山陰海岸ジオパークトレイルは、ユネスコ世界ジオパークに認定された山陰海岸を縦断する総距離約230キロメートルのロングトレイルで、日本海が生み出した絶景を歩いて楽しめる国内でも珍しいコーストトレイルです。鳥取県鳥取市の青谷駅から京都府京丹後市の経ヶ岬まで続く全27コースで構成されており、奇岩、洞門、断崖絶壁といった日本海の荒波が削り出した壮大な景観を間近で体感できます。海岸線と山道が交互に現れる変化に富んだルート設計となっており、初心者から経験豊富なハイカーまで、それぞれの体力や経験に合わせたウォーキングコースを選ぶことができます。
この記事では、山陰海岸ジオパークトレイルの魅力を詳しく解説するとともに、各エリアの見どころや絶景スポット、初心者向けから上級者向けまでのおすすめコース、歩く際の準備や注意点についてご紹介します。日本海沿岸の原風景を自分の足で歩きながら体感できる贅沢な体験は、きっと忘れられない思い出になることでしょう。

山陰海岸ジオパークとは
山陰海岸ジオパークは、京都府京丹後市、兵庫県豊岡市・香美町・新温泉町、鳥取県岩美町・鳥取市の3府県6市町にまたがる広大なエリアです。東西約120キロメートル、総面積約2458平方キロメートルにおよぶこの地域は、「地形・地質の博物館」と呼ばれるほど多様な地質遺産を有しています。2010年にユネスコ世界ジオパークネットワークへの加盟が認定され、2024年9月には再認定を受けました。
このエリアの地質学的な魅力は、約2500万年前にさかのぼる日本海形成の歴史を物語る地層や岩石にあります。日本列島がユーラシア大陸の一部だった時代から、大陸から分離して現在の形になるまでの壮大な歴史を、リアス式海岸や砂丘をはじめとする多彩な海岸地形、多様な火成岩類や地層を通じて観察することができます。
山陰海岸ジオパークの大地の成り立ちは、大きく4つの時代に分けられます。第1の時代は日本がまだアジア大陸の一部であった時代で、その後、約2700万年前から約2000万年前にかけて大陸からの分裂が始まりました。この時期、ユーラシア大陸の一部が火山活動やプレートの動きによって引き裂かれ始め、できたくぼみに海水が流れ込んで後の日本海となりました。第3の時代である約1800万年前から1500万年前にかけては日本海が拡大を続け、日本列島は大陸から徐々に離れて現在の形を形成しました。そして第4の時代は、日本海の拡大がほぼ終わり現在に至るまでの時代です。
地質学的な特徴としては、日本海形成に関わる多様な火成岩・堆積岩層の分布、日本海沿岸の多様な海岸地形、火山噴出物・火山地形、第四紀における地磁気逆転期の発見サイトである玄武洞玄武岩、豊富な温泉資源、活断層・海岸段丘などが挙げられます。
山陰海岸ジオパークトレイルの特徴と魅力
山陰海岸ジオパークトレイルは、鳥取県鳥取市の青谷駅を起点として京都府京丹後市の経ヶ岬まで続く全27コース、総延長約230.9キロメートルのロングトレイルです。全コースを踏破する場合の獲得標高は約5000メートルで、スルーハイク(全行程を通しで歩くこと)する場合は6泊から7泊程度で踏破できる工程となっています。
このトレイルの最大の特徴は、海岸線と山道が交互に現れる変化に富んだルート設計にあります。国内外でも珍しいコーストトレイルとして、日本海の荒波が削り出した奇岩や洞門、断崖絶壁の絶景を楽しみながら歩くことができます。自然歩道を中心としたルート構成のため、豊かな自然だけでなく、日本海に育まれた漁村の風景や歴史文化といった日本海沿岸の原風景も存分に楽しめることが魅力です。
各コースは1コースあたり5キロメートルから15キロメートル程度で設定されており、複雑な地形を楽しむベテランハイカーから、気軽に絶景を楽しみたいファミリーハイカーまで、幅広い層が楽しめる設計となっています。難易度は5段階で評価されており、自分の体力や経験に合わせてコースを選ぶことができます。
全27コースで楽しむ日本海の絶景ウォーキング
山陰海岸ジオパークトレイルを構成する27のコースは、それぞれ独自の魅力を持っています。
コース1は青谷駅から鳥取市鹿野往来交流館童里夢までのルートで、大昔の火山噴火と海の侵食力を感じながら歩くコースです。コース2は城下町と宿場の温泉街をつなぐ歴史の道で、鹿野城下町から吉岡温泉まで歴史的な街並みを楽しめます。コース3は吉岡温泉から鳥取駅までのルートで、砂丘に閉ざされたラグーン(潟湖)のほとりを歩きます。難易度は2つ星で全長11.0キロメートル、アップダウンの少ない歩きやすいコースです。
コース4は中世から近世に至る多様な城の姿を残す鳥取城跡とその周辺を歩くコースで、鳥取城跡の二の丸からは鳥取の街並みを見下ろすことができます。コース5は砂丘のキワの神秘の池と霊場摩尼寺を歩くコースで、自然と信仰の歴史を感じられます。
コース6は鳥取砂丘を横断するコースで、砂と風による奇跡の造形美を楽しめます。難易度は2つ星、全長7.1キロメートル、目安歩行時間100分、高低差約70メートルです。道中で標高47メートルの「馬の背」を登りきると、広大な鳥取砂丘とはるか遠くの海岸線まで見渡すことができます。コース7は砂浜海岸と岩石海岸の2つの異なる海岸を体感できるコースです。
コース8は浦富海岸を歩くコースで、白い花こう岩の断崖、奇岩、洞門が続く海岸と透き通る海を楽しめます。難易度は2つ星、全長3.9キロメートル、目安歩行時間90分、高低差約90メートルです。コース9は城原海岸駐車場から牧谷を経て山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館までのルートで、ユーラシア大陸の切れ端に佇む漁村を歩きます。難易度は1つ星、全長4.1キロメートルと初心者にも歩きやすいコースです。
コース10は山歩きと絶景の砂浜を楽しむコース、コース11は但馬と因幡の旧国境にある七坂八峠を超える歴史的な街道を歩くコースです。コース12は居組駐在所から諸寄漁港までのルートで、難易度は1つ星、全長4.6キロメートルと初心者向けのコースです。コース13からコース15は新温泉町エリアを歩くコースで、温泉と海岸の絶景を楽しめます。
コース16は鎧駅から香住駅までのルートで、但馬松島等の海岸美が楽しめます。道中では約2000万年前、大陸から日本列島が離れ始めた時代の動物の足跡の化石を見ることができます。難易度は2つ星、全長8.5キロメートル、目安歩行時間180分です。
コース17は香住駅から柴山駅までのルートで、大陸から日本列島が離れ始める頃の活発な火山活動による溶岩が荒波に削られてできた芸術的な海岸地形を見ることができます。難易度は4つ星、全長10キロメートル、目安歩行時間200分と、やや上級者向けのコースです。
コース18からコース20は竹野・香住エリアの海岸美を楽しむコースです。コース19では淀の洞門、はさかり岩など海が作った彫刻を楽しめます。道中、丸太で出来た魚見台に登ることや、列車がトンネルから出てくる姿を間近で見られます。コース21からコース24は城崎温泉周辺から久美浜エリアを歩くコースで、温泉街の風情と海岸の絶景を楽しめます。コース25からコース27は京丹後市エリアを歩くコースで、琴引浜や経ヶ岬など京都府側の絶景スポットを巡ります。
鳥取砂丘エリアの絶景ウォーキング
鳥取砂丘は山陰海岸ジオパークを代表する絶景スポットです。起伏の大きな三列の砂丘列があり、国の天然記念物に指定されています。砂と風が織りなす「風紋」は自然の芸術そのもので、特に早朝や夕方の斜光線の中で美しい模様を見ることができます。
鳥取砂丘ビジターセンターには山陰海岸ジオパーク公認ガイド資格を持つガイドが常駐しており、砂丘の歩き方や見どころ、季節の楽しみ方を案内してもらえます。砂丘を歩く際の靴については、サンダルは砂が入ったらすぐに出せて歩きやすいですが、夏は砂表面温度が60度以上になるためおすすめできません。夏に砂丘散策するときは、履きなれた運動靴と靴下の組み合わせがベストです。鳥取砂丘ビジターセンターには足洗い場やタオルの自動販売機も完備されており、数に限りはありますが無料の貸し出しサンダルや長靴もあります。
砂丘観光に加えて、砂の美術館で砂の芸術に触れたり、砂丘リフトで空中散歩を楽しんだりすることもできます。鳥取砂丘コースであるコース6では、道中で標高47メートルの「馬の背」を登りきると、広大な鳥取砂丘とはるか遠くの海岸線まで見渡すことができ、その眺望は圧巻です。
浦富海岸エリアで楽しむ日本海の絶景
浦富海岸は鳥取県岩美町に位置し、大谷から兵庫県境にかけて東西約15キロメートルに渡って広がる海岸です。日本海の荒波によって侵食された荒々しい岩石と、岬に囲まれた白砂青松の浜が織りなす景観は、山陰を代表する美観・絶景の一つとして知られています。花崗岩が浸食されてできた奇岩・洞門や、白砂青松の砂浜が大変美しい変化にとんだ独特の景観が楽しめます。
浦富海岸は作家・島崎藤村が絶賛したことから古くから景勝地として有名で、日本百景、名勝、天然記念物、日本の渚百選、山陰海岸国立公園などに選ばれています。羽尾岬の先端にある龍神洞は幅8メートル、高さ10メートル、奥行き150メートルで、山陰海岸でも最大級の海食洞です。崖の中腹に口をあける丘龍神は内部で海龍神とつながり、波の音が響いています。島崎藤村が小舟で海龍神の中へ入り、夏でも冷たい空気や底知れぬ水の色に驚嘆したとも言われています。
浦富海岸でのシーカヤック体験は、ウォーキングとは異なる視点から山陰海岸ジオパークを楽しめるアクティビティとして人気です。波が浸食して出来た奇岩や洞門を巡り、洞窟に入ったり、岩と岩の間を抜けたりするカヌーならではのツーリングが楽しめます。海の中が見える透明なクリアカヤックもあり、ガイドと一緒に漕ぎながら海の中をのぞいたり、洞門や洞窟に入ったりすることができます。シーカヤック体験は初心者向けから上級者向け、クリアカヤックなど様々なコースがあり、午前・午後・夕方の時間帯から選べます。時間帯によって見える景色が異なり、朝の穏やかな海、日中の青く輝く海、夕方の黄金色に染まる海と、それぞれ異なる魅力があります。
浦富海岸には複数の遊歩道コースが整備されています。浦富海岸自然探勝路コースは、網代から城原にかけてアップダウンの激しいコースが続きますが、眺望は抜群です。伝説に彩られた洞門や洞窟、絶壁、奇岩、白砂の浜などが連続し、片道2.7キロメートルの道のりを歩きます。羽尾岬自然探勝路コースは、山陰海岸学習館から龍神洞にかけての岬の尾根上を歩くかなり起伏のあるコースで、途中エリザベスサンダース・ホームの思い出を秘める熊井浜を経て、片道2.5キロメートルの行程です。
浦富海岸のウォーキング体験は通年開催されており、持ち物はトレッキングシューズ、昼食、飲み物、着替え、帽子、雨具、タオルなどです。10名以上のグループ申し込みの場合は催行日コース以外にも相談が可能です。アクセスは、鳥取自動車道鳥取インターチェンジから車で約20分、またはJR山陰本線鳥取駅から日交バスで50分、浦富海岸口下車すぐです。透明度の高い海を誇り、夏の海水浴やシーカヤック、シュノーケルなどの海の体験も人気です。
香住海岸・但馬エリアの絶景ウォーキングコース
香住海岸は兵庫県香美町に位置し、境から下浜に至る海岸線を指します。国指定天然記念物の「鎧の袖」や「但馬松島」、「鷹の巣島」など数々の景勝地が点在しています。山陰海岸で最も湾入に富んだ隆起海岸で、複雑に屈曲した海岸線に無数の洞窟や断崖、奇岩が連なり、見事な造形美をつくり出しています。
鎧の袖は山陰海岸ジオパークを代表する見どころの一つで、デイサイトでできた絶壁は圧巻です。東側の壁は高さ65メートル、幅約200メートルの柱状節理が発達した岩床で、その迫力ある姿は訪れる人々を魅了します。香住海岸では小型の遊覧船で巡る「海の観光遊覧」も人気で、海から眺める絶景は陸上からとはまた違った迫力があります。
但馬御火浦は、日本列島形成後の火山活動で噴出した火山岩とその後の浸食でできた絶壁、海食洞、奇岩、砂浜の絶景が続くエリアです。特に「下荒洞門」は外せないスポットの一つです。但馬御火浦周辺では、花こう岩の小島や岩壁が美しい景観をつくっています。磯は花こう岩の礫浜であり、湾頭部は魚介類・海藻が豊かな海域公園となっています。また、日本海拡大初期に噴出した溶岩が複数枚重なり、侵食されて空洞になった「獅子の口」と呼ばれる景観も見られます。
餘部鉄橋エリアでの絶景体験
餘部鉄橋は明治45年の完成から約100年間、山陰本線の運行を支えてきた歴史的な鉄橋です。平成22年8月にコンクリート橋に架け替えられましたが、餘部駅側の3本の橋脚は現地保存され、平成25年に余部鉄橋「空の駅」展望施設に生まれ変わりました。平成29年11月には展望施設への直通エレベーター「余部クリスタルタワー」も完成し、アクセスが便利になっています。
道の駅あまるべからたかのすの森遊歩道を通って鎧駅まで歩くコースがあり、全長約2.8キロメートルの整備された山道で初心者向けです。道中、余部橋梁を上から見ることができ、帰りは鎧駅から餘部駅まで列車に乗って余部橋梁を渡る体験もおすすめです。
城崎温泉・玄武洞エリアのウォーキングコース
玄武洞公園は城崎温泉のほど近く、円山川の畔にあり、山陰海岸ジオパークの代表的なスポットです。国の天然記念物に指定されており、160万年前に行われた火山活動により山頂から流れ出したマグマが、冷えて固まる時に作り出した規則正しいきれいな割れ目(柱状節理)を見ることができます。
約6000年前、波に洗われてその姿を現し、人が石を採取したため洞となりました。玄武洞の他に青龍洞、白虎洞、北朱雀洞、南朱雀洞の5つの洞があり、しっかり鑑賞したら1時間ほどかかります。玄武岩は磁鉄鉱と呼ばれ、磁気を持つ珍しい岩石で、磁石を近づけると反応します。パワースポットとしても知られ、多くの観光客が訪れます。
アクセス方法は、JR豊岡駅からタクシーで片道約7分、JR城崎温泉駅からタクシーで片道約5分、JR城崎温泉駅からレンタサイクルで片道約15分です。JR玄武洞駅からは送迎の渡し船も出ており、円山川を船で渡れるユニークな体験ができます。ただし、渡し船は予約制です。観覧料金は大人500円、高校生以上の学生300円、中学生以下は無料です。渡し船は往復で大人700円、子ども400円、幼児200円となっています。
玄武洞で採石された玄武岩は、城崎温泉の中心を流れる大谿川の護岸や民家の石垣など、豊岡市内の各所で見ることができます。玄武岩を探しながら、城崎温泉、竹野浜、コウノトリ文化館、神鍋高原、出石皿そばなどをめぐる旅もおすすめです。城崎温泉には「フットパス」と呼ばれる、自然や古い町並みなど地域に昔からある風景を楽しみながら歩くことができる道があり、城崎温泉駅を起点としたルートで温泉街から温泉寺、大師山登山なども楽しめます。
京丹後・経ヶ岬エリアの絶景ウォーキング
経ヶ岬は丹後半島の先端に突き出した近畿最北端の岬です。海岸部には柱状の岩石が縦に何本も並んでおり、これが経巻を立てたように見えることから「経ヶ岬」の名前がつけられたといわれています。柱状の岩石は、約400万年前の火山の噴火で流れ出た溶岩で、冷え固まる時に柱状節理ができました。明治31年に建てられた経ヶ岬灯台は経済産業省の近代化産業遺産に指定されています。国内で5基しかない第1等レンズを使用しており、毎年11月に灯台内部が一般公開され、見学することができます。
久美浜・小天橋エリアでは、日本海に面して延長約7キロメートルの砂浜が続き、小天橋砂州によって日本海と隔てられた潟湖・久美浜湾を形成しています。南東部に位置するかぶと山の頂上からは、小天橋と久美浜湾を一望することができ、その景色は絶景として知られています。
琴引浜は国の天然記念物・名勝に指定され、「残したい日本の音風景100選」「日本の白砂青松100選」「日本の渚百選」「京都の自然200選」にも選ばれている美しい浜です。砂の上を歩くと「キュッキュッ」と音がする日本最大級の「鳴き砂」の浜として知られています。砂に含まれる鉱物・石英がこすれあって音が鳴る仕組みで、鳴き砂は不純物がなく、砂が乾燥しているほど音が良く響くと言われています。鳴き砂のビーチを裸足で歩けば、素足で感じる感動体験ができます。
京丹後の海岸線には、経ケ岬灯台、袖志の棚田、丹後松島、犬ヶ岬、屏風岩、立岩、五色浜など多くの絶景スポットがあります。京丹後市の海岸線には14カ所のそれぞれ特徴のあるビーチがあり、白砂や透明度が自慢のビーチ、夕陽が美しいビーチ、リゾート感溢れるビーチなど、どれも魅力的です。日本海を眺望しながら走るドライブやツーリング、ロングライドなど人気のコースになっています。
初心者向けおすすめ絶景ウォーキングコース
山陰海岸ジオパークトレイルを初めて歩く方や、体力に自信のない方には、難易度の低いコースから挑戦することをおすすめします。
コース9(城原海岸駐車場から山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館)は難易度1つ星、全長4.1キロメートルで、ユーラシア大陸の切れ端に佇む漁村を歩く初心者に最適なコースです。コース12(居組駐在所から諸寄漁港)は難易度1つ星、全長4.6キロメートルで、こちらも初心者向けの歩きやすいコースです。
コース3(吉岡温泉から鳥取駅)は難易度2つ星、全長11.0キロメートルで、鳥取城跡の二の丸からは鳥取の街並みを見下ろすことができ、中心市街地から城跡、山の中へと様々な景色が映りゆく、アップダウンの少ない歩きやすいコースです。コース6(鳥取砂丘コース)は難易度2つ星、全長7.1キロメートル、目安歩行時間100分で、鳥取砂丘の象徴である馬の背からの絶景を楽しめます。コース8(浦富海岸コース)は難易度2つ星、全長3.9キロメートル、目安歩行時間90分で、白い花こう岩の断崖と透き通る海を楽しめます。
小さなお子様連れのご家族や体力に自信のない方は、難易度の低いコースから挑戦してみることをおすすめします。難易度はスタッフが実際に歩き判定したものですが、歩く方の体力や経験によって感じ方は変わってきます。
上級者向けトレイルウォーキングコース
経験豊富なハイカーには、難易度の高いコースに挑戦することで、より本格的なトレイル体験ができます。コース17(香住駅から柴山駅)は難易度4つ星、全長10キロメートル、目安歩行時間200分で、活発な火山活動による溶岩が荒波に削られてできた芸術的な海岸地形を見ることができます。難易度の高いコースはアップダウンや丸太橋などもあり、冒険気分も味わうことができます。
日本海絶景ウォーキングのための準備と装備
山陰海岸ジオパークトレイルを安全に楽しむためには、適切な準備と装備が重要です。基本装備としては、トレッキングシューズまたは履きなれた運動靴、リュックサック(容量40リットル程度が目安)、昼食・行動食、飲み物(1リットル以上推奨)、着替え、帽子、雨具、タオル、日焼け止めなどが必要です。
季節に応じた服装も重要です。夏場は砂丘や海岸部では砂表面温度が60度以上になることもあるため、適切な靴の選択が重要です。冬場は日本海側特有の強風や降雪に備える必要があります。また、コースによっては高潮時・高波時に通行困難となる区間があるため、事前に天候や潮位を確認しておくことが大切です。
夏季営業のみのキャンプ地もあるため、宿泊を伴うスルーハイクを計画する場合は事前に確認が必要です。ロード区間が多いコースもあるため、事前にどこがロード区間か確認しておくとよいでしょう。
ウォーキングコースの安全情報と注意事項
山陰海岸ジオパークトレイルを歩く際には、いくつかの重要な注意点があります。トレイルで発生した事故等については管理者は一切の責任を負わないため、健康管理に十分配慮し、事故などに遭遇しないよう十分注意して自己責任で安全に歩いてください。
熊の出没情報が発表されることもあるため、最新の情報を確認してから出発しましょう。特に山道区間では十分な注意が必要です。一部のコースでは通行止めになっている区間があります。2025年時点では、トレイルコース12の一部やトレイルコース14の一部で通行止め情報が出ていますので、公式サイトで最新情報を確認してください。
トレイル沿いの温泉と宿泊施設
山陰海岸ジオパークトレイルの魅力の一つは、ルート沿いに多くの温泉地があることです。トレイルを歩いた後の疲れを癒すのに最適です。鳥取県側では、吉岡温泉、鳥取温泉、岩井温泉などがあります。兵庫県側では、湯村温泉、城崎温泉、香住温泉などがあります。特に城崎温泉は7つの外湯めぐりが有名で、トレイル後のリフレッシュにぴったりです。京都府側では、久美浜温泉、夕日ヶ浦温泉などがあります。
日本海の恵みを楽しむ地元グルメ
山陰海岸ジオパークエリアは、日本海の豊かな海の幸を楽しめる地域でもあります。但馬牛は兵庫県但馬地方で育てられた高級和牛で、神戸牛や松阪牛のルーツともなっています。松葉ガニ(ズワイガニ)は冬季の味覚の王様で、11月から3月がシーズンです。香住ガニ(紅ズワイガニ)は通年楽しめます。出石皿そばは豊岡市出石町の名物で、小皿に盛られたそばを薬味とともに楽しみます。岩牡蠣は夏季の味覚で、鳥取県や兵庫県の海岸部で楽しめます。らっきょうは鳥取砂丘周辺の特産品で、砂丘らっきょうとして知られています。
四季折々の絶景ウォーキングの楽しみ方
山陰海岸ジオパークトレイルは、四季を通じて異なる魅力を楽しむことができます。春は新緑が美しく、気候も穏やかでトレイル歩きに最適な季節です。海岸沿いでは磯の花々が咲き誇ります。夏は海水浴やシーカヤック、シュノーケルなど海のアクティビティと組み合わせて楽しめます。ただし、砂丘や海岸部では高温に注意が必要です。
秋は紅葉と澄んだ空気の中でのトレイルが楽しめます。気温も下がり、歩きやすい季節です。冬は日本海の荒波と雪景色が独特の風情を醸し出します。ただし、強風や積雪に備えた装備が必要です。冬季は松葉ガニのシーズンでもあり、グルメも楽しめます。
トレイルマップとガイド情報
山陰海岸ジオパークトレイルの公式マップは、日本語・英語・中国語・韓国語で提供されており、公式サイトからダウンロードできます。また、鳥取砂丘ビジターセンターをはじめとする各地のビジターセンターやジオパーク館では、山陰海岸ジオパーク公認ガイドによるガイドツアーも実施されています。初めての方や、より深くジオパークを理解したい方は、ガイドツアーへの参加もおすすめです。岩美町観光協会では、10名以上のグループ向けにウォーキング体験の相談も受け付けています。
アクセス情報
山陰海岸ジオパークトレイルへのアクセスは、各コースの起点となる駅や駐車場によって異なります。鳥取砂丘エリアへは、JR鳥取駅からバスで約20分です。鳥取自動車道鳥取インターチェンジからは車で約20分です。浦富海岸エリアへは、JR山陰本線鳥取駅から日交バスで50分、浦富海岸口下車すぐです。城崎温泉・玄武洞エリアへは、JR城崎温泉駅が最寄り駅となります。香住・竹野エリアへは、JR山陰本線の各駅(香住駅、竹野駅、鎧駅など)が起点となります。京丹後エリアへは、京都丹後鉄道の各駅が最寄りとなります。
まとめ
山陰海岸ジオパークトレイルは、日本海が生み出した壮大な絶景を歩いて楽しめる、国内でも珍しいコーストトレイルです。ユネスコ世界ジオパークに認定された地質学的に貴重なエリアを、自分の足で歩きながら体感できる贅沢な体験ができます。
全27コース、総延長約230キロメートルのトレイルは、初心者から経験者まで、それぞれのレベルに合わせたコース選択が可能です。奇岩、洞門、断崖絶壁といった日本海の荒波が削り出した絶景、白砂青松の美しい海岸、歴史ある漁村の風景、そして豊かな温泉と海の幸が、このトレイルには凝縮されています。
山陰海岸ジオパークトレイルでの日本海絶景ウォーキングは、大地の歴史と自然の美しさに感動する、忘れられない旅になることでしょう。









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