さないことが基本です。マメの上からテーピングで保護し、摩擦を軽減してそのまま歩き続けることが多いです。痛みが強い場合は消毒した針で水を抜き、消毒後にテーピングで保護する方法もありますが、感染のリスクがあるため、可能であればエイドステーションや医療スタッフに相談することが望ましいでしょう。
初心者が陥りやすい失敗とその対策
100kmウォーキングに初めて挑戦する方が陥りやすい失敗にはいくつかの共通パターンがあります。事前に把握しておくことで、完歩の可能性を大きく高めることができます。
最も多い失敗は練習不足です。「歩くだけだから大丈夫」と思って本番に臨むと、30km地点あたりから足の痛みや疲労に襲われ、リタイアにつながることが多いです。前述の段階的なトレーニングを必ず実施してください。
新品の靴やウェアで参加することも致命的な失敗です。新品のシューズやウェアは本番前に何度か使って身体に馴染ませておくことが鉄則であり、新品のシューズで100km歩くとほぼ確実に靴擦れやマメに悩まされます。
序盤のペースが速すぎるという失敗もよく見られます。元気な序盤に飛ばしすぎると、50km以降で脚が動かなくなります。最初から最後まで一定のペースを維持することが、完歩の最大の秘訣です。
水分・栄養補給の軽視は体調悪化に直結します。喉が渇いてから水を飲むのでは遅く、こまめな水分補給と栄養補給が不可欠です。脱水症状や低血糖に陥ると一気にペースが落ちてしまいます。
足のケアを怠ることも多い失敗です。途中で靴下を履き替えたり足を拭いたりするのは面倒に感じますが、この小さなケアが完歩を左右します。休憩ポイントでは必ず靴を脱いで足を確認し、異変があれば早めに対処することが大切です。
7月開催の暑さ対策と熱中症予防のポイント
第2回大会は2026年7月初旬に開催される予定です。夕暮れの瀬戸内海を楽しめるという魅力がある一方で、真夏の暑さの中を長時間歩くことになるため、熱中症対策は最も重要な安全管理項目となります。
水分補給と服装の基本
運動中は汗とともにナトリウム(塩分)も失われます。暑さが厳しいときは、0.1%から0.2%の食塩を含む補水液を飲むことが推奨されます。補水液は1リットルの水にティースプーン半分(約2g)の食塩を溶かして自作することもできます。歩き始める30分前にコップ1杯程度の水やお茶を飲み、ウォーキング中は15分に1回程度の間隔でこまめに水分を摂ることが大切です。喉が渇いたと感じたときにはすでに脱水が始まっている可能性があるため、渇きを感じる前に飲む習慣をつけましょう。
夏のウォーキングでは、吸湿性・通気性の良い素材のウェアを着用してください。色は白やパステルカラーなど明るい色を選び、直射日光を反射させます。帽子は必須で、首の後ろも覆えるタイプが理想的です。冷却タオルやネッククーラーなどの暑さ対策グッズも効果的で、日焼け止めは汗で流れやすいためこまめに塗り直すことを忘れないようにしましょう。
暑熱順化の重要性とリタイアの判断
急に暑い環境で長時間歩くことは身体にとって大きな負担となるため、大会の2週間から3週間前から暑い時間帯に軽い運動を行い、身体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」を行っておくことが重要です。最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくことで体温調節機能が向上し、熱中症のリスクを大幅に下げることができます。
めまい、頭痛、吐き気、大量の発汗、または逆に汗が止まるなどの症状が出た場合は、熱中症の可能性があります。このような症状を感じたら無理をせずすぐに日陰で休憩し、水分と塩分を補給してください。症状が改善しない場合は、ためらわずにリタイアする勇気を持つことが大切です。100kmウォーキングは命を懸けるものではなく、安全に楽しむことが最優先です。
大会参加に向けた初心者のスケジュール例
初心者が計画的に準備を進めるためのスケジュールの目安をお伝えします。
大会3か月前から日常的なウォーキングを開始し、まずは1日30分から1時間程度の歩行を習慣化します。週末には10km程度の長めのウォーキングに挑戦し、シューズやウェアの選定を始めて購入したらすぐに使い始めて身体に馴染ませます。
大会2か月前には、平日のウォーキング距離を徐々に伸ばし、1日5kmから10km程度を歩けるようにします。週末には20km以上の長距離歩行に挑戦し、自分のペースやマメのできやすい箇所を把握します。装備の最終選定を行い、本番で使うものを揃える時期です。
大会1か月前は、週末に30kmから50kmの長距離歩行を1回から2回経験します。夜間歩行の練習も取り入れてヘッドライトの使用感を確認し、栄養補給の方法や休憩のタイミングを実践で試します。
大会2週間前からはトレーニング量を徐々に減らし、身体を休める期間に入ります。ただし完全に歩くのをやめるのではなく、軽いウォーキングは継続してください。持ち物リストの最終確認を行い、忘れ物がないようにします。大会前日は早めに就寝して十分な睡眠をとり、食事は消化の良いものを選んで炭水化物を多めに摂取します。持ち物の最終チェックを行い、当日の天気予報を確認して服装を決定しましょう。
瀬戸内エリアで楽しめる他のウォーキングイベントとの比較
瀬戸内エリアには、西國街道ロングウォーキング以外にもさまざまなウォーキング・トレイルイベントがあります。それぞれのイベントに異なる魅力があるため、自分の経験レベルや興味に合わせて選ぶことができます。
広島湾岸トレイルは、広島湾岸の山と川と街をつなぐように歩くロングトレイルで、4市5町にまたがる陸路293.8kmの世界でも類を見ない都市隣接周回型トレイルです。47山60峰14峠18河川3瀬戸4島を越えて歩く壮大な山旅として知られています。コースは広島コース、宮島コース、瀬戸コース、エキミナミコース、エキキタコースの5つで構成されており、世界遺産の原爆ドームと厳島神社を含みます。初心者はガイドシステムを利用して自分のレベルに合ったセクションを選択することが推奨されています。
しまなみ海道ウルトラウォーキングは、瀬戸内海の島々を橋で渡りながら歩く人気の高いイベントです。本州(広島県尾道市)から四国(愛媛県今治市)までを結ぶ全長約70kmのコースで、瀬戸内海の絶景を楽しみながら歩けます。せとうちジャーニーウォークは、瀬戸内海沿岸を歩くイベントとして注目されており、瀬戸内の自然や文化を体感しながら自分のペースで歩く旅を楽しめます。
| イベント名 | 距離 | エリア | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 西國街道 瀬戸内ロングウォーキング | 約100km | 姫路〜岡山 | 歴史街道と瀬戸内海の夕景 |
| 広島湾岸トレイル | 293.8km(全コース) | 広島湾岸4市5町 | 都市隣接周回型トレイル |
| しまなみ海道ウルトラウォーキング | 約70km | 尾道〜今治 | 島々を橋で渡る海上ルート |
| せとうちジャーニーウォーク | — | 瀬戸内海沿岸 | 自分のペースで楽しむ旅 |
瀬戸内海の魅力と夕暮れの絶景についてよくある疑問
瀬戸内海は本州・四国・九州に囲まれた日本最大の内海であり、その穏やかな海面と大小約3000の島々が織りなす「多島美」は日本を代表する景観のひとつです。瀬戸内海の沿岸部の多くは瀬戸内海国立公園に指定されており、1934年に日本で最初に指定された国立公園のひとつとして、その景観の美しさは国際的にも高く評価されています。ウォーキングコースの相生・日生エリアもこの国立公園の一部に含まれており、歩きながら国立公園の自然美を体感できる贅沢なルートです。
大会名にも「夕暮れの瀬戸内海」と銘打たれている通り、このイベントの最大のハイライトは瀬戸内海に沈む夕日です。第2回大会が7月初旬に開催される理由のひとつは、夏至に近い時期で日没が遅く(19時過ぎ)、夕暮れの景色をより長く楽しめるからです。西に広がる瀬戸内海に太陽が沈んでいく光景は、100kmの疲れを一瞬忘れさせてくれるほどの美しさがあります。晴れの日には澄んだ青空と穏やかな海面が広がり、曇りの日には幻想的な霞の中に島々が浮かぶ風景を楽しめます。歩き疲れた身体にこの夕景がどれほどの力を与えてくれるか、それは実際に歩いた者だけが知る感動です。
西國街道と瀬戸内海のロングウォーキングは、歴史ある街道を歩き、瀬戸内海の絶景を楽しみ、100kmという距離を自分の足で踏破する充実感に満ちたイベントです。初心者にとっては確かにハードルの高い挑戦ではありますが、段階的なトレーニングと適切な装備準備を行えば完歩は決して不可能ではありません。大切なのは、無理をせず自分のペースで歩くこと、そして事前の準備を怠らないことです。姫路城から岡山城・後楽園まで、江戸時代の旅人と同じ道を歩く体験と、瀬戸内海に沈む夕日を眺めながらの歩行は、きっとこれまでにない達成感と感動をもたらしてくれるでしょう。









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